「コレクションをつくる。未来へつなぐ―近年の収蔵品より」「人を描く―日本の絵画を中心に」
■コレクションをつくる。未来へつなぐ―近年の収蔵品より
■人を描く―日本の絵画を中心に
今期のコレクション展は、2つのセクションで構成します。
「コレクションをつくる。未来へつなぐ―近年の収蔵品より」では、2010年代の収集作品の中から初展示となる作品を中心に、近年とくに厚みを増した近現代日本美術の作品群を、4つのテーマでご紹介します。写真展示室では、新収蔵作品から、土田ヒロミの広島をめぐる3つのシリーズと、石川直樹の「ARCHIPELAGO」シリーズを特集します。
横浜美術館は、横浜市の収集方針に則って市に候補作品を提案し、毎年の美術資料収集審査委員会を経て、新たな作品を収蔵しています。コレクターや市民の方々からの収集のほか、当館企画展のために制作された作品を作家から収集することもあります。また、学芸員の継続的な作家研究が、まとまった作品群の収集に結びつくこともあります。優れた作品を収集し、さまざまな切り口でご紹介し、適切な環境で守り未来へとつなぐことは、美術館の大切な使命です。
「人を描く―日本の絵画を中心に」では、近現代の多様な人物表現をご紹介します。「人」は、古今東西の芸術家を魅了してやまないモチーフです。企画展「ヌード NUDE―英国テート・コレクションより」でもご覧いただくように、こと裸体画は西洋の芸術家たちをとらえ、いつの時代も永遠のテーマであり続けてきました。日本では、1895年に「裸体画論争」を巻き起こした黒田清輝の《朝妝(ちょうしょう)》を嚆矢(こうし)に、日本の風土や精神性に即した裸体表現との格闘が始まりました。そして今日もなお多くの画家が、この主題に挑み続けています。 本セクションでは裸体画のほか、特定の人物の相貌や特徴を描いた肖像画や、見る人の心を映す鏡ともなるアノニマスな肖像、また、近代の日本画家たちが理想美を求めて取り組んだ歴史人物画などのテーマにより、作品を展示します。作品に込められた、画家たちの人間観や歴史観を感じとっていただければ幸いです。