活動報告:戸部ハマノ愛生園アウトリーチ

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市民のアトリエは、横浜市西区にある特別養護老人ホーム「戸部ハマノ愛生園」に出張し、横浜国立大学教育学部と連携してワークショップをおこないました。

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今回のワークショップには、アニメーション作家、イラストレーターとして活動される川口恵里さんを講師にお迎えしました。
初めに川口さんのアニメーションを見ながらお話を伺いました。
川口さんは作品づくりをするとき、事前に取材をして得た実感を大事に制作していると言います。
例えばリンゴの木が育つアニメーションをつくる前には実際に果樹園に足を運び、リンゴの幹が分かれて伸びていく様子や表面のしわまで観察をし、樹の大きさを実感した上で表現に落とし込んだそうです。

今回の活動も、参加者それぞれの体験を思い出しながらそれを絵にしようというものです。
テーマは「私史上ベストヒット食卓メドレー」。

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川口さんは割烹着を身に着け、お手製の紙芝居でこの日の活動内容を紹介します。
「かわいい割烹着ねえ。私たちも昔はみんな割烹着を着てたのよ。」と参加者から声があがりました。
紙芝居にはちゃぶ台、かまどなど食卓にまつわる懐かしいものがたくさん描かれています。
この導入をきっかけに、思い出の食べ物やそれにまつわる情景について二人一組でじっくりお話をしてもらいます。
そのお話に出てきた食べ物を絵に描いてみんなで共有しようというのがこの日のプログラムです。

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戸部ハマノ愛生園の5名と、横浜国立大学教育学部美術科の2年生5名がペアになり活動を始めました。
どのペアも会話がはずみ、おいしくて大好きだった食べ物のことや、それを一緒に食べた家族や、つくってくれた人のこと、これから食べたいものなどなど次々にお話が広がりました。
聞いた話を元に大学生が絵にしたり、

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愛生園の方自身が大切な思い出を絵に描いたりしました。

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そうして描いた絵を集めて、それぞれの絵の背後にどのようなエピソードがあるのかを発表してもらいました。

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いくつかご紹介すると・・・

  • 炊き込みごはん:近所のおばさんが採ってきてくれた野菜(ほれんそう、小松菜、そらまめなど)が入っていた炊き込みごはんは思い出の味。
  • 鮭:実家は北海道で鮭をよく食べました。
  • 乾燥バナナ:戦時中に配給されたバナナ。茶色くてしわしわしている。今は見かけないけれど、当時甘いものは貴重で、ごちそうでした。(この話を受けて、大学生がお父さんお手製の干しバナナを食べていると発言。世代を超えて思い出の味がリンクした瞬間でした。)
  • 酒屋さんのアイス:自宅は酒屋を営んでいて、アイスクリームも販売していました。アイス用の大きな冷凍庫があり、いろんな味のアイスを食べました。
  • バランスのよい食事:おにぎり、菜っ葉のお浸し、お味噌汁、漬物、焼き魚などを毎日作っていました。自身はもうすぐ100歳。旦那さんも90歳まで元気だったことが自慢。

 ひとつお話が紹介される度に「ああ、私もそうだったわ」「私はその食べ物は嫌いなの」など、対話が生まれました。
職員の方によると、普段はあまりお話をされない方も、この日はたくさんおしゃべりされていたそうです。
また、大学生が描いた絵を大切に自室に持ち帰る方もいらっしゃいました。

 1時間という短い時間でしたが、「食べ物」をキーワードに、楽しい話が次々と飛び出し、それを絵に描いて共有することで、また別の方の記憶や思いを引き出す連鎖が生まれました。
皆さん笑顔にあふれ、充実した活動となりました。

 (市民のアトリエ担当)

[戸部ハマノ愛生園アウトリーチ 実施 2019/12/5(木)14:00~15:00]