New Artist Picks: Wall Project
村上早 | Stray Child
概要
横浜美術館では、将来活躍が期待される若手アーティストを紹介する小企画展「New Artist Picks」を、2007年よりアートギャラリーなど館内の展示スペースで開催してきました。
大規模改修工事のため休館中の今回は、その特別版となる「Wall Project」として、横浜美術館正面のグランモール公園「美術の広場」に面した仮囲いで、2回にわたり若手アーティストの創作を紹介します。
第1回は、銅版画を主な表現手法とする村上早(むらかみ・さき/1992年生まれ)を紹介します。

村上早《どく》2018年
リフトグランド・エッチング、アクアチント、スピットバイト(多色)
118×150cm
撮影:齋梧伸一郎
村上は、ポスターカラーを使い筆で銅版に直接描いた線を腐食させるリフトグランド・エッチングなどの技法で、自身の記憶やトラウマから生まれたモチーフを描く作家です。
自らの制作を「銅版を傷つける」行為ととらえ、「銅版に刻まれた線は心の傷、線を埋めるインクは血、インクを載せる紙はガーゼ(包帯)」と述べる村上。その作品は、見た目の素朴さとは裏腹に、現代社会に対して作家が抱く恐れや嫌悪、欲望や愛のイメージなど、生々しい感情に裏打ちされています。
犬や馬、鳥や虫などの動物がモチーフの中心になることも特徴です。動物たちは、人間を襲う脅威として描かれる一方で、痛みを分かちあう身近な存在としても登場します。村上の創作は、心の傷を描きだすと同時に、その傷を手当てする営みでもあるのです。
本プロジェクトでは、2015年から2021年までに制作された作品16点と、新作2点、計18点を紹介します。
コロナ禍を経験し、新しい生き方を模索するいま、村上の作品に見られる「死と再生」「人間と動物との関係」は、弱さを認め合い、謙虚に世界をとらえることの大切さを気づかせてくれます。ぜひご覧ください。
「New Artist Picks: Wall Project 村上早|Stray Child」リーフレット [5,200KB]
「村上早 ロングインタビュー」はこちら

掲出風景
ここに注目!
- 本展のための新作2点を発表。
- 「Wall Project」ならではの存在感!約90mの仮囲いを村上早の作品が彩ります。
- 本展リーフレットをウェブサイトにて無料公開します。作家インタビューも公開予定。
作家略歴
村上 早(むらかみ・さき)
1992年 群馬県生まれ。
武蔵野美術大学油絵学科版画専攻卒業。
同大学院造形研究科版画コース修士課程修了。
2015年 「第6回山本鼎版画大賞展」大賞
2016年 「アートアワードトーキョー」フランス大使館賞、「project N 66 村上早」(東京オペラシティアートギャラリー)
2019年 個展「gone girl」(上田市立美術館)
2021年 グループ展「沈黙の春に」(佐倉市立美術館)

村上早《かくす》 2016年
リフトグランド・エッチング、エッチング、アクアチント、スピットバイト(多色) 118×150cm
撮影:齋梧伸一郎

村上早《きろく》2019年
リフトグランド・エッチング、エッチング、アクアチント
150×118cm
撮影:齋梧伸一郎

村上早《おどり》2021年
リフトグランド・エッチング、アクアチント、スピットバイト
150×118cm
撮影:末正真礼生
基本情報
期間 | 2022年3月12日(土)~11月6日(日)*予定
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場所 | 横浜美術館前 仮囲い(グランモール公園「美術の広場」) 横浜市西区みなとみらい3-4-1
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観覧料 | 無料 |
主催 | 横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団) |
協力 | コバヤシ画廊 |
関連イベント
村上早トーク「銅板を傷つけながら考えること」
将来活躍が期待される若手アーティストを紹介する小企画展「New Artist Picks」の特別版となる「Wall Project」に出品中の作家、村上早のトークを開催します。
村上氏が手がける「リフトグランド・エッチング」とはどのような技法なのか、その制作工程を写真を交えて詳しくご紹介します。また、今回の出品作品や9月から始まる個展での最新作についてもお話しいただきます。自らの制作を「銅板を傷つける」行為と捉える作家の真意を紐解きます。
日程 | 2022年9月24日(土)
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時間 | 14時~15時30分
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出演 | 村上 早(版画家、NAP Wall出品作家) |
聞き手 | 大澤 紗蓉子(横浜美術館 学芸員) |
進行 | 森 未祈(横浜美術館 エデュケーター) |
会場 | PLOT 48 シアター |
対象 | 12歳以上 |
定員 | 30名 |
参加費 | 無料 |
申込方法 | 申込フォーム ※本プログラムのお申込み1件につき1つのメールアドレスが必要です。同じメールアドレスで複数回お申込みいただくと、最後に入力した情報のみ有効となります。 ※「受付確認メール」(自動返信)をお送りします。すぐに届かない場合はご連絡ください。 登録アドレスに間違いがあるか、PCからのメール受信拒否が設定されている場合があります。特に携帯電話、スマートフォンでお申込の場合、@yaf.or.jpの受信設定をお願いいたします。
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申込締切 | 2022年9月20日(火)受付終了 ※先着順。定員に達し次第、受付を終了します。 |
お問合せ | 横浜美術館 教育普及グループ TEL 045-221-0366 10時~18時、月曜~土曜(土曜以外の祝日をのぞく)
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*プログラムに係る感染防止対策 感染防止策チェックリスト [556KB]
*新型コロナウイルス感染症やその他やむを得ない事情により、プログラム内容の変更または中止をする場合があります。その際は、申込者全員にご連絡します。
*プログラム中の記録写真、映像を横浜美術館または横浜市芸術文化振興財団のウェブサイトや刊行物、その他媒体に掲載する場合があります。
*お預りした個人情報は、横浜市芸術文化振興財団個人情報保護方針に基づき厳重に管理するとともに、本プログラムに関するご連絡や、横浜美術館のご案内以外には使用いたしません。
村上 早(むらかみ・さき)
1992年 群馬県生まれ。
武蔵野美術大学油絵学科版画専攻卒業。同大学院造形研究科版画コース修士課程修了。
2015年 「第6回山本鼎版画大賞展」大賞
2016年 「アートアワードトーキョー」フランス大使館賞、
「project N 66 村上早」(東京オペラシティアートギャラリー)
2019年 個展「gone girl」(上田市立美術館)
2021年 グループ展「沈黙の春に」(佐倉市立美術館)