横浜美術館リニューアルオープン記念展
横浜美術館は2025年2月8日(土)、いよいよ全館オープンを迎えます。これを記念して、「横浜」をキーワードにさまざまな人々を迎え入れたいという想いを込め、「おかえり、ヨコハマ」展を開催します。横浜美術館館長 蔵屋美香の就任後初となる、館長自らの企画による展覧会です。
みどころ
「横浜」をキーワードに「多様性」という観点のもと、絵画、写真、工芸、映像などの作品や資料を通して、新たな視点で意外な横浜の歴史を深堀りします。
セザンヌ、ピカソ、マグリットや奈良美智など、近代美術の名作から現代美術の作品まで楽しむことができます。
子どものために作品を選び、見やすいよう工夫して展示する「子どものギャラリー(仮称)」を会場内に設け、親子でお話ししながら鑑賞する機会をつくります。
ルネ・マグリット 《王様の美術館》
1966年 油彩、カンヴァス 130.0 x 89.0 cm
横浜美術館蔵
ペーター・ベルンハルト・ヴィルヘルム・ハイネ(伝)
《ペルリ提督横浜上陸の図》
1854年以降 油彩、カンヴァス 53.3 x 80.5 cm
横浜美術館蔵(原範行氏・原會津子氏寄贈)
宮川香山 《高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒大香炉》
明治前期 陶磁器 H29.7cm
田邊哲人コレクション(横浜美術館に寄託)
本展では新しい船出となるこの機会に、当館コレクションの名作の数々を新たな視点で紹介します。加えて、横浜市歴史博物館、横浜開港資料館、横浜都市発展記念館、横浜市民ギャラリーなど、主に市内の施設が所蔵する、コレクションへのまなざしを豊かにしてくれる作品や資料も展示します。また、本展のためにアーティストに委嘱した新作をグランドギャラリー他で披露します。
作品を読み解くための鍵は「横浜」、そしてリニューアル後の当館の活動理念の柱である「多様性」です。今回は「多様性」という観点のもと、横浜にまつわる作品の中でこれまであまり注目されることのなかった存在―開港以前の横浜に暮らした人びと、女性、子ども、さまざまなルーツを持つ人びとなど―にあらためて光をあてます。これにより、おなじみの作品や横浜の歴史にたくさんの新しい発見をもたらします。こうしてローカルの歴史を深掘りすると、世界の歴史もきっと違って見えてきます。
会場内には、子どもも一緒に楽しめる「子どものギャラリー(仮称)」を設けます。また、当館の活動の柱のひとつである教育普及事業も開催します。
タイトルには、「3年ぶりに横浜美術館が帰ってきた」という意味と、「異なる時代にいろいろな地域からやってきて横浜に暮らした(あるいは現在暮らす)さまざまな人たちを、あらためて『おかえり』と言って迎え入れたい」という希望が込められています。
館長 蔵屋美香
第1章 みなとが、ひらく前
「横浜の歴史は開港に始まる。それ以前は小さな漁村に過ぎなかった」。そんな横浜についての決まり文句を再考します。
第2章 みなとを、ひらけ
開港後の横浜は、国内外から向けられる視線を意識しつつ、どのように自分を「見せる」かを考える、「見られる/見せる」都市として出発しました。
第3章 ひらけた、みなと
横浜では、外国人向けのみやげものとして、あるいは輸出品として、多くの絵画や工芸品がつくられました。
第4章 こわれた、みなと
輸出入関連の仕事を求めて日本各地から横浜へ集まった人びと。こうした家庭に生まれた横浜二世のふたり、今村紫紅と牛田雞村の作品をご紹介します。しかし、順調に発展を続ける横浜を、1923(大正12)年、関東大震災が襲います。
第5章 また、こわれたみなと
世界恐慌による打撃を乗り越えて、横浜は徐々に震災からの復興を果たします。しかし今度は戦争という時代の波にのまれていきます。
第6章 あぶない、みなと
横浜大空襲で被害を被った横浜は、戦後、中心部の占領軍接収によって長く復興をはばまれました。ここでは占領下から高度経済成長期までの横浜のようすをご紹介します。
第7章 美術館が、ひらく
1983(昭和58)年、みなとみらい21地区の開発が始まります。1989(平成元)年には「横浜博覧会(YES'89)」にあわせ、丹下健三設計の横浜美術館が開館します。開館前後に収蔵され、「横浜市民」となって30年以上親しまれてきたコレクションの名品を新しい視点から読み直します。
第8章 いよいよ、みなとが、ひらく
横浜美術館の新しい船出を祝し、2010年代以降の作品と、アーティストの檜皮一彦に制作を委嘱した新作をご紹介します。また、この章では子どものために作品を選び、見やすいよう工夫して展示する「子どものギャラリー(仮称)」を設けます。多様性を切り口に、横浜に生きるさまざまな生を祝福し、子どもたちに未来への希望を託します。
第1章
《人面付土器》(鶴見区上台遺跡)
弥生時代後期 H32cm
横浜市歴史博物館蔵
(神奈川県指定重要文化財)
第5章
片岡球子 《緑蔭》
1939 年 紙本着色 194.0 x 286.0 cm
横浜美術館蔵(片岡球子氏寄贈)
第8章
檜皮一彦 《walkingpractice feat.HIWADROME》
2023年 サイズ可変 車いす、カーブミラー、
LED照明、プロジェクター、LCD、メディアプレイヤー、
3Dプリンター、マネキン、インシュロック
発表場所:東京都美術館(参考写真)
※( )内は有料20名以上の団体料金(要事前予約、美術館券売所でのみ販売)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
※同時開催する横浜美術館コレクション展も、「おかえり、ヨコハマ」展チケットで観覧当日に限りご入場いただけます。
関連イベント:詳細は決まり次第ウェブサイトにてご案内します。