秋山庄太郎の写真 Photographs of Akiyama Shotaro

 秋山庄太郎[あきやま・しょうたろう、1920-2003]は昭和の高度経済成長期を中心に活躍した写真家で、特に黒バックから被写体の顔があざやかに浮かび上がる、有名人のポートレートでよく知られています。
 高校・大学在学中から写真に夢中になった秋山は、1946年に東京・銀座に写真スタジオを開業するも翌年に廃業、この年、友人の写真家林忠彦[はやし・ただひこ]の推薦で、近代映画社に入社します。全盛期の日本映画界のスターを撮影する機会をえて、ポートレート制作の基礎を学びました。1951年にフリーとなりひき続き芸能、モード写真のジャンルで活躍、1959年に『週刊文春』の表紙の連載を始めると、他にも『週刊現代』、『週刊ポスト』等の表紙も手がけ、長年ぼう大な数の女性タレントを撮影しました。
 表紙写真を多年にわたって続けることができた秘訣を、秋山は次のように説明しています。「写真家の個性的作風を強引に押しつけるのではなく、大衆の好みの最大公約数をくみとった表現を工夫した」。ことさらな「個性」の主張をきびしく排し、安定した技量により着実に制作を積み重ねていくべきとする、秋山の写真に対する考え方は、彼の人生観にもつながっています。
 今回の展示では、女優や女性モデルだけでなく、秋山のもう一つの得意分野である、男性の俳優、画家、小説家のポートレートを交えて、戦後間もない初期から平成に至る秋山の代表作のポートレートを紹介します。

秋山庄太郎《ジプシー・ローズ》
秋山庄太郎(大正9-平成15)
《ジプシー・ローズ》
昭和27年(平成4年のプリント)
ゼラチン・シルバー・プリント
AKIYAMA Shotaro (1920-2003)
Gypsy Rose
1952 (1992 Print)
gelatin-silver print