松井冬子展 世界中の子と友達になれる

2011年12月17日(土)~ 2012年3月18日(日)
世界中の子と友達になれる
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  • 2002年(平成14年)
  • 絹本着色、裏箔、紙
  • 181.8×227.8cm
  • 作家蔵(横浜美術館寄託)
  • *学部卒業制作

《世界中の子と友達になれる》

この絵の題名とした「世界中の子と友達になれる」という絶対的に実現不可能な狂気のイデアを私は幼児期に確信したことを記憶している。誇大妄想に等しい全能的思い込みではあるが、今でも私の心的窮状を鎮める呪文、琴線を震わす言葉としてあてはめた。

優しくされているという証拠をなるべく長時間にわたって要求する
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  • 2004年(平成16年)
  • 絹本着色、軸
  • 55.3×47.5cm
  • 作家蔵

《優しくされているという証拠をなるべく長時間にわたって要求する》

生まれたばかりの赤児が最初に母親に求めるものを示した。

この疾患を治癒させるために破壊する
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  • 2004年(平成16年)
  • 絹本着色、4枚組
  • 168.6×408.6cm
  • 成山画廊蔵

《この疾患を治癒させるために破壊する》

東京の千鳥ケ淵では、桜が水にリフレクションし、像を歪めながら浮かぶ。私は凝視する核を失い、視覚の持続力を奪われ、渦を巻くように落ちそうになる。

浄相の持続
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  • 2004年(平成16年)
  • 絹本着色、軸
  • 29.5×79.3cm
  • 財団法人平野美術館寄託

《浄相の持続》

「私はこんなに立派な子宮をもっている」という攻撃的な態度は、自傷行為の原因となる防衛目的から発現した破壊的衝動である。私はこの女に対し自己投影し同一視している。また彼女の周りに咲く花々も、彼女に同調するように切断し、雌しべをみせびらかしている。私はこの作品に共感し、同調しうるであろう女性達に向けて作品を制作した。同調に関しての優れた能力は、卵をつくる、分身をつくる、という子宮を持つ者の強い特権であるからだ。

夜盲症
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  • 2005年(平成17年)
  • 絹本着色、軸
  • 138.4×49.5cm
  • 成山明光氏蔵

《夜盲症》

情念と重力には共通の関係を見いだせる。「落ち込む」という言葉通り、心理的な外傷にさらされた場合、心は重力に引っ張られるように落ち、這い上がれない。パラドクスのようだが、幽霊は重さを伴いながら浮遊する。幽霊の浮遊がただふわふわしたものではなく、情念を伴った重力感のある浮遊であることが、この上なく魅力的な素材であると感じた。

盲犬図
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  • 2005年(平成17年)
  • 絹本着色
  • 73.2×43.5cm
  • 花房香氏蔵

《盲犬図》

うつろな目をしたボルゾイ犬は、変わった首輪をはめられて、動くことをあきらめている。俊敏的素養のない犬は犬だろうか。犬の本質は俊敏さとともに立脚しているため、無意識的に重要である。盲目のために走ることをやめ、身体が軟弱化し、爪は伸び、背中は湾曲、絹のような白い毛だけがそれを美しく反映している。現実を認識し、傍受できるあらゆる主体に対して、ここでは現実の変容・物質からの離脱など、恐ろしさや美しさの価値の軌跡を描きたかった。

引き起こされた不足あるいは過剰
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  • 2006年(平成18年)
  • 絹本着色、軸
  • 194.9×72.0cm
  • 成山画廊蔵

《引き起こされた不足あるいは過剰》

二羽の尾長鶏を抱合せて描いたが、二者は他者ではなく、他者に簡単に憑依していることを示している。ドラァグクイーンのようないでたちの尾長鶏の姿は、性差をかき乱す存在であるように外側と内側が混乱し、完全にナルシシズムへと突入する。私も度々女装をするが、見かけ、あるいは内容、痛ましいまでのまがまがしさは、他の何者かにアピールするためではなく、また、悲愴感のかけらもなく、ただ自分のためだけに向けられるものである。

陰刻された四肢の祭壇
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  • 2007年(平成19年)
  • 絹本着色
  • 222.0×172.0cm
  • 東京藝術大学蔵
  • *博士後期課程修了制作、野村美術賞受賞

《陰刻された四肢の祭壇》

女は理性をばらばらにした自己をもぎ取り、幸福である。誇大な空想と自己価値を失う不安から距離をとるが、自己の肉体と外部環境の境界が不明瞭になり、自己の姿を外界に投影する。自尊心と服従の鏡映機能が無意識に現れる。

終極にある異体の散在
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  • 2007年(平成19年)
  • 絹本着色、軸
  • 124.3×97.4cm
  • 個人蔵

《終極にある異体の散在》

他者の小さな断片が個人の行動の中に食い込んでいる。外界との幸福な関係を保ちながら、女は無数に彼女から排出される異質の断片を永久にほじくり続けている。また強迫的な罪責感、罪悪感、欺く、欺かれる、暴く、暴かれる、といった自分自身の全行動から恐怖を剥奪する欲求を表している。

喪の寄り道
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  • 2010年(平成22年)
  • 絹本着色、軸
  • 180.2×164.0cm
  • 作家蔵

《喪の寄り道》

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