スコットランド在住の美術家、スー・グリアソンはもともと染色の研究者でしたが、50才を過ぎた頃より、現代作品の制作を始め、風景をモチーフにした写真や平面作品、映像作品を制作しています。
本展《Slice》では、実在の風景を撮影した写真、コンピューター処理した架空のイメージや、オブジェ、映像、短いテキスト等を組み合わせた、6点の新作インスタレーション作品を展示します。同じ風景を見ても、人それぞれの見方や解釈が異なります。また、一見なんの関係もないような複数のイメージも、ある視点を与えることで、ひとつの物語として見えてくることもあるでしょう。断片的なイメージを集め、再構成することによって、彼女は、見るという行為が持つ多面性を示そうとするのです。
グリアソンは自身の作品を制作するかたわら、他のアーティストの展覧会のキュレーションや、国際シンポジウムへの参加などを通して、スコットランドの現代美術を海外に紹介する活動を行っています。本展では、2004年に彼女が同じスコットランド在住のアーティスト、サラ・フェルトンと共同企画した、映像作品上映会を開催いたします。
また本展の共催者であるECHOプロジェクトは、日本人の女性美術家3名を中心に、2001年に結成され、キュレーターや美術に関心のある一般の人々のサポートを得ながら、国内外の作家を招聘し、展覧会やレクチャー等を開催してきました。グリアソンとは互いの活動に深く共感し、これまでも日本やスコットランドで交流展やワークショップを開催しています。本展は、このようなアーティスト同士の交流活動として実現するものです。