アメリカン&モダン
本展は、20世紀のアメリカひいては世界の近代絵画の歴史に偉大な足跡を残した女性画家ジョージア・オキーフ(1887-1986)の画業を、日本で初めて本格的に紹介しようとするものです。オキーフは、アメリカ中西部ウィスコンシン州サン・プレイリーの農場に生まれ、シカゴ美術研究所やコロンビア大学などで美術を学びました。1917年、写真家アルフレッド・スティーグリッツに見いだされ、ニューヨークで衝撃的なデビューを果たしました。大半の画家たちがヨーロッパ美術の影響を当然のことと受け止め、「フランス的ということがモダンと同じ意味をもった」時代に、オキーフはヨーロッパに行ったこともなく、その影響を受けることもなく、全く独自の「アメリカ的でモダンな」表現を生み出したのです。
この度アメリカ国外で初めて実現されたオキーフの世界巡回展は、ロンドン、メキシコシティを経て、日本では横浜美術館で開催の運びとなりました。日本展では、抽象的な木炭素描から、キャンパスいっぱいに描かれた花や葉、ニューヨークの摩天楼の風景、後年彼女が移り住んだニューメキシコの風景、晒された骨など、様々な主題の油彩画にいたるまで、78点の作品が出品されます。早くから称賛を浴びながら、「ただ画家として」記憶されることを願ったオキーフの芸術の神髄に触れる絶好の機会となるでしょう。
展覧会図録
『ジョージア・オキーフ:アメリカン&モダン』 インターカルチュラ、1993年