横浜美術館コレクション展 2012年4月7日(土曜)から6月24日(日曜) 横浜美術館

春から夏へ 日本美術院の画家たちを中心に 

横浜美術館は、日本美術院の画家や、横浜出身あるいは横浜を拠点に活動した画家たちの作品を収集してきました。

御舟≪麦>>速水御舟《麦》
1925年(大正14)
絹本着色、額131.0×41.0㎝

1906年(明治39)横浜に三溪園を開いた実業家の原三溪(はら・さんけい、本名:原富太郎)は、日本美術の振興のために、下村観山(しもむら・かんざん)、今村紫紅(いまむら・しこう)、安田靫彦(やすだ・ゆきひこ)、小林古径(こばやし・こけい)ら日本美術院の画家たちを支援しました。下村観山には本牧和田山に土地を与え邸宅を構えさせ、制作に集中できる環境を整え、荒井寛方(あらい・かんぽう)が仏教美術研究のためにインドへ留学する際には、惜しみなく資金を援助しました。さらに古美術に造詣の深かった三溪は、紫紅や靫彦ら若い画家たちに毎月の経済上の援助を約束するほか、彼らを月に1、2度自邸に招き、自らが蒐集した古画を見せて共に議論を交わし、研究や模写を奨励しました。日本美術院草創期の画家たちは、琳派など日本の伝統的な絵画とともに、油彩画や水彩画など西洋の絵画様式や技法も研究し、革新的な日本画の創造を目指しました。

今回はこれら日本美術院の画家たちの、春から夏にふさわしい作品を中心にご覧いただきます。荒井寛方《羅浮仙》(らふせん)には、中国の故事に登場する梅の精「羅浮仙」が、花を咲かせた梅樹の傍らに佇んでいる様子が描かれています。安田靫彦《窓》(まど)では、見頃を迎えたガクアジサイが、まるで室内に置かれた壺に生けてあるかのように窓から顔を覗かせています。それぞれの作品のなかから、春から夏へと巡る季節を感じていただけることでしょう。

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展示室風景

展示風景