横浜美術館コレクション展 2011年12月17日(土曜)から2012年3月18日(日曜) 横浜美術館 横浜美術館コレクション展

原田正路/石川真生
HARADA Masamichi / ISHIKAWA Mao

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ファインダーを通して自らの生活拠点を見つめ続ける2人の写真家を紹介します。  

原田正路(はらだ・まさみち、1931-1999)は、旧満州に生まれ、東京で福田勝治に写真を学んだのち、1960年代から長崎・福岡を拠点に写真家として活動をはじめました。繊細な感性と卓越した技術によって撮りためられた風景写真には、自身の住む町の歴史に向けられた原田の深い思いを見て取ることができます。初期の「長崎」シリーズ、そして晩年の「外人墓地」シリーズでは、海外への窓口の役割を担いつづけたこの港町の諸相を、そこに堆積する時間とともに切り取っています。また1986年から晩年の10年あまりを過ごした横浜を被写体とした「横浜」シリーズでは、みなとみらい21地区をはじめとする都市開発の様子と、港や並木道などが織りなす懐かしい横浜のたたずまいの両方にレンズを向け、都市とそこに暮らす人々の姿を情感豊かに写し出しています。

石川真生(いしかわ・まお、1953年生まれ)は、沖縄に生まれ、20歳のときに東松照明の主宰する写真学校に入学しました。以来、現在にいたるまで、沖縄とそこに暮らす人々を写真に撮り続けています。米軍基地をはじめ、とかく政治的・社会的な眼差しで捉えられがちなモティーフを扱いながらも、石川の写真制作は、声高なアジテーションとは趣を異にしています。キャンプ・ハンセンの兵士、フィリピン人女性、沖縄芝居の役者など、さまざまな境遇の人たちをありのままに捉えたポートレイトには、写真家から被写体に向けられた愛情、そして両者の生きざまそのものが映し出しされています。今回は、2005年に当館で開催された企画展『ノンセクト・ラディカル 現代の写真3』出品の「沖縄ソウル」シリーズのうち、2009年度に新たに収蔵した30点を展示します。

原田正路/石川真生

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