写真のアメリカ:1900s-1940s American Photography 1900s-1940s
写真のアメリカ:1900s-1940s 展示風景

展示風景

 大戦間を中心とした、20世紀前半のアメリカの写真を紹介します。
 ベルリンで写真を学んだアルフレッド・スティーグリッツは、アメリカ帰国後の1902年に写真家集団を結成し、翌年には写真誌「カメラ・ワーク」を創刊します。スティーグリッツの活動に触発された多くの写真家によって、アメリカのモダニズム写真の流れは形づくられていきました。
 ヨーロッパのピクトリアリスム(絵画的写真)に代わるものとして、スティーグリッツはダイナミックな構図とシャープなピントで被写体を捉える、ストレート・フォトグラフィを提唱しました。その手法を用いてニューヨークのスカイスクレーパー(摩天楼)やそこに住む人々の姿を収めたエドワード・スタイケンやポール・ストランド、ベレニス・アボットらによる都市写真には、物質主義社会の光と影がそのまま写し出されています。西海岸においてもまた、アンセル・アダムスやエドワード・ウェストンらが新しい時代の写真表現を求めて活動します。国立公園や砂漠といった大自然を被写体とした彼らの写真にも、都市写真と同様に、崇高な風景を礼賛するアメリカ的な精神を読み取ることができるでしょう。
 彼らが打ち立てた写真表現の「ニュー・ヴィジョン」(新しい視覚)は、印刷メディアにおいても重要な位置を占めるようになります。スタイケンによるハリウッドスターをはじめとする著名人のポートレイトや広告写真は、アメリカのシンボルとして大衆紙の紙面を華やかに飾ります。一方、都市の発展に伴い急増する陰惨な事件や事故の現場をスナップで収めたウィージーの写真も、タブロイド紙で人気をあつめました。
 ストレート・フォトグラフィという表現手法を基軸としながら多面的に展開したアメリカの近代写真。そこには、「アメリカ」の現実の姿と精神そのものが、その暗部も含めて赤裸々に映し出されています。