特集展示アンディ・ウォーホル

 アンディ・ウォーホル(1928-87)は、1960年代にニューヨークを中心に興り、世界的影響を与えた「ポップ・アート」を代表する作家です。

ペンシルヴェニア州ピッツバーグに生まれたウォーホルは、カーネギー工科大学の絵画・デザイン学科で学びました。卒業後ニューヨークに移り、1950年代に商業デザイナーとしての地位を確立します。1962年に発表した≪キャンベル・スープ≫や≪マリリン≫など、シルクスクリーンによる版画作品で一躍注目を集めると、ウォーホルは「ファクトリー」と呼ばれるスタジオで、作品を制作するようになりました。大衆文化の中で大量生産され、消費される商品やマスメディアのイメージをテーマとしたそれらの作品は、それまでの芸術作品の定義に揺さぶりをかけるものでした。ウォーホルは版画にとどまらず、デザインや写真、映画など様々なジャンルに取り組み、後の美術の動向に多大な影響を及ぼしました。

今年度のコレクション・フレンズ対象作品である≪キャンベル・スープⅡ≫は、スープ缶のイメージを反復することで、商品が整然と並ぶスーパーマーケットの光景を想起させます。それは、現代の消費社会の在り様を浮かび上がらせているかのようです。また、インスタント・カメラで撮影した映画スターや有名スポーツ選手のポートレート写真や、1963年に暗殺されたアメリカ大統領ジョン・F・ケネディの写真を用いた、シルクスクリーンによる≪フラッシュ≫シリーズは、人間の欲望や、命の儚(はかな)さを暗示しているのかもしれません。

 ウォーホルの作品と共に、同時期に活躍したリチャード・ハミルトン(1922-2011)やロイ・リクテンスタイン(1923-97)など、ポップ・アートの作家たちの作品もご紹介します。


あわせて、ヨコハマトリエンナーレ2011の出品作品であり、昨年度に新収蔵されたピーター・コフィンの映像作品≪無題≫を、当館で初めて展示します。