斎藤義重(さいとうよししげ)は、昭和初期よりダダイスムや構成主義などヨーロッパの前衛美術に注目し、自らも二科九室会や美術文化協会の結成に参加するなど、戦前に日本の前衛美術運動が興った頃に作品を発表しはじめました。その後、戦争中は止むなく活動を停止しますが、1950年代に再開して精力的に作品を発表し、《作品4》に見られるような非具象的作品により内外の評価を得ました。1960年代半ばからは、立体的造形に関心を向けました。《内部》は1981年に横浜市民ギャラリーで開催された「今日の作家展」に出品された作品です。板材が多様に重なり合う構造には、個々の部分の対応関係によって緊張感がみなぎっています。
 斎藤義重は、1964年より多摩美術大学で教鞭をとり、後に「もの派」と呼ばれるようになる、1970年前後の日本で素材にほとんど手を加えず直接的に提示することを試みた作家たちに多大な影響を与えました。(すが)木志雄(きしお)も、斎藤教室に学んだ作家の一人です。《散境》は、1999年に横浜美術館で開催された「菅木志雄−スタンス」展のために制作された作品です。菅は、ガラス板や木片を素材として扱う時、それらを作品を組み立てるための単なるパーツとは考えていません。展示空間に素の材料を置くことによって、個々の「もの」とそれを取り囲む周囲の空間との関わりや、「もの」が空間に置かれるとはいかなることかを、われわれに問いかけています。

・斎藤義重 《作品 4》 1960年 油彩、合板
・斎藤義重 《内部》 1981年 木、ラッカー
・菅木志雄 《体境連空》 1999年 木 菅木志雄氏寄贈
・菅木志雄 《散境》 1999年 木、合板、ガラス 菅木志雄氏寄贈

コレクション・トーク
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講師: 菅木志雄氏(美術家)
日時: 2004年3月6日(土) 午後3時より
場所: 横浜美術館 (集合場所: グランドギャラリー)
定員: 先着70名


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