1968年、鹿児島生まれ、現在滋賀在住。京都市立芸術大学工芸科漆工専攻卒。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー修了。主な個展に、2003年「在日の恋人」(NPO丹波マンガン記念館、京都)、2008年「[大きな休息]明日のためのガーデニング1095㎡」(せんだいメディアテーク、宮城)、2010年「スーパーキャパシターズ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、香川)、「Good House, Nice Body 〜いい家・よい体」(金沢21世紀美術館長期インスタレーションルーム、石川)。また2003年、第50回ヴェネツィア・ビエンナーレへの参加をはじめ、2004年、釜山ビエンナーレ、2005年、横浜トリエンナーレ(第2回)、2010年、あいちトリエンナーレなど、数々の国際展をはじめ国内外のグループ展に多数出品している。1993年から1997年にかけて、パフォーマーとしてダム・タイプで活動したほか、金森穣/寺田みさこらのダンス作品における舞台美術、音楽家の大友良英とのコラボレーションなど他ジャンルとの共同制作も数多い。近年は自らが演出を手がける舞台作品を発表し、演出家としても活動。
本展では、高嶺の代表作《God Bless America》や、自身の恋人との関係から、在日韓国人をめぐる差別的な感情の問題に触れた《在日の恋人》《ベイビー・インサドン》などの要素を含みつつ、横浜で滞在制作される体験型のインスタレーションへと展開していく予定です。ここでは、高嶺の過去の作品から代表的なものご紹介します。
《God Bless America》
2002年
映像作品(8’18”) ※本展出品予定
9・11事件後のアメリカのアフガニスタン侵攻政策に対する批判を出発点に、クレイアニメの手法で制作されたビデオ作品。2トンの粘土でできた巨像が「ゴッド・ブレス・アメリカ」を謳っているかのように動き、巨像と、それを動かすために奮闘する人間の姿が対照的に映し出される。
《鹿児島エスペラント》
2005年
映像インスタレーション(ミクストメディア)
2005年に開催された「横浜トリエンナーレ」(第2回)出品作。巨大な空間に土を敷き詰め、様々なオブジェを設置。土に書いた文字と映像で、鹿児島弁と世界共通語・エスペラント語の言葉が映し出される映像インスタレーション。グローバリズムとローカリティの問題を、自らの出身地の方言と人工言語により象徴的に表現。
《大きな停止》
2008年
せんだいメディアテークの展示風景
解体される1軒の民家に残されていた家財度具や建具、毛布や古い着物などを展示室内に持ち込み、映像、光、様々なサウンドとともにインスタレーションを構成。鑑賞者は視覚障がい者のガイドに伴われて、展示されたオブジェに触れ、対話しながら会場を巡り、視覚だけでは得られない感覚を体験する場となった。
《日本の近代美術・200Q》
2009年
ブルーシート、LED、コンピュータ
富山県立近代美術館の個性的な建築空間に触発されて制作した作品。直径約14m、高さ約10mの空間に、巨大な円筒形のブルーシートを吊るし、コンピュータ制御による大型のLED灯で、天井から内部を照らしだす壮大なインスタレーション。
《Free House》
2010年
国際芸術センター青森での展示風景
伐採される赤松の木を、根ごと掘り起こし、宙に浮いているかのように設置したツリーハウス。