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リニューアルのポイント

リニューアルにあたって

建築家・丹下健三は当初、横浜美術館を単に美術鑑賞の場としてだけでなく、市民の交流や文化活動の拠点としての美術館を目指して設計していました。
今回のリニューアルではその理念を大切に受け継ぎ、誰もが気軽に立ち寄り、思い思いに過ごせる場所として、丹下の構想をより豊かに進化させています。

大規模改修工事

グランドギャラリー
撮影:新津保建秀

1988年の竣工以来30年が経過し、老朽化が進んでいた施設や設備の更新を行いました。
また、エレベーターの増設や多目的トイレ等の整備によるバリアフリー化を進め、収蔵庫も拡充しています。
「グランドギャラリー」ではガラス張りの天井の開閉式ルーバーを改修し、季節や時間によってやわらかい自然光がふりそそぐ開放的な大空間がよみがえりました。
美術図書室を広場に面した地上階に移し、新しいギャラリーを2か所増設するなど、大規模改修工事を経て新たな時代の美術館へと歩みを進めました。

主な改修内容
  1. 長寿命化対策工事等
    • (1) 電気・衛生・空調等の設備更新
    • (2) 外壁等の経年劣化改修
    • (3) エレベーター、エスカレーターの更新
  2. バリアフリー工事
    • (1) トイレ改修(多目的トイレの増設等)
    • (2) エレベーターの増設
  3. 機能向上工事
    • (1) 美術品・資料の収蔵庫の増設
    • (2) 展示環境の改善
    • (3) 美術図書室(美術情報センター)の移設
工事概要
工事期間 2021年10月から2023年11月(一部2024年1月)
発注者 横浜市にぎわいスポーツ文化局(発注当時:横浜市文化観光局)
監督員 横浜市建築局
設計者 株式会社TANGE建築都市設計(発注当時:株式会社丹下都市建築設計、2024年11月1日に社名変更)
施工監理者 株式会社TANGE建築都市設計(同上)
施工者

清水・小俣・三木建設共同企業体(建築)/川本工業・ヨコレイ・関東設備建設共同企業体(空気調和設備)/共栄・シンデン・矢口建設共同企業体(電気設備)/エルゴテック・杉山管工建設共同企業体(衛生設備、消火設備)/富士電機株式会社(特別高圧受変電設備)/東芝プラントシステム株式会社(自家発電設備)/東芝エレベータ株式会社(昇降機設備)/横浜エレベータ株式会社(昇降機設備)/株式会社小俣組(内装改修、外装改修)/株式会社東和エンジニアリング(舞台音響設備)/京浜電設株式会社(舞台照明設備)

じゆうエリアとオリジナルデザインの什器

じゆうエリア
じゆうエリア
撮影:新津保建秀

横浜美術館でもっとも印象的な「グランドギャラリー」。
建物に入ると目の前に広がる大空間です。
建築家、丹下健三は、人びとが自由に、自発的に使いこなすことを期待して、ここを設計しました。
大規模改修工事による休館中、わたしたちは、丹下の願いに立ち返り、その可能性をあらためて引き出すため、検討プロジェクトを立ち上げました。
こうして生まれたのが、グランドギャラリーを中心とする無料エリア、「じゆうエリア」です。
いろんな色、いろんなかたちの什器が置かれたここは、あらゆる人を歓迎する、どんな人にも居場所がある、そんな美術館の新時代を象徴する場所です。

サイン計画およびリニューアルロゴ

みなとが、ひらく
撮影:新津保建秀
撮影:新津保建秀

工事休館前の美術館には、30年以上のあいだにつくられたさまざまな案内表示が混在していました。
リニューアルを機に、誰もが理解しやすく、また追加や変更が容易なものに、サイン類を一新しました。
また、横浜美術館のシンボルマークとロゴタイプは、横浜出身のデザイナー、浅葉克己により、開館時の1989年につくられました。
今回、1989年のデザインを踏まえ、活動再開を記念する特別なシンボル、リニューアルロゴをつくりました。
サイン計画、リニューアルロゴ、ともにキーワードは「変化」と「ひらくこと」です。

大規模改修工事 設計・監理

丹下 憲孝(たんげ けんこう)

私は、建築とはその時代とともに歩み、その時代に応えて生き続ける存在であるべきだと考えています。建築は完成した瞬間に終わるのではなく、使われ、手が加えられ、時とともに成熟していくものです。
横浜美術館は、都市にひらかれ、誰もが芸術と向き合える場をつくるという理念のもとに計画され、これまで皆様に親しまれてきました。一方で、美術館に求められる役割は大きく変化しています。多様な展示構成に対応した鑑賞体験の提供、作品保存環境の高度化、地域社会との連携強化など、新たな要請に応える機能が求められました。
今回の改修では、多様化する展示作品に対応するための展示室の改修をはじめ、エレベーターやトイレの更新、設備の改善、耐震性の向上など、施設全般にわたる整備を行っています。同時に、グランドギャラリーにおける光の取り込み方の再現など、建築の魅力を確かなかたちで継承しました。
父・丹下健三がこの建築に込めた理念と創建時の価値を損なうことなく、これからの時代の美術館としての役割を果たす設計としています。横浜美術館が創建時の理念を未来へとつなぎ、より豊かな文化創造を生み出す場として歩み続けることを願っています。

大規模改修工事 設計・監理 丹下 憲孝
© RUSSEL WONG

<プロフィール>
TANGE建築都市設計 代表取締役/CEO。1958年生まれ。ハーバード大および同大学院修了。1985年丹下健三・都市・建築設計研究所入所。2002年に丹下都市建築設計(現・TANGE 建築都市設計)代表取締役社長就任、2024年より現職。2022年には、国際的な建築活動を通じた友好親善への貢献により外務大臣表彰を受賞。主な作品に、モード学園コクーンタワー(エンポリス・スカイスクレイパー賞、グッドデザイン賞受賞)、クラブ・エクラット(CTBUH Best Tall Building Award(100–199m)受賞)、ダイヤモンドタワー(MUSE Design Award受賞)、UOBマレーシア本社ビル、東京アクアティクスセンターなどがある。

オリジナル什器とサイン計画(空間構築)

乾 久美子(いぬい くみこ)

設計者・丹下健三が使った御影石に埋め込まれているさまざまな色を抽出し、オリジナルの什器をつくりました。横浜美術館の特徴である巨大な天窓が修復されたことをいかし、自然光の下で石の色と什器がお互いに引き立てあい、和らいだ雰囲気が漂う場所を目指しました。入ってすぐ正面の「まるまるラウンジ」にはいろいろなサイズのテーブルと椅子を揃え、ひとりでも、みんなでいても居場所と感じられる場所になればと考えました。また、ユニット化した什器はシーンにあわせて組み合わせが変えられるようになっています。什器の制作にあたっては、さまざまな障がいのある方たちと共にインクルーシブワークショップを実施しました。原寸大のモックアップを試しながら知見を得るという貴重な機会がなければ生まれなかった家具もありますので、実際にご体感ください。

オリジナル什器とサイン計画(空間構築) 乾 久美子

<プロフィール>
1969年大阪府生まれ。2000年乾久美子建築設計事務所設立。2016年より横浜国立大学都市イノベーション学府・建築都市スクール(Y-GSA) 教授。代表作に、延岡駅周辺整備計画、みずのき美術館、宮島口旅客ターミナル、釜石市立唐丹小学校・釜石市立唐丹中学校・釜石市唐丹児童館など。

サイン計画とリニューアルロゴなど(空間構築)

菊地 敦己(きくち あつき)

サインやポスターなどのグラフィックデザインを手がけています。また乾久美子建築設計事務所と協働して空間のデザインにも取り組みました。新しい美術館を立ち上げるのとは違い、既存の美術館建築やこれまでの活動を捉えた上で、どのようにアップデートしていくかが課題でした。グランドギャラリーの階段は片側が四角、もう一方は丸をモチーフにした空間が特徴的です。新しいマークは、既存のマークの四角を同じ面積の丸に置き換えたもので、隙間がある風通しの良い組み合わせになっています。もともと存在する形が変化して、ひらいていく。このことは、横浜美術館がリニューアルで目指していることの象徴でもあります。また、「YOKOHAMA MUSEUM OF ART」などのタイポグラフィにも、四角と丸を組み込み、違う形やイメージが同居しながら調和することを目指しました。
展覧会を観に行くのはもちろんですが、グランドギャラリーで待ち合わせしたり、お茶を飲んだり、ぼーっとしたり、横浜美術館が公園のように身近な空間として、ひらかれていくことを期待しています。

サイン計画とリニューアルロゴなど(空間構築) 菊地 敦己

<プロフィール>
1974年東京生まれ。武蔵野美術大学彫刻学科中退。2000年ブルーマーク設立、2011年より個人事務所。ブランド計画、ロゴデザイン、サイン計画、エディトリアルデザインなどを手掛ける。とくに美術、工芸、建築に関わる仕事が多い。主な仕事に、青森県立美術館(2006)やPLAY! MUSEUM(2020)のVI・サイン計画、ミナ ペルホネン(1995-2004)、サリー・スコット(2002-21)のアートディレクション、『旬がまるごと』(2007-12)や『装苑』(2013)などのエディトリアルデザイン、亀の子スポンジ(2015)やNEcCO(2023)のパッケージデザインほか。主な受賞に亀倉雄策賞、講談社出版文化賞、日本パッケージデザイン大賞、原弘賞など。

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