写真展示室 / 19世紀の写真

写真術の発明は、1839年フランス人ダゲ−ルが、フランスの科学・芸術アカデミーにて「ダゲレオタイプ」という銀板写真法を発表したことでたちまち世界に広まっていきました。またイギリスでは、1841年頃までにタルボットが、「カロタイプ」という紙印画法を完成し、ネガによって何枚もの写真を現像できる現在の写真の基盤を確立しました。
19世紀半ばを過ぎると、ヘンリー・ピ−チ・ロビンソンやピーター・ヘンリー・エマーソンらのように、絵画の構図やモチーフをとり入れ、写真を芸術表現として意識的に捉える動きも現れました。また、ロジャー・フェントンのクリミア戦争の記録写真や、探検隊に同行しアメリカの辺境を記録したティモシー・オサリヴァンの紀行写真に見られるように写真の記録的価値の重要性もあらためて認識され始めます。1863年頃来日し20年間滞在したフェリックス・ベアトは、横浜の居留地を拠点として各地の風景や風俗を撮影し、アルバムや雑誌を通じて日本文化を海外に紹介する役割の一端を担いました。
日本には1848年オランダからダゲレオタイプが伝来し、明治初期にはベアトら来日写真家を通して本格的に写真術が広まりました。長崎の上野彦馬(うえの・ひこま)や横浜の下岡蓮杖(しもおか・れんじょう)らが営業写真館を開き、主に肖像写真を撮影しました。

ポール・セザンヌ《カルダンヌから見たサント=ヴィクトワール山》ヘンリー・ピーチ・ロビンソン
《ポートレートの習作》
1873年
Henry Peach ROBINSON
Portrait Study
1873

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