2020年11月に開催された「焼きものでクリスマスの飾りをつくろう」の講座レポート後編です。
前編に続き、2020年度インターン生・大学院生の武者みずほさんにレポートしていただきました。全3日間のうち、3日目の様子をお伝えします。
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3日目(11/15)
作品と対面した子どもたちは、ツルツルとした質感になった表面を眺めたり指先で弾いたりしていました。
焼き上がって窯を開けたとき、まだ熱い作品からは不思議な音がします。その音をスタッフが録音していました。
「これから流すから、よく聞いてね!」と言われると、アトリエがしん、と静かになります。すると、
ピシ、チリン、パリン
と、澄んだトライアングルのような音が聞こえてきます。これは高温でガラス質になった釉に、窯の外の空気が触れて急激に冷やされることで細かなひび(貫入)が入る音だそうです。子どもたちもその音にじっと耳を傾けます。その様子はまるで自分の作品の声を聴いているようでした。
貫入の音に耳を澄ませる
そのあとは、色をつけた星形やツリー型の型抜きの飾りを使って、フォトフレームを装飾していきます。
飾り同士を重ねて貼る子、幾何学的に並べる子、マスキングテープを写真以外のところに付ける子。子どもたちは納得するまで試行錯誤を重ねて、飾りを貼りつけていきます。
フォトフレームができると、自分のクリスマスの飾りと一緒に写真を撮って、フォトフレームの中に飾りました。
この講座も終わりに近づいてきました。
全員の写真を撮り終わると隣の部屋に移動して、クリスマスの飾りの中に明かりを入れて並べ、みんなの作品の鑑賞会を開きました。
クリスマスにはちょっと早いですが、クリスマスソングが流れて楽し気な雰囲気に包まれます。
作品が並んだテーブルの周りに丸く椅子を並べて、きらきら光る作品を鑑賞します。みんなの作品にあいた色々な形、大きさの窓から光が漏れて、その光はほかの人の作品も照らします。
先生は最後に、みんなに焼き物を体験してみてどんなことを思ったかを聞きました。
「家や学校で普段できないようなことがたくさん経験できて楽しかった」、「形を作ったり色を塗ったりしていくのが楽しかった」など、今まで経験したことのない世界を知ることができたことや、思い切り自分の作りたいものを実現していくことなどに喜びを感じていたようでした。
また、今まで使っていた子どものアトリエの窯は寿命を迎え、今回でその役目を終えます。このことを知ると、「今までありがとう!」と窯に労いの言葉をかけてくれる子もいました。
今回の焼き物の経験は、子どもたちの心にしっかりと刻まれたようでした。
子どもたちが、新しいことに取り組んだりほかの人の制作や意見などに触れたりすることで刺激を受けて自分の制作に繋げていく姿がとても印象的でした。子どもたちが自分で色々な可能性を探って形にしていくところ、そして先生やアトリエスタッフの方々がその可能性を開く手助けをするところを間近で体感できたことは、私にとってとても貴重で忘れがたい経験となりました。
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最後に参加してくれたお友だちの作品をご紹介します。みんなステキなクリスマスの飾りができたね。