展示替えレポート:ちいさな虫たちが、みんなをまっているよ! 

みなさんは、子どものアトリエのなかにある「子どものアトリエギャラリー」をご存知ですか。このギャラリーでは、子どもたちの造形に対する興味や「やってみたくなる気持ち」を育むため、子どもたちが楽しめる小さな展覧会を定期的に開催しています。

今回のテーマは「ちいさな虫の世界」です。

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テントウムシ、セミ、カブトムシにクワガタムシ、トンボにアゲハチョウなど様々な虫たちがギャラリーに集まっていますよ。これらの虫たちを描いたり作ったりしたのは二人の作家さん。日本の「プチ・ファーブル」とも称された熊田千佳慕(くまだ・ちかぼ)さんと、「一本の針金造形」で知られる進藤貞雄(しんどう・さだお)さんです。

お二人の作品は対照的です。

壁に架けられた熊田さんの作品は、とても生き生きとした虫たちの姿を、細やかな筆づかいで捉えています。

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例えばレンゲの花に集まるハチやちょうちょ。クマバチのからだや脚のふわふわした感じがとてもリアルです。レンゲの蜜を思い思いに楽しむ虫たちの様子を眺めていると、自分もその一匹になってしまったような気持ちに...。

あるいはテントウムシが羽を広げて飛び立つ姿が描かれた絵もあります。テントウムシが飛んでいる瞬間って、どんな風だったかみなさん思い浮かべられますか? この絵のタイトルは《青空に飛ぶ宝石》。幼いころから虫が大好きだった熊田さんらしい、小さな生命への愛情が感じられる名前ですね。

一方、ケースのなかに展示されているのは進藤さんの作品です。

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なんと針金たったの一本で、虫たちの姿をシンプルに、しかし表情豊かにあらわしています。丸みのあるやわらかな線は親しみやすく、愛嬌あふれる虫たちの姿につい口元が緩みます。虫たちのお話が聞こえてきそう...。

虫がちょっと苦手なお友だちも、こんなかわいらしい虫たちならじっくりと眺められそうですね。

ギャラリーをご覧いただくと、「ねえ、見てみて!」と、周りの人に伝えたくなるような楽しい発見がたくさんあるはず。現在、横浜美術館は臨時休館中ですが、再開の折には、「親子のフリーゾーン」や「学校のためのプログラム」で来館の際にご覧いただけます。(一般公開はしていません)。機会がありましたら、ぜひ「子どものアトリエギャラリー」をのぞいてみてね。

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熊田 千佳慕(くまだ・ちかぼ、19112009

横浜市中区生まれ。絵本挿絵作家として『ふしぎの国のアリス』などの名作や、ファーブル昆虫記の世界を絵画化した『絵本ファーブル昆虫記』を手がけ、多くの子どもたちを魅了してきた。じっと地面にはいつくばって虫や植物を飽くことなく見つめ続け、点描を重ねて描きだした虫たちの世界は国際的に高い評価を受け、日本の「プチ・ファーブル」と称された。

進藤 貞雄(しんどう・さだお、19252015

岡山県倉敷市生まれ。三菱重工業などで製品や広報物のデザイナーとして活躍。ダンスパーティー券のデザインに、ワルツを踊るカップルを単純化した線で描いたことをきっかけに、一筆描きデザインの立体化を始める。一本の針金が生み出す、シンプルでありながら奥深い表現の世界を楽しみ、生涯を通じて600点以上の作品を制作した。