2017年4月15日(土) ~ 6月25日(日)
1859(安政6)年の開港以来、横浜は西洋の文化を受け入れ、日本の文化を海外に送り出す玄関口としての役割を担ってきました。この展覧会では、19世紀後半から20世紀前半のファッションと美術に焦点を当て、横浜を一つの拠点とする東西の文化交流が、人々の生活や美意識にどのような影響を及ぼしたのかを紹介します。
明治以降の日本では、西洋からもたらされたファッションやライフスタイルが、急速に人々の暮らしに浸透していきました。一方、西洋へは日本の美術品やきものが輸出され、ジャポニスムのブームが起こりました。日本と西洋の双方にとって、海の向こうの人々は、美しく珍しい衣服を優雅にまとい、自分たちのものとは異なる工芸品で日々を豊かに彩る、「麗しき」他者であったことでしょう。
横浜では初めての展示となる京都服飾文化研究財団(KCI)所蔵のドレスや服飾品約100点を中心に、国内外の美術館や個人が所蔵する服飾品、工芸品、絵画、写真など計約200点を展観。日本と西洋が互いの装いと生活の文化をどのように受容・展開し、新しい美を見出していったかをたどります。(会期中、一部展示替えがあります)
世界屈指の服飾コレクションを有し、研究活動を行う京都服飾文化研究財団(KCI)と横浜美術館とのコラボレーションが実現。東西のファッションと、ジュエリーやテーブルウェアなど生活を彩った工芸品や絵画、写真がともに展示され、当時の人々の暮しに思いを馳せることができます。
ドレスのコレクションで世界的に名高いKCI。なかでも19世紀後半から20世紀初頭にかけて日本のきものの影響を受けた西洋のジャポニスムのドレスはコレクションの主軸の一つです。本展では、そのコレクションを20年ぶりにまとまった形で公開します。また、横浜美術館では初めての、ファッションを大規模に取り上げた展覧会です。
19世紀後半、開港地横浜から輸出された工芸品や服飾品は西欧で人気を博し、ジャポニスムのブームが起こりました。横浜は輸出用の工芸品の一大生産地となります。本展では活気に満ちた明治期の横浜から発信された“Made in Japan”の品々を展示します。
女性のファッションの洋風化は、皇族や貴族から始まったといわれています。特に皇室の服飾は、世界に向けて日本のエレガンスを象徴する重要な意味も担っていました。新年の朝賀の際に着用された昭憲皇太后の大礼服は、3メートルを超えるトレーンを引く豪華なドレス(マントー・ド・クール)で、当時の縫製技術の粋を尽くして製作されました。大小の菊花が日本刺繍で施され、東西の文化が見事に融合しています。
東西を問わず、新しいファッションに身を包んだ女性たちは、いつの時代も作家にとって魅力的な画題です。特に19世紀後半は異国への憧れがファッションにも反映し、画家たちのイマジネーションを刺激しました。日本の画家たちは、洋服や西洋風装身具を身に着けた女性を描き、一方、西洋の画家たちも異国への憧れを込めて日本のきものをまとった女性を描いています。