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横浜美術館コレクション展 2020年2月15日(土)-5月24日(日)

「横浜美術館の西洋美術 木版挿絵からボルタンスキーまで―絵画・版画・写真・彫刻」

概要

この展覧会は、横浜美術館コレクションの西洋美術に焦点を当て、絵画、版画、写真、彫刻を美術史の流れに沿って構成します。西洋美術だけのコレクション展は当館で初めての企画です。

横浜美術館は西洋作家による油彩画、水彩素描、版画、彫刻を合わせて約1,000点所蔵しています。なかでもダリの《ガラの測地学的肖像》やマグリットの《王様の美術館》をはじめとするシュルレアリスムの作品群と、シュヴィッタースやタトリンなど、20世紀前半にそれまでの美術の概念を覆したダダや構成主義の作品、そしてセザンヌの《ガルダンヌから見たサント=ヴィクトワール山》やピカソの《肘掛け椅子で眠る女》、ブランクーシの《空間の鳥》などのフランス近代美術は当館コレクションを特徴づけるものとなっています。

今回はそれらに加え、これまで展示される機会の少なかった作品を数多くとり上げます。横浜に暮らした登山家・随筆家で版画コレクターでもあった小島烏水(こじま・うすい)旧蔵の16世紀から19世紀にかけての西洋版画は見どころのひとつです。ウルス・グラーフの木版画《百卒長のいるキリスト磔刑》は、1470年頃より盛んになった木版画と活版印刷のテキストを組み合わせた初期挿絵本のひとつ、『リンクマンの受難伝』(1506年シュトラスブルク初刊)の中の一葉です。また、17世紀のヨーロッパを代表する風景画家クロード・ロランによる数々のスケッチを、精緻な観察と高度な技術によって版画化したアルバム『ミュージアム・クロード』(1840年頃刊)は、写真発明以前の手仕事による複製芸術の重要な作例です。小島烏水旧蔵版画コレクションにはさらに、バルビゾン派のコローやドービニー、印象派のマネ、ドガ、ルノワール、キュビスムやフォーヴィスムなど20世紀の新たな表現を開拓したピカソやマティスの版画作品が含まれています。

19世紀半ばの写真の発明以降、美術と写真は様々な形で深く関わりあってきました。ダゲールと並ぶ写真の発明者のひとりタルボットは、風景画制作の補助として写真技術に取り組みました。それまで手仕事であった複製版画に写真技術が応用され、19世紀末から20世紀初頭にかけて名作の印刷図版が大量に出回るようになると、美術鑑賞のありかたが大きく変化します。他方、写真の普及は美術家たちに複数のオリジナルが制作できる銅版画や木版画への関心を呼び起こしました。20世紀に入ると、写真は美術の表現自体に大きな影響を与えるようになります。ダダや構成主義、シュルレアリスムの美術家たちは写真を絵画の中に取り入れたり、自ら写真作品を手掛けたりするようになります。写真や複製技術を戦略的に応用したポップアートは、今日ますます高度化する複製技術の時代を象徴するアートといえるでしょう。現代の美術家ボルタンスキーは、ホロコーストの犠牲になったかもしれないウィーンのユダヤ人学校生徒の卒業アルバムを複写して作品中に用い、観る者が生と死を再考するための重要な要素としています。

本展は、1982年以来三十余年にわたる横浜美術館の西洋美術収集の成果を幅広くご覧いただくとともに、木版挿絵からボルタンスキーに至る西洋美術500年の歴史をたどりながら、絵画、版画、写真、彫刻を通して美術における手仕事と写真の豊かな関係に思いを馳せていただく展示を目指します。

基本情報

会期
2020年2月15日(土)~5月24日(日)
* 2月29日(土)~5月24日(日)は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休館
主催
横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)

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