展覧会について

――カラダが語りだす、世界の隠された物語――

ウダム・チャン・グエン《ヘビの尻尾》2015年、ビデオ・インスタレーション(3面)より(部分)

本展で紹介するのは、人間の身体や集団としての行動、超自然的な存在など、歴史を通じて作り上げられた身体が生み出すイメージの数々をモチーフに、それぞれの角度から作品化していく現代の作家たちの作品です。


わたしたちはしばしば、ある身体に対して「健康/不健康」とか、「美しい/醜い」といった感覚を抱いたり、特定の行動の中に「典型的な日本人」といった形容で何かの集団を代表するイメージを思い描くことがあります。あるいはほんの少しその印象が食い違うだけで、とても奇妙な感覚を覚え、全く異なる意味を感じ取ってしまうこともあるでしょう。


肌の色、民族や宗教、性差や生活のスタイルまで、さまざまな違いのある人々が同居する世界では、個々の身体が持つ色や形状、振る舞いなど、本来特定の意味などなかったはずのものにも長い時間の中で価値の差別化が生じ、不幸な歴史へと繋がったことも少なくありません。


展示は、アフリカ風の更紗を用いた作品で知られるイギリスの作家インカ・ショニバレ MBE、マレーシアの女性作家イー・イラン、映画監督としても知られるタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン、ベトナムを拠点に活躍するウダム・チャン・グエン、日本からは注目の作家、石川竜一と田村友一郎の6作家によるインスタレーションをはじめ、会期中のライブ・パフォーマンスや、ダンスのワークショップなどで構成されます。また、「横浜ダンスコレクション2017」とも連携し、美術とダンスの両面から身体が生み出す表現を掘り下げます。


ヨーロッパとアフリカ、東南アジア、そして日本。本展出品の6作家の作品には、詩的に、時にユーモア溢れる表現で、身体を通じて立ち現れる歴史と向き合い、未来へ向けて新たな意味を見出していこうとする姿が見えてくることでしょう。


出品作家

  • インカ・ショニバレ MBE Yinka Shonibare MBE
  • イー・イラン Yee I-Lann
  • アピチャッポン・ウィーラセタクン Apichatpong Weerasethakul
  • ウダム・チャン・グエン UuDam Tran Nguyen
  • 石川竜一 Ishikawa Ryuichi
  • 田村友一郎 Tamura Yuichiro

(展示順)

パートナー・プロジェクト

横浜ダンスコレクション2017 BODY / PLAY / POLITICS

22年目を迎える横浜ダンスコレクション2017では『BODY/PLAY/POLITICS』 をテーマに、世界的に活躍するアーティストの作品をご紹介します。
生と死、大地と生命の循環、その全てのバックグラウンドとなる「Vessel」(器|船)を作品の基本概念と位置づけ、気体・液体・固体に至る特性の幅を有する舞台美術と、動的に「態」を変え続けるダンサーの肉体との融合に挑むダミアン・ジャレ(振付家・ダンサー)と名和晃平(彫刻家)《VESSEL》。
社会の主流とは一定の距離にある環境下に置かれた身体を取り上げ創作する アイサ・ホクソンの《HOST-fantasy and reality》(日本初演)。
また、演出家の多田淳之介は『BODY/PLAY/POLITICS』をテーマに新作のダンス作品を創作し世界初演。

会期2017年1月26日(木)~2月19日(日)
主な会場横浜赤レンガ倉庫1号館及び屋外広場
横浜にぎわい座 のげシャーレ
参加アーティストダミアン・ジャレ、名和晃平、多田淳之介、
アイサ・ホクソンほか

ダミアン・ジャレ|名和晃平《VESSEL》

http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/