講師とインターン生でサンプルを作る様子
子どものアトリエでは、人材育成事業のひとつとしてインターンシップを行っています。
季節はさかのぼりますが、2020年11月に開催された「焼きものでクリスマスの飾りをつくろう」の講座を、2020年度のインターン生のひとり・大学院生の武者みずほさんにレポートしていただきました。全3日間のうち、1・2日目の様子をこの前編で、3日目の様子を後編でお伝えします。
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「焼きものでクリスマスの飾りをつくろう」
今回は小学校4・5・6年生を対象とした、焼きものでクリスマスの飾りを作る講座です。
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1日目(11/1)
まず講師の先生が「粘土にはどんな種類があるかな?」と聞くと、子どもたちは「紙粘土!」「小麦粘土!」と、自分の知っている粘土を元気にたくさん教えてくれます。
今回使うのは「信楽(しがらき)」という種類の、黒っぽくて柔らかい土粘土です。
初めにみんなで、土粘土をこねたり、ちぎったり、まとめたりして慣れていきます。みんな熱心に先生の話に耳を傾けながら、ぺちぺちと叩いてみたり、手をいっぱいに広げて粘土をちぎってみたりしていました。
次に、今回のクリスマスの飾りを作る基本となる「たたらづくり」学びます。
たたらづくりの様子
それから自分でしっぴき(切り糸)と板を使って薄い粘土の板を切ってみます。
そしていよいよ、粘土の板を使って飾りの成形に取り掛かります。今回のクリスマスの飾りは、大きな粘土の板を扇型の型紙に合わせて切り、小さな円錐形の型に巻きつけて作ります。
それから、巻きつけた粘土に型抜きやヘラなどで穴をあけたり、模様をつけたり、粘土を貼りつけたりしていきます。
先生は子どもたちに、さまざまな成形方法を伝えて、子どもたちの創作の可能性を色々な方向に開いていきます。そこから子どもたちは、自分で考えて思い思いの形に発展させていきます。
中には、「切り分けるのは三段じゃないとだめかな?」と悩む子もいましたが、「どんな巻きつけ方をしてもいいんだよ」とアドバイスをもらうと、もっと細かいパーツに分けて重なり合うように貼りつけて、自分で考え出した新しい形を作っていました。
ほかにも、ツリーの形を作ってそこに大きな窓のような穴をあける子や、ツリーのてっぺんにジンジャークッキー型の粘土を飾る子、宇宙船のような窓のついたツリーを作る子、要塞のような建物に発展させる子がいたり。
子どもたちのそれぞれの想像力が光ります。
それから、飾りの土台と、星形やツリー型など型抜きで抜いたクッキーのような小さな飾りも作ります。
形ができたら、焼きあがるまでしばしのお別れです。
次の週までに、窯の温度を800℃にまで上げて素焼きします。
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2日目(11/8)
アトリエに着いた子どもたちは、焼き上がった作品と対面します。
素焼きの状態になってすっかり色の変わった作品に、「白くなってる!」とか「クッキーみたいな色で美味しそう!」とか、思い思いの感想を抱いたようでした。
中には作品を指先で弾いて、「カンカン」と金属のようなきれいな音が鳴ることを教えてくれた子もいました。
みんなが席につくと、これから使う釉薬の説明が始まります。普段使う絵具と違って、一度水と混ぜても色の粒子がすぐ沈んでしまうこと、塗ると焼いた粘土が水を吸って粉っぽくなること、焼くとガラスの膜のようになること、そしてその色は焼く前と焼いた後で少し違うことなどを学びます。
みんな焼いたあとはどんな色になるのか想像しながら、夢中で黙々と色を塗っていきます。
要塞のようなお城を作っていた子や大きな建物のような形を作った子は、入り組んだ形と向き合いながら塗り残しがないか探して、最後まで頑張って色を塗っていました。
最後に、焼くと透明になる真っ白な釉薬を、柄杓を使って自分の作品にかけていきます。
また一週間、どんな焼き上がりになるか想像しながら待ちます。