横浜美術館

光のさまざまな表現:現代ガラスと絵画を中心に

 このセクションでは、ガラス工芸、絵画、版画、写真など、さまざまな素材で光がどのように表現されているかを紹介します。

 1960年前後から、ボヘミアガラスの伝統を持つチェコのガラス作家らは、ガラスによる大型彫刻を制作し、従来のガラス工芸の枠組みを超える新たな地平を拓きました。《アーチ雲》にみられるように、わずかに光を透過する深い色のガラスを用いて、量感ある彫刻的なフォルムを作り出すリベンスキー&ブリフトヴァはその代表格です。

 同じ頃、北米中心に起こった「スタジオ・グラス」運動では、工場で職人が製作する形態を離れて作家が工房で制作することにより、技術と創意が直接結びついて、ガラスにおける芸術表現の領域を拡げました。吹きガラスで作られた形を重ねるデイル・チフーリの《海の形》は、複雑に光を取り込んで幻想的な海の動きを表しています。

 一方、絵画や版画においては、太陽や月から発する光やその変化、また蝋燭などの人工的な光、明暗の対比における象徴としての光など、美術に表される光は、作家の関心の所在に大きく関わっています。神秘的で聖なる象徴として画面に光を描き込むギュスターヴ・モローの《岩の上の女神》、心象風景の中で、抽象的な存在として光を描く中上清の《Untitled》、淡い光によって、シャボン玉のようにはかなく過ぎてゆく少年時代の一瞬をとらえたエドゥワール・マネの《シャボン玉を吹く少年》など、光のさまざまな扱いとその表現をご覧ください。

ギュスターヴ・モロー 《岩の上の女神》

ギュスターヴ・モロー
《岩の上の女神》
1890年頃
水彩、紙
30.2X19.7cm
坂田武雄氏寄贈

スタニスラフ・リベンスキー、 ヤロスラヴァ・ブリフトヴァ 《アーチ雲》

スタニスラフ・リベンスキー、
ヤロスラヴァ・ブリフトヴァ
《アーチ雲》
1991年
ガラス
76.0×100.0×10.0cm

中上清 《Untitled》

中上清
《Untitled》
2005年
アクリル絵具、カンヴァス
227.3×181.8㎝
寄託作品

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