―山と文学、そして美術―
小島烏水(1837-1948)、東西文化の融合する明治の横浜に育ちました。横浜商業学校(現横浜商業高校=Y校)を卒業後、横浜正金銀行の行員として勤務する傍ら、紀行文学者、日本における近代登山のパイオニア、浮世絵研究家など多彩な活動を展開し、それぞれで頂点を極めた稀代の文化人です。烏水はまた、版画コレクターでもあり、広重をはじめ北斎、国芳らの名品を含む浮世絵版画を収集する一方、日本で初めてデューラーからピカソに至るまでの西洋版画の体系的なコレクションを形成し広く紹介しました。横浜美術館には、烏水旧蔵の版画コレクションや資料のうち約900点が収蔵されています。
この展覧会では、その中から約250点を展示し、烏水の版画コレクションの全貌を明らかにします。また、著作や資料、交流のあった水彩画家たちの風景画を通し、山と文学から美術へと展開した壮大な烏水ワールドの魅力にせまります。
展覧会図録
『小島烏水版画コレクション展—山と文学、そして美術—』 大修館書店、2007年