19世紀フランス絵画―新古典主義からロマン主義へ
創立以来200年以上の歴史を持ち、所蔵品の規模と質の高さにおいて世界最大級を誇る美の殿堂ルーヴル美術館。16世紀のフランソワ1世の時代に収集がはじめられたそのコレクションは、フランス革命のさなか1793年に一般に公開され、19世紀初頭のナポレオン帝政の時代に飛躍的に拡充し、以後も購入・寄贈により着実に増え、今日その数は35万点以上にのぼります。
今回の展覧会は、そのコレクションの中でも傑出した名品を揃える、フランス革命、ナポレオン帝政から二月革命にいたる激動の時代のフランス絵画に焦点を絞り、いかに近代絵画が成立したかを、厳選された73点により展観するものです。18世紀のフランス絵画が貴族社会の栄華とその衰退を物語るなら、19世紀前半のフランス絵画は、新たな市民社会の誕生に向けた壮大な歴史的な叙事詩をその背景としています。新古典主義からロマン主義へ、そして写実主義の誕生に至るまで、この時代の絵画は次々と新たな表現を生み出し、やがて印象派に代表される近代絵画の誕生を準備しました。
19世紀前半のフランス絵画を、その最も優れたコレクションを有するルーヴル美術館の所蔵品により構成し、総合的に展観するのは本邦においてはこれが最初の試みとなります。その魅力を十分にご堪能していただくことができましょう。
展覧会図録
『ルーヴル美術館展 19世紀フランス絵画—新古典主義からロマン主義へ』 日本テレビ放送網株式会社、2005年