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横浜美術館コレクション展 2015年度第1期

森村泰昌《私の中のフリーダ(赤い髪飾り)》 2001年 寄託作品

展覧会概要

身体からかんがえる 
コレクションにみる身体表現―現代美術を中心に

横浜美術館コレクション展2015年度第1期では、美術における身体に焦点を当て、現代美術作品を中心にご紹介します。  

時代や文化背景の違いによって人々の身体のとらえかたは異なります。かつての移動手段である徒歩や動物にかわり、近代以降技術の格段の進歩により交通機関が発達し、人は長距離を高速で移動できるようになりました。また通信網の発達により今では実際に足を運ばずとも居ながらにして遠く離れた場所の情報を得ることもできます。本来私たちが知りえないはずの膨大な量の多様な情報がインターネット上にあふれ、またコンピューター技術が生み出すバーチャルな世界がひろがりをみせる中で、身体に対する私たちの意識や感覚も変わりはじめています。肉体としての身体の実感が得にくくなりつつあるいま、同時代を生きるアーティストにとって、実在する自らの身体は、それを取り巻く空間とそこから展開する世界を読みとき、他者に伝えるための手がかりとなるといえるでしょう。  

本展では、6つの章により美術作品における身体表現を考えます。
絵画の登場人物に自らが扮する作品で知られる森村泰昌(もりむら・やすまさ)が、メキシコの女性画家フリーダ・カーロを題材とした「私の中のフリーダ」シリーズをはじめとして、平野薫(ひらの・かおる)が2008年に横浜美術館で滞在制作した、衣服をほどき再構成する作品《Untitled - mother and baby-》ほか、奈良美智(なら・よしとも)、小谷元彦(おだに・もとひこ)、岩崎貴宏(いわさき・たかひろ)、川島秀明(かわしま・ひであき)、金氏徹平(かねうじ・てっぺい)ら日本の現代美術のアーティストによる作品を展示します。またパブロ・ピカソ、サルバドール・ダリ、フランシス・ベーコンら20世紀の巨匠たちによる身体表現をあらためてとらえ直します。さらに、伝統的な日本画の技法や空間表現をとりいれつつ、現代を描く三瀬夏之介(みせ・なつのすけ)、中村ケンゴ、藤井健司(ふじい・けんじ)らの作品を通して、作品に描かれる空間と鑑賞者の身体との関係について考えます。写真展示室では、アンドレ・ケルテス、エドワード・ウエストン、ジャック=アンドレ・ボワファール、ハンス・ベルメール、マリオ・ジャコメッリら、20世紀の写真家たちがとらえた身体をご覧いただきます。

みどころ

1. 当館収蔵後、初出品となる作品を展示。
 ・パブロ・ピカソ《帽子をかぶった婦人》
 ・小谷元彦《SP2 ‘New Born’(Python X)》
 ・平野薫《Untitled –mother and baby-》 
 ・森村泰昌「私の中のフリーダ」シリーズ
 ・遅鵬(ちぱん)《五行山》
 ・三瀬夏之介《ぼくの神さま》、ほか2点
 ・岩崎貴宏「アウト・オブ・ディスオーダー」シリーズ 
 ・金氏徹平《White Discharge(建物のようにつみあげたもの #3)》
 ・本庄光郎《花》ほか
 ・エドワード・ウェストン《ヌード》
 など
2. 横浜美術館の企画展、および横浜市・北京市アーティスト・イン・レジデンスプログラムなど、
    横浜で滞在制作を行ったことのある5作家を紹介。
 ・川島秀明、藤井健司、平野薫、金氏徹平、遅鵬

■コレクション展 2015年度第1期  出品リスト [298KB] 


展示構成

1.変幻する身体

人間の身体はいつの時代もアーティストをひきつける題材として繰り返しとりあげられてきました。
ここでは、サルバドール・ダリ《幻想的風景-暁、英雄的正午、夕べ》や、フランシス・ベーコン《座像》など、身体を通して人間の存在の意味を描いた西洋の画家たちによる絵画作品をご紹介します。

サルバドール・ダリ《幻想的風景―暁、英雄的正午、夕べ》、
フランシス・ベーコン《座像》、ヴィフレド・ラム《アダムとイヴ》、ロバート・ヤーバー《ヘリコプター》ほか

2.顔と向き合うーポートレート
*

川島秀明《roses》2006年
寄託作品

誰もが一度は自分や家族の顔を描いた記憶があるように、ポートレートは私たちにとって近しいものであり、古来より絵画や彫刻の主題となってきました。
一方、伝統的な肖像画の役割が写真にとって代わられた19世紀末以降は、ポートレートは作家自身の内面や個性の表現として、あるいは社会へのメッセージを込めたものとして描かれるようになります。
ここでは東西の作家の、戦後から現代までの作品をご紹介します。

奈良美智《春少女》、川島秀明《roses》、パブロ・ピカソ《帽子をかぶった婦人》ほか 
3.とらえられた身体
*

小谷元彦《SP2 ‘New Born’(Python X)》2007年
寄託作品 
撮影:木奥惠三、Photo courtesy: YAMAMOTO GENDAI

身体という言葉から想起されることは様々です。
このセクションでは異なる視点、異なるアプローチによって身体の持つ豊かな、そしてだからこそ謎めいたテーマに挑む4人のアーティスト、ルーカス・サマラス、小谷元彦、高嶺格、石原友明の作品を紹介します。
彼らは彫刻、写真、映像インスタレーションなどの技法を用い、身体そのものを再現するのではなく、身体から触発されたなにかを表現しています。

高嶺格《水位と体内音》、ルーカス・サマラス《オートポラロイド》、小谷元彦《SP2 ‘New Born’(Python X)》、ほか  
4.入れかわる身体
*

遅鵬《五行山》
2007年
(2010年プリント)

このセクションでは入れかわる身体と題し、名画の登場人物に自らが扮した作品で知られる森村泰昌が、メキシコの女性画家を題材にした「私の中のフリーダ」シリーズをはじめ、平野薫による横浜美術館での滞在制作によるオブジェ、同じく横浜に滞在制作の経験のある遅鵬のCGによる巨大な平面作品などをご紹介します。

森村泰昌「私の中のフリーダ」シリーズ、平野薫《Untitled -mother and baby- 》、遅鵬《五行山》
5.そこにある身体

日頃、自分の身体の存在を意識する機会は多くはありません。
一方で私たちの身体は今ここにあり、それに目を向けることは、世界に相対する手がかりとなり得ます。
ここでは、作品と鑑賞者の身体との関係を想起させるような作品を中心にご覧いただきます。

三瀬夏之介《ぼくの神さま》、小野友三《無題》、斎藤義重《内部》、中村ケンゴ《コンポジション トウキョウ》ほか 

6.身体への眼差しー20世紀写真における身体表現
*

ジャック=アンドレ・ボワファール《無題》1930年(後年のプリント)

1839年に写真が発明されると、人々は現実世界を定着させることが出来るこの装置を使って様々な対象を撮影しはじめます。
中でも、人がその肉眼で捉えることが出来ない自身の身体を写真が客観的に示すことに気づいて以来、身体は、飽くことのない撮影対象として今日に至るまで人々を魅了します。
ここでは身体を巡って独自の作風を示した20世紀の写真家を紹介しながら、多様な写真の身体表現への希求を概観します。

エドワード・マイブリッジ《躍動、立ち幅跳び 男性(腰布)》、エドワード・ウエストン《ヌード》、 アンドレ・ケルテス《ディストーションのポートレート、パリ》、ジャック=アンドレ・ボワファール《無題》、 ハンス・ベルメール《無題》、マリオ・ジャコメッリ《スカンノ》ほか 
7.ホワイエ、グランドギャラリー:イサム・ノグチと近代彫刻

イサム・ノグチ《真夜中の太陽》ほか

基本情報

会期         
2015年3月28日(土)~5月31日(日)
休館日
木曜日
開館時間
10時~18時(入館は17時30分まで)      
主催横浜美術館     

観覧料

一般500(400)円
大学・高校生                 
300(240)円
中学生
100(80)円
小学生以下無料                      

※( )内は有料20名以上の団体料金(要事前予約)
※2015年4月4日(土)は無料
※毎週土曜日は、高校生以下無料(生徒手帳、学生証をご提示ください)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
※毎月第3月曜日は横浜市在住の65歳以上の方無料(「濱ともカード」をご提示ください)
※企画展ご観覧当日に限り、企画展の観覧券でコレクション展もご覧いただけます。

関連イベント

ギャラリートーク(コレクション展2015年度第1期)

歴史から観る、技法から観る、自由に想像する・・・。
さまざまな切口でエデュケーター(教育担当)が作品の見どころや楽しみ方を紹介します。

日程
2015年4月3日、17日、5月1日、15日、29日 いずれも金曜日
時間いずれも14時~14時30分
会場コレクション展展示室
参加料
無料 ※当日有効の観覧券が必要です
申込
不要

アーティスト・トーク(コレクション展2015年度第1期)

日程
(1) 2015年4月25日(土)
(2) 2015年5月16日(土)
時間
いずれも14時30分~15時30分(14時開場)
講師
(1) 三瀬夏之介(美術家)
(2) 岩崎貴宏(作家)
会場コレクション展展示室
参加料無料 ※当日有効の観覧券が必要です
定員
各回40名
申込          不要 ※当日12時より総合案内で整理券を配布します。          

アーティスト・トーク映像アーカイブ(2015年4月25日/三瀬夏之介)


アーティスト・トーク映像アーカイブ(2015年5月16日/岩崎貴宏)


コレクション展連携事業 舞踊史を学ぶ講座講座「ダンスの歴史と現在」

この夏横浜を舞台に行われる「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA2015」の参加イベントとして、コレクション展2015年度第1期「身体からかんがえる」とあわせ、3回シリーズで舞踊史を学ぶ講座「ダンスの歴史と現在」を開催いたします。
これは、公益財団法人横浜市芸術文化振興財団が「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA2015」のイベントとして実施する5つのプログラムからなる「ダンス・ワーキング・プログラム」の第1弾となるもので、東洋と西洋におけるダンスの一世紀を講義とデモンストレーションにより考察します。コレクション展展示エリアも会場として、文芸評論家・三浦雅士とダンサー・振付家の中村恩恵が、コンテンポラリーやモダンダンスの歴史と現在をひもときます。  

日程・時間2015年5月22日(金) 19時~21時
2015年5月23日(土) 13時30分~15時30分
2015年5月24日(日) 13時30分~15時30分
会場横浜美術館 8階レセプションルーム、コレクション展ホワイエ
講師三浦雅士(文芸評論家)
中村恩恵(ダンサー・振付家)
受講料3回受講 5,000円、1回受講 2,000円
募集定員各回50名
申込方法
下記ウェブサイトをご確認ください。
横浜赤レンガ倉庫ダンス・ワーキング・プログラムのサイトへ
主催
公益財団法人横浜市芸術文化振興財団
共催横浜アーツフェスティバル実行委員会、横浜美術館
制作協力SAYATEI

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