横浜美術館コレクション展第2期 2012年7月14日(土曜)から9月23日(日曜) 横浜美術館コレクション展第2期 横浜美術館

人の形を見る―不思議な具象

 

シュルレアリスムの作品にみる人の形

展示風景

展示風景

 シュルレアリスム(超現実主義)は、1924年、詩人アンドレ・ブルトンによってパリで提唱され、両大戦間にアメリカ、ベルギー、イギリスなど国際的な広がりを見せていった芸術革新運動です。無意識の世界にこそ美や真実が宿ると信じた彼らは、ものや言葉との偶然の出会いを手掛かりとしたさまざまな手法を開発し、夢や幻想など意識下に埋もれている豊かなイメージを引き出そうと試みました。

 彼らの作品では、人はどのように表現されているでしょうか。たとえば、マン・レイのオブジェには、既製品の一部として人体が取り込まれており、ハンス・ベルメールの写真には、解体された人形の部位が組み直され、奇妙な形態として人体が登場します。また、ルネ・マグリットによる《王様の美術館》の山高帽の男は、目と鼻と口は描かれているものの、そのシルエットには風景が転置され、不可思議な空間が広がっています。一方で、サルバドール・ダリによる《幻想的風景》の中央に描かれている人物の顔の相貌を作る要素は、よく見ると空を飛ぶ鳥のようにも見えます。これは、ひとつのイメージにふたつの意味を重ね合わせるという、ダリが頻繁に用いた方法です。

 ここでは、シュルレアリスムの作家たちが意識下に眠るイメージを視覚化するための手法を追究する中でたどり着いた、人の形の表現の広がりをお楽しみください。

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