名画でたどるコレクションの歩み
パリのセーヌ河岸に立つルーヴル美術館は、幅広く水準の高いそのコレクションにより、専門家はもとより、世界中の美術愛好家の憧憬の的となっています。この世界有数の内容と規模を誇るルーヴル美術館は、今年開館200年という記念的な年を迎えます。フランス革命直後の1793年11月18日、歴代の王室コレクションがルーブル王宮の中央ギャラリーで正式に一般公開されたのが始まりです。その後、ナポレオンの登場とこれに続く王政復古、七月革命などの政治的、社会的変動を経て美術館としての整備と収蔵品の拡充がはかられ、世界有数の美術館として名実ともにその体裁を整えてきました。そして、21世紀を目前に控えた現在、ルーヴル宮全体を美術館に改造する壮大な「グラン・ルーヴル計画」が進んでおり、今年11月には完成。これを機に、ルーヴル美術館は、新たな飛躍の時期を迎えます。
本展は、このルーヴル美術館200周年を記念し、同館の絶大な理解と協力によって実現したものです。95点の出品作品のほとんどが日本初公開であるうえ、 40点以上の絵画作品がルーヴルからひとつの展覧会に貸し出されるのは、初めてのことです。現在のルーヴル美術館のコレクションの中核をなす、旧王室コレクションをはじめ、フランス革命期に教会や亡命貴族から没収した作品や、ナポレオンの収集した作品、あるいは、大コレクターからの寄贈作品など、これまで知られることのなかったルーヴルのコレクションの形成の興味深い歴史を振り返ると同時に、16世紀から19世紀に至る西欧美術の華麗な歩みを改めて紹介します。
展覧会図録
『ルーヴル美術館200年展』 日本経済新聞社、1993年