パリに本拠をもつマーグ画廊は、エメ・マーグとその妻マルグリットによって1945年に設立されました。夫妻は、ミロ、レジェ、シャガール、ジャコメッティ、ボナールらと親交を結び、彼らの作品を収集して、ヨーロッパ有数の画廊の地歩を築きました。また、美術雑誌「鏡の裏」や「アール・ヴィヴァン」を発行し、同時代の美術の興隆に並々ならぬ情熱を傾けました。1964年、夫妻は南フランスのサン=ポール・ド・ヴァンスにマーグ財団美術館を設立し、多年にわたるコレクションを公開すると共に、美術・音楽・演劇の枠を超えて、世界の若手芸術家に発表の場を提供するようになりました。エメ夫妻の死後、その遺志は子息アドリアン、孫のイザベルとヨーヨに受け継がれ、巨匠たちの作品に加えて、黒田アキ、ガシオロフスキー、デルプラトなど、新進作家の紹介と収集に精力的に取り組み、世界的な注目を集めています。
本展は、3代にわたるマーグ・ファミリーが収集した作品の中から159点を、パリのマーグ画廊の協力を得て、わが国で初めてまとまった形で紹介し、彼らコレクター一家の独自の審美眼が選び抜いた豊麗な世界を示そうとするものです。
展覧会図録
『20世紀美術への眼差し—マーグ・コレクション』 ホワイトPR、1994年