横浜美術館で初めて開催する日本画展覧会として、横浜ゆかりの画家鏑木清方(かぶらき・きよかた)の画業を紹介します。
鏑木清方は、明治11年(1878)、東京神田佐久間町生まれ。挿絵画家としてその活動を開始し、やがて文学的世界と密接につながった独自の画風を確立、官展(文展・帝展)画家としての地位を築きました。また、大正9年(1920)神奈川県金沢(現・横浜市金沢区谷津町)に別荘を設け、そこで代表作の1つ「朝涼」などの画想を得たことでも知られています。その芸術観は、一貫して市井の風俗、「時世粧」に根差したものであり、我国の風俗画が確立された桃山時代から江戸時代の浮世絵に至るまでの広範な古典の研究を背景にしています。昭和22年(1947)に、芸術院会員となり、同29年(1954)には文化勲章を受章、同47年(1972)、鎌倉雪ノ下の自宅にて、94歳の長寿を全うしました。
この度は、幅広い清方の画業を5つのセクションに分類し、日本画118点、下絵・スケッチ類86点をはじめとして、画伯遺愛の品々など関連資料もまじえながら、総合的に紹介します。
展覧会図録
『鏑木清方展』 横浜美術館、1990年