横浜美術館コレクション展 2012年4月7日(土曜)から6月24日(日曜) 横浜美術館

横浜美術館コレクション展について

1859年(安政6)に開港地の一つとなった横浜をはじめ、幕末・明治の日本には、多くの外国人画家が訪れ、油彩画や水彩画など新しい視覚表現を日本にもたらしました。彼らに影響を受けた日本人画家たちは、本格的にその表現技法を学ぶために海外へと渡りました。

五姓田義松(ごせだ・よしまつ)は「イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ」の特派記者兼挿絵画家として来日したワーグマンに師事し、その後渡仏して西洋画に技法を学びました。一方で、明治20年代に相次いで来日したイギリス人水彩画家の作品に感動して、三宅克己(みやけ・こっき)、丸山晩霞(まるやま・ばんか)など水彩画を志す画家が現れます。1897年(明治30)に渡米した三宅は、日本から携行した水彩画が好評で、売却した収入で2年間の留学を果たします。吉田博(よしだ・ひろし)、吉田ふじをの水彩画もアメリカで多くの人を魅了し、その収入で二人は長期にわたるヨーロッパ歴訪を実現しました。また、三宅の成功に触発されてイギリスへ渡った原撫松(はら・ぶしょう)は、レンブラントなど巨匠の作品の模写を繰り返して、高い水準の油彩画技法を習得しました。

1907年(明治40)に渡仏した有島生馬(ありしま・いくま)は、文芸雑誌『白樺』にセザンヌを紹介する文章を寄稿し、日本の若い画家たちに多大な影響を与えました。翌年フランスへ旅立った藤田嗣治(ふじた・つぐはる)は、透き通るような乳白色の下地と面相筆の線描による独自のスタイルを確立し、「パリの寵児」と呼ばれます。また、1918年(大正7)に渡仏した長谷川潔(はせがわ・きよし)は、17世紀に遡る銅版画技法「マニエール・ノワール」を再興して、パリの画壇で高く評価されました。

第一次大戦終結後に海外へ渡った画家の多くは、フォーヴィスムやキュビスムなどに刺激を受けて帰国します。佐伯祐三(さえき・ゆうぞう)や里見勝蔵(さとみ・かつぞう)は1930年協会を設立し、日本におけるフォーヴィスムを展開しました。また福沢一郎(ふくざわ・いちろう)は、シュルレアリスムの影響の色濃い作品を創作し注目を集めました。

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展示室風景

展示風景