【特集展示】タゴール生誕150周年「タゴールと三溪ゆかりの日本画家たち」
Rabindranath Tagore and Japanese Painters in the Circle of Hara Sankei
2011年は、アジア初のノーベル賞受賞者(文学賞)で、インドの詩聖と称されるラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore、1861-1941)の生誕150年にあたります。1902年(明治35)にインドのコルカタを訪れた岡倉天心(おかくら・てんしん)との出会いをきっかけに、タゴールは1916年(大正5)から1929(昭和4)にかけて生涯に5度日本を訪れています。初来日の際は、生糸貿易で財をなした横浜の実業家で、日本美術の支援者でもあった原三溪(はら・さんけい、本名:原富太郎)の自邸が設けられた三溪園に2か月半逗留しました。タゴールは三溪を通じて、横山大観(よこやま・たいかん)と下村観山(しもむら・かんざん)の作品に接し、それまでのインド絵画には見られないような構図や表現方法に感嘆します。そして近代インド絵画の発展に供するため、下村観山作≪弱法師≫(1915年、東京国立博物館蔵)の模写をインドに持ち帰ります。また、その模写を担当した荒井寛方(あらい・かんぽう)を、タゴールが創設したインドの学園(現在の国立大学ビッショ・バラティ)に絵画教授として招聘し、日印の画家たちの交流の契機を作りました。
横浜美術館では、原三溪に庇護を受けた作家の作品を収集していることから、このたびタゴール生誕150年にあわせ、タゴールと原三溪の関係を紹介し、タゴールと交流を持った大観、観山、寛方らと、1914年(大正3)に単身インドへと向かい、そこで取材した風景をもとに名作≪熱国之巻≫(1914年、東京国立博物館蔵)を残した今村紫紅(いまむら・しこう)の当館収蔵作品を展示します。あわせてタゴールと原三溪のつながりを示す、三溪園ご所蔵の作品や資料を特別展示いたします。
※ 三溪園特別出品につきましては、2012年2月4日より新しい展示内容になります。詳しくは作品リストをご覧ください。
下村観山《弱法師》
大正4年頃 絹本着色、双幅