横浜美術館
Untitled

中上清
《Untitled》
2005年
アクリル絵具、カンヴァス
227.3×181.8㎝
寄託作品

 横浜美術館コレクション展の今期は、光をテーマに採りあげました。

 光は、視覚世界の認識に深く結びつき、美術において不可欠な要素です。光の在り方は、強く差し込む陽光、かすかな光明、淡く空間全体を包み込む光など多種多様です。強い光ほど深い闇がもたらされ、明暗の対比が浮かび上がります。また光は、希望や憧れ、不安や畏れなど、人のさまざまな思いを象徴するものとして美術家の創作意欲をかきたて、多様な表現を生み出してきました。

 光と素材の関係もさまざまです。たとえばガラスを素材に作家自らが自由に造形するスタジオ・グラス運動は、光そのものを作品に取り込んでガラスによる芸術表現の可能性を拡げましたが、今回の展示では、ガラス作品の魅力とその多彩さも見どころのひとつです。

 また、一日における太陽光の変化を取り入れたサルバドール・ダリの三連作≪幻想的風景≫や、神秘的な光をたたえたギュスターヴ・モローの≪岩の上の女神≫のほか、光背や火炎、月明かりに、画材の特色を活かして光を表す日本画の作品を紹介します。光をめぐるさまざまな表現をお楽しみください。

 写真展示室では、写真家ロバート・キャパの企画展開催に関連づけて、報道写真を展示しました。コレクション・フレンズ対象の森村泰昌による映像作品も、この機会にどうぞご覧ください。

 コレクションの充実と展示にご支援をいただいている皆様に、心より感謝申し上げます。

横浜美術館