「モネ それからの100年展に寄せて 」「幻想へのいざない 駒井哲郎展をきっかけに」
■モネ それからの100年展に寄せて
■幻想へのいざない 駒井哲郎展をきっかけに
Ⅰ 明治150年、開国の風景――モネと同時代の日本の美術
Ⅱ 筆触、ブラッシュ・ストロークをめぐって
Ⅲ イメージの引用と転化
Ⅳ 幻想へのいざない 駒井哲郎展をきっかけに
[写真展示室]Ⅴ 特集展示:モネと同時代のフランス写真――都市の風景など
[ホワイエ、グランドギャラリー]イサム・ノグチと近代彫刻
今期のコレクション展は、会期の重なる2つの企画展「モネ それからの100年」「駒井哲郎ー煌(きら)めく紙上の宇宙」と関連し、「モネ それからの100年展に寄せて」と「幻想へのいざない 駒井哲郎展をきっかけに」の2つのテーマで構成します。
クロード・モネ(1840-1926)が活躍した同時代の日本では、チャールズ・ワーグマンなどが来日して外国人の視点で日本の風景や風俗を描いた一方、高橋由一や五姓田義松(ごせだ・よしまつ)など、ワーグマンに西洋のものの見方や絵画技法を学び、対象を忠実に描く画家たちが現れるなど、東西交流による新しい美術が生まれていました。
小林清親(こばやし・きよちか)は、文明開化の街を題材に、西洋の遠近法や陰影法を取り入れて浮世絵版画に新境地を拓き、開港間もない横浜から発した宮川香山(みやがわ・こうざん)の「真葛焼」(まくずやき)は、世界各地の万国博覧会に出品され高い評価を得ました。近代化への活力あふれる時代の日本の美術の一端をご紹介します。
また、モネら印象派の絵画における筆触分割の革新性にも着目しました。のちに筆触や筆のいきおいある動き(ブラッシュ・ストローク)は、表現手段として画家たちの重要な要素となります。抽象画を始め戦後に制作された絵画を中心に、筆触が豊かで力強い画面をもたらす要素であったことをご覧いただきます。
さらに、今回の「モネ それからの100年」展が、モネの遺産に焦点を当てている点に関連させて、古典絵画や既存の作品、あるいは衆知のイメージを積極的に自作に取り入れて、自らの解釈で再構成し、オリジナルのイメージを転化させて新たな表現を導いている作品を採りあげました。既成のものの見方に揺さぶりをかける美術家たちの意欲作をご紹介します。
一方、駒井哲郎は、深い精神性と幻想性をたたえた世界を現出させた銅版画家です。駒井哲郎の世界に関連させた、もう一つのテーマは「幻想へのいざない 駒井哲郎展をきっかけに」です。夢幻的な花などをモチーフとする近藤弘明の作品など、主に現代日本画を中心に、幻想性に満ちた作品群をご覧いただきます。
写真展示室は、モネと同時代のフランス写真を特集します。 当時のフランスの風景、都市の景観や風俗を捉えた、ウジェーヌ・アジェ、ロベール・ドマシーらの写真をお楽しみください。