【特集展示】ヨココレにある奈良美智作品
展示風景

展示風景

 横浜美術館は、2001年(平成13)に日本の公立美術館として初めて奈良美智(なら・よしとも)の個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」を開催しました。また2000年(同12)と2006年(同18)の二度にわたり奈良作品の寄託を受け、企画展やコレクション展会場で順次展示し、積極的に奈良の作品を紹介してきました。今回は、作家の滞独中から2002年(同14)までにつくられた、当館にある奈良作品全31点をまとめて展示する初めての機会となります。
 奈良美智は、1959年(昭和34)青森県弘前市に生まれ、幼い頃から絵を描くことに親しみました。1979年(同54)に武蔵野美術大学に入学、続いて愛知県立芸術大学で学んだ後、1988年(同63)にドイツへ渡ります。そして、デュッセルドルフ美術アカデミーで現代ドイツを代表する画家A.R.ペンクに師事し、その後もしばらく同地を拠点に活動しました。
 2000年(平成12)夏に帰国すると、子どもや動物をモチーフとした奈良の作品は、日本の若い世代を中心に共感を呼びました。それらは、一見すると愛らしいイメージですが、どこか不敵な表情を浮かべ、残酷な一面を垣間見せることすらあります。また、奈良はよしもとばななの小説をはじめとした数多くの書籍の挿画やCDジャケットのデザインも手掛けており、その仕事は現代美術としてのみならず、わが国のポップカルチャーとしても親しまれるようになりました。2005年(平成17)の第2回横浜トリエンナーレにはクリエイティブ・ユニットgrafと共同で出品、2010年(同22)にはニューヨークのアジア・ソサエティーで大規模な個展を開催するなど、今日に至るまで旺盛な創作活動を行い、国内外で高く評価されています。