New Artist Picks 柵瀨茉莉子展|いのちを縫う

柵瀨茉莉子展|いのちを縫う

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展覧会概要

《いとの日‐2》[部分]

柵瀨茉莉子 《いとの日‐2》[部分]2019年 
花びら、葉、銀糸、髪の毛、猫の毛、祖母のトレーナー
60.0×54.0㎝
作家蔵

将来活躍が期待される若手作家を紹介する小企画展「New Artist Picks(NAP)」。今回は作家、柵瀨茉莉子(さくらい・まりこ/1987年生まれ)の個展を開催します。 柵瀨は一貫して「縫う」ことを表現手段とし、主に木片や木の葉、花びらといった自然物を素材に制作してきました。それはひと針ずつ素材を縫うという手作業を通して、自然物に刻み込まれた時の記憶を辿り、その記憶を目に見える形で留める行為と言えます。 

本展では、これまでの作品の展開を追うとともに、生まれ育った佐島(神奈川県横須賀市)を舞台とした作家の個人史をテーマに新作を発表します。それらは、刺繍を教えてくれた亡き祖母への思い出や、自然豊かな土地の開発に対する違和感など、作家の個人的な記憶に由来するものです。一見私的な表現にも見えるこれらの作品には、いのちある全てのものへと注がれた作家のあたたかな眼差しと、やがては朽ちてゆく生命の儚さに寄せた普遍的な共感が満ち溢れています。柵瀨にとって縫うこととは、生きるものと朽ちてゆくものへの祈りと鎮魂の思いを込めた所作であり、その思いを紡ぐ糸の縫い目が、道端に落ちていたら気にも留めないような素材に新たないのちを吹き込んでいます。
《木を縫う-87》[部分]

柵瀨茉莉子 《木を縫う-87》[部分] 2016年 
樹皮、金糸、4.5×2.5×0.5㎝
作家蔵

会期中にはCafé小倉山でも小展示を行うほか、アーティストトークとワークショップ「木の葉を縫う、持ち歩く」を開催いたします。若手作家のみずみずしい感性による作品を、ぜひこの機会にご覧ください。
作家メッセージ

山や海で遊ぶことが好きだった。ある日、遊び場だった山はどこまでも続く長いフェンスで区切られた。山の半分は「立ち入り禁止」の場所になった。山が裸にされ家が建つことへの怒りと悲しみがあったが、新住民のためにできたスーパーや、本数が増えたバスを利用する自身の都合の良さにあきれた。

生まれ育った横須賀市佐島は、三浦半島に近く相模湾に面した半農半漁のまち。山ではおばさんたちが野菜や花を育てる。幼い頃から母がいなかった私のお守をしてくれた“おばちゃん”。お墓に供える花を山の畑で育て、切り、束ねる。血の繋がりがないのに、私はいつもおばちゃんのそばにいた。

そして祖母。私にとって大きな存在。昨年1月10日(いとの日)に亡くなった。ずっと一緒にいてくれた母のような人。縫うことを教えてくれた。ものをつくり出す姿を日々私に見せてくれた。彼女は花を愛し、図案を描き、ひと針ひと針手で縫うことが好きだった。

私の中にある佐島での記憶が、今の自分の歩く方向を決めているように思う。30歳を過ぎた今、展覧会の機会に、一度立ち止まり、振り返る。心をぎゅっとにぎられるような気持ちになる海の夕暮れ、トビが鳴く声、暗くなると怖くて歩けなくなる山道。想いがつきないこの気持ちを縫うことに重ねたい。
                                                                                                                                柵瀨茉莉子 

作家インタビュー映像 

展覧会リーフレット

展覧会リーフレット表紙(P16/¥200)

※本展担当学芸員によるテキストはこちらからご覧いただけます。
展覧会リーフレット(2020年3月31日発行予定)より
「祈りと鎮魂ー柵瀨茉莉子の縫いの所作」片多祐子
 [550KB]     

《山の記憶》(部分)2019-2020年 花びら、葉、枝、実、種、果実の皮、糸、布、写真(5点組)、作家蔵 
撮影:山中慎太郎[Qsyum!]

《貝の試作》(部分)2020年 貝、糸 作家蔵 
撮影:山中慎太郎[Qsyum!]

「木を縫う」シリーズ展示風景

「木を縫う」シリーズ展示風景 撮影:山中慎太郎[Qsyum!]

《葉っぱのかさぶた》(部分)

《葉っぱのかさぶた》(部分)2007-2008年 葉、糸、木綿の手提げ袋(31点組)、写真 作家蔵 
撮影:山中慎太郎[Qsyum!]

展示風景

撮影:山中慎太郎[Qsyum!]

スマートフォンで360°の映像や写真を楽しむことができる無料のアプリ「日経VR」にて、本展をご鑑賞いただけます。バーチャルリアリティーでぜひ展覧会をお楽しみください。
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作家略歴

柵瀨茉莉子


柵瀨茉莉子
 
1987 神奈川県横須賀市生まれ
2010 筑波大学芸術専門学群構成専攻クラフト領域(木工)卒業
2012 筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程芸術専攻クラフト領域(木工)修了
現在  横浜市在住
主な個展
2008年 「コノハ」アートギャラリーT+筑波大学、茨城
2011年 「木を縫う―モアノとミノムシ―展」Galerie Moineau、東京
             「木を縫う」GALERIE PARIS、神奈川
2013年 「Under 35」キュレーション森田彩子 BankART Studio NYK、神奈川
2014年 「柵瀨茉莉子展」GALLERY RUEVENT、東京
             「柵瀨茉莉子展」Gallery Gigi、神奈川
             「地図にない島」SILVER SHELL、東京
2015年 「木と刺繍」LIBRE、東京
2016年 「記憶を辿る」GALERIE PARIS、神奈川 

基本情報

会期2020年11月14日(土)~12月13日(日)
*変更前会期:2020年3月14日(土)~4月12日(日)
会場アートギャラリー1、Café小倉山
休館日木曜日
開場時間11時~18時
*Café小倉山は10時45分~18時
観覧料
無料
主催
横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
協力
GALERIE PARIS、Café小倉山

関連イベント

アーティストトーク(NAP:柵瀨茉莉子展|いのちを縫う)

日程2020年12月5日(土)
時間14時~15時
会場レクチャーホール
定員100名(先着順、申込不要、当日12時より総合案内にて整理券配布)
参加費無料

おうちワークショップ「木の葉を縫う、持ち歩く」(New Artist Picks 柵瀨茉莉子展)

*

柵瀨茉莉子 《「木の葉を縫う、持ち歩く」2020WSイメージ》 2019年

手提げ袋に木の葉を縫い留め、世界に一つのトートバッグをつくりませんか。 アーティストの柵瀨茉莉子氏によるワークショップキットをご自宅にお届けします。 メッセージカードを読みながら、おうちでゆっくりと制作を楽しめます。 バッグが完成したら持ち歩き、作品に刻まれた時間と日常が交じり合っていくのを味わいましょう。 アーティストと参加者をオンラインでつなぐ作品発表会も開催します。
参加の流れ
  1. ワークショップキットが届く(11月11日[水]以降発送予定)
  2. 作品をつくる
  3. 完成したバッグを持ち歩く
  4. オンライン発表会に参加する(任意)
ワークショップキットの内容コットンバッグ(36×31.5cm)、刺繍糸、縫い針、まち針、アーティストからのメッセージカード
オンライン発表会日時2020年12月13日(日)14時~15時30分(13時40分受付)
  • web会議システム「Zoom」を利用します。開催日が近づいたら申込者全員にメールで参加方法をお知らせします。
  • カメラ、マイク付きの端末が必要です。アカウントは不要です。
  • ご参加は任意です。参加有無の事前連絡は不要です。ご希望者のみ当日ご参加ください。
アーティスト柵瀨茉莉子
対象日本国内に居住する方
定員20名(先着順)
参加費1,000円(申込完了後、銀行振込)
申込方法申込みフォーム
  • お申込み1名様につき1つのメールアドレスが必要です。 同じメールアドレスで複数名のお申込みはできませんのでご注意ください。
  • 受付完了メールが届かない場合は、下記までお問合せください。
申込受付期間2020年10月10日(土)10時~2020年10月29日(木)受付終了
※定員に達し次第締切ります 
お問合せ横浜美術館 市民のアトリエ
TEL 045-221-0366(受付時間10時~18時、木曜休館[10月8日は開館])
柵瀨茉莉子(さくらい まりこ)
*
1987年神奈川県生まれ。2012年筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程芸術専攻クラフト領域(木工)修了。主な個展に2011年「木を縫う」(GALERIE PARIS/神奈川)、2013年「Under 35」キュレーション森田彩子(BankART Studio NYK/神奈川)、2015年「木と刺繍」(LIBRE/東京)などがある。現在、横浜市在住。