みどころ

1.富士ゼロックス版画コレクションを大規模に紹介する初の試み

富士ゼロックス版画コレクションは1988年以来、「版画もしくはそれに類する複数制作されたもので、その時代の精神や文化を表徴する作品」を指針として、欧米と日本の重要な作家による版画、写真、コピー・アート(ゼログラフィーによる作品)、アーティストブックなどを収集しています。そのコレクションは、社業とも関係の深い美術作品(版画)を通しての社会貢献を目指してつくられたものです。現在約950点を擁し、2010年に横浜のみなとみらい21地区に新築された研究開発拠点ビル内の「富士ゼロックス・アートスペース」で定期的な展示を行っています。
そのコレクションからの約150件・350点がまとまって展示されるのは本展が初めてとなります。


※作品をクリックすると、大きな画像でご覧いただけます。


  • パブロ・ピカソ
    《貧しき食事》
    1904年 / エッチング、紙 / 46.3×37.7cm
    富士ゼロックス版画コレクション
    ©2016- Succession Pablo Picasso - SPDA(JAPAN)
  • パウル・クレー
    《ホフマン的な場面》
    1921年 / リトグラフ、紙 / 31.7×22.8cm
    富士ゼロックス版画コレクション
  • ヴァシリィ・カンディンスキー
    《小さな世界IV》(版画集『小さな世界』より)
    1922年 / リトグラフ、紙 / 35.8×28.8cm
    富士ゼロックス版画コレクション
  • アレクサンドル・ロトチェンコ
    《階段》
    1929年(1994年のプリント) / ゼラチン・シルバープリント / 16.1×22.1cm
    横浜美術館蔵
  • アンリ・マティス
    《サーカス》(詩画集『ジャズ』より)
    1947年 / シルクスクリーン、紙(書籍)/ 42.5×65.0cm(用紙)
    富士ゼロックス版画コレクション
  • クルト・シュヴィッタース
    《メルツ絵画1C 二重絵画》
    1920年 / アッサンブラージュ、油彩、厚紙 / 15.6×13.7cm
    横浜美術館蔵
  • ハンス(ジャン)・アルプ
    《森の舞台装置》
    1955年 / リトグラフ、紙 / 39.3×30.7cm
    富士ゼロックス版画コレクション
    ©PRO LITTERIS, Zurich & JASPAR, Tokyo, 2016 C0970
  • アンディ・ウォーホル
    《花》
    1970年 / シルクスクリーン、紙(10点組の1点)/ 91.4×91.4cm
    富士ゼロックス版画コレクション
    ©2016 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York & JASPAR, Tokyo C0957
  • 前田信明
    《ローソク1020秒》
    1970年 / ゼログラフィー、ゼロックスペーパー(10点組の1点)/ 25.7×36.4cm
    富士ゼロックス版画コレクション
    ©Nobuaki MAEDA
  • カール・プロースフェルト
    《ディプザクス・ラツィニアトゥス》(写真集『12枚の写真』より)
    1928年(1975年のプリント) / ゼラチン・シルバー・プリント / 25.7×19.8cm
    富士ゼロックス版画コレクション
  • 戸村 浩
    《星・星の数 ブック A, B》
    2005年 / インクジェット、紙(2冊組) / 6×6×6cm、 6×6×5cm
    富士ゼロックス版画コレクション
    ©戸村浩2016
  • マックス・エルンスト
    《白鳥はとてもおだやか…》
    1920年 / コラージュ、紙 / 8.3×12.0cm
    横浜美術館蔵
    ©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2016 C0956

2.ヴァルター・ベンヤミンが言及した美術や写真の実作品

ヴァルター・ベンヤミンの論文『複製技術時代の芸術作品』は、その後の美術、写真、映画の評論だけでなく、メディア論や社会学、思想研究に大きなインパクトを与え、今日も多くの人びとに読み継がれ、解説書も出版されています。本展は特にヴァルター・ベンヤミンの写真や美術に関する考察や発言に注目し、彼が著作中で言及した写真や美術の作例を展示します。

  • ナダールによるボードレールの肖像
  • アジェによるひと気のないパリの都市風景
  • コンタクトプリントの発明者タルボットが美術史の名作を写した《ラオコーン像》
  • 写真による社会構成員の総目録を目指したザンダー
  • 植物の拡大写真集を『芸術の原形態』として出版したブロースフェルト
  • ヴァルター・ベンヤミンが「複製としての烙印」と呼んだ廃品コラージュを作ったシュヴィッタース
  • ヴァルター・ベンヤミンが終生愛好した水彩画の作者クレー  など

そのほか、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、ハンス(ジャン)・アルプ、マックス・エルンスト、ラースロー・モホイ=ナギ、マルセル・デュシャン、さらにヴァルター・ベンヤミンが高く評価したシュルレアリスムの詩人のひとりポール・エリュアールがマン・レイと共作した詩画集など、ヴァルター・ベンヤミンの著述に登場する代表的な写真家や美術家たちの実作品を、美術史の流れの中で鑑賞することができます。



富士ゼロックス・アートスペース 関連展覧会

本展会期中、富士ゼロックス・アートスペースでは関連作家を取り上げた展示を開催します。通常は平日のみの開館ですが、特別に土・日も開館。みなとみらいを散策しつつ、さらなる芸術鑑賞をお楽しみください。