横浜美術館コレクション展第2期 2012年7月14日(土曜)から9月23日(日曜) 横浜美術館コレクション展第2期 横浜美術館

人の形を見る―不思議な具象

 

あの人!が映るポートレート写真

展示風景

展示風景

 今回の展示では、芸術家、文筆家、女優など、時代の「顔」となった人々を写した日本のポートレート写真を紹介します。

 戦前、ドイツのフォトジャーナリズムの系譜に連なるリアリズム写真の影響のもと、木村伊兵衛や土門拳らは写真家としての本格的な活動を開始します。彼らはスナップショットによって人物の内面や個性をありのままに引き出そうとする姿勢を貫き、時代をリードした知識人や芸術家たちの肖像写真を数多く残しました。

 戦後は、特にマスメディアの発達と文化の大衆化に後押しされ、芸術性と商業性を兼ね備えた写真家が登場します。秋山庄太郎は省略された背景のなかで被写体の顔や姿に狙いを定める人物描写を得意とし、林忠彦は人物と背景を象徴的に写しだす環境描写を得意としました。彼らが撮影した女優や小説家たちの肖像は、雑誌の表紙やグラビアを飾ることで人気を博しました。

 近年では、写真表現の更なる多様化によって、ポートレート写真はコンセプトを重視する芸術作品としても展開しました。森村泰昌は、自身の解釈をもとに設定した場面のなかで、自らが映画史上の女優に扮するセルフポートレートを撮影しています。この作品では、個性とは、美とは、本物とは何かといった様々な視点によって、鑑賞者に人物像を読み解かせようとする芸術家の姿を見ることができます。

 ここでは被写体の職業ごとに写真を構成し、それぞれの職業が生み出す独特の表情や立ち振舞いの違いにも注目します。

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