ゲルダ・タロー《ロバート・キャパ、セゴビア戦線》
1937年、ゼラチン・シルバー・プリント、ICP蔵、©ICP
Gerda Taro Robert Capa, Segovia Front, Spain, late May - early June 1937
Gelatin Silver Print / Collection of ICP ©ICP

展示内容

ゲルダ・タロー   ロバート・キャパ

[Part 1] ゲルダ・タロー Gerda Taro Retrospective

ゲルタ・ポホリレ(のちのゲルダ・タロー)は、1910年にドイツ、シュトゥットガルトに生まれました。パリに出た翌年の1934年に出会ったアンドレ・フリードマン(のちのロバート・キャパ)とともに報道写真家を志し、公私にわたるパートナーとして活動をスタートします。折しも勃発したスペイン内戦の取材を中心に活動を重ねるなか、フリードマンは「ロバート・キャパ」として、ポホリレも「ゲルダ・タロー」(岡本太郎に由来する名前といわれる)というペンネームを使い、個別に活動するようになります。しかしタローは、そのスペインの戦場で26歳での早すぎる死を迎えます。

キャパとタローの写真は、その共同作業ゆえに、どちらが撮影したものかを同定するのが困難といわれてきましたが、近年の調査研究によって、タローの写真作品の全貌が明らかになってきました。本展は、そのタローの活動を日本で初めて総括的に紹介する機会となります。タローによるものと確認された写真のオリジナルプリントを中心とする83点と関連資料(すべて国際写真センター[ICP]所蔵)によって、”女性初の報道写真家“と称される彼女の短い生涯における活動、その写真家としての特質と業績を明らかにします。

企画構成:ICP(International Center of Photography, NYC)

ICP

1 1936年
2 1937年

ゲルダ・タロー、グアダラハラ戦線

撮影者不詳《ゲルダ・タロー、グアダラハラ戦線》
1937年7月
ゼラチン・シルバー・プリント、
ICP蔵  ©ICP

Unidentified Photographer 
Gerda Taro, Guadalajara Front, Spain
July 1937
Gelatin Silver Print
Collection of ICP ©ICP

ゲルダ・タロー《海岸で訓練中の共和国軍女性兵士、バルセロナ郊外》

ゲルダ・タロー
《海岸で訓練中の共和国軍女性兵士、バルセロナ郊外》
1936年8月
インクジェット・プリント
ICP蔵 ©ICP

Gerda Taro 
Republican Militiawoman Training on the Beach, outside Barcelona
August 1936
Inkjet Print
Collection of ICP ©ICP

ゲルダ・タロー 《マラガからの難民たち、アルメリア》

ゲルダ・タロー
《マラガからの難民たち、アルメリア》
1937年2月
ゼラチン・シルバー・プリント
ICP蔵 ©ICP

Gerda Taro 
Refugees from Málaga in Almeria, Spain
February 1937
Gelatin Silver Print
Collection of ICP ©ICP

ゲルダ・タローと共和国軍兵士、コルドバ戦線

ロバート・キャパ
《ゲルダ・タローと共和国軍兵士、コルドバ戦線、スペイン》
1936年9月
ゼラチン・シルバー・プリント
ICP蔵
©ICP

Robert Capa 
Gerda Taro with Republican Soldier, Córdoba Front
September 1936
Gelatin Silver Print
Collection of ICP ©ICP

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[Part 2] ロバート・キャパ Robert Capa Centennial

1913年にハンガリーのブダペストに生まれたロバート・キャパ(本名アンドレ・フリードマン)は、1930年代から54年の死去に至るまで、報道写真家として世界中を駆け巡り、各地の戦争や人々の暮らしの様子をカメラに収め続けました。 20年あまりの間に取材した5つの戦場で、命がけで撮影した幾多の衝撃的な写真。同時にそのような激動の世界に生きる一般市民の姿を深い共感をもって捉えた、ウィットと情感に富む写真群。その二面性によって形作られているキャパの報道写真は、時代を超えて今日もなお私たちの心をとらえつづけます。

横浜美術館には、ロバートの実弟コーネル・キャパからの寄贈作品を中心としたキャパの写真193点が所蔵されています。その内容は、写真家としての本格的デビュー作となったコペンハーゲンでのトロツキーの演説を捉えた写真(1932年)にはじまり、スペイン内戦の際の「崩れ落ちる兵士」(1936年)や第二次世界大戦の「Dデイ」のルポルタージュ(1944年)などの記念碑的作品を含む戦争の写真、最晩年の日本滞在期の風俗写真(1954年)、そして地雷によって爆死を遂げる直前に撮られたインドシナ戦争の写真(1954年)に至るまで、キャパの生涯の仕事を網羅したものです。これらの作品群を、その個々の作品を世界に広めた雑誌などとあわせ一堂に展示し、報道写真家「ロバート・キャパ」の人生と活動、そしてその業績を振り返ります。

1 フリードマンからキャパへ
2 スペイン内戦
3 日中戦争 〜 第二次世界大戦 I
4 第二次世界大戦 II
5 インドシナまで

デンマークの学生に講演するレオン・トロツキー、コペンハーゲン

ロバート・キャパ
《デンマークの学生に講演するレオン・トロツキー、コペンハーゲン》
1932年11月27日
ゼラチン・シルバー・プリント、
横浜美術館蔵 
©ICP / Magnum photos

Roberet Capa
Leon Trotsky Lecturing Danish Students, Copenhagen
November 27,1932
Gelatin Silver Print
Collection of Yokohama Museum of Art 
©ICP / Magnum Photos

共和国軍兵士、コルドバ戦線

ロバート・キャパ
《共和国軍兵士、コルドバ戦線、スペイン》
1936年9月初旬
ゼラチン・シルバー・プリント
横浜美術館蔵
©ICP / Magnum photos

Robert Capa 
Republican Soldier, Córdoba Front, Spain
ca. September 5, 1936
Gelatin Silver Print
Collection of Yokohama Museum of Art 
©ICP / Magnum Photos

「崩れ落ちる兵士」の名で有名なキャパのこの作品は、スペイン内戦で撮影されました。行動を共にしていたタローが撮影していたコルドバ戦線の作品も出品されます。ぜひ見比べてみてください。

Dデイ、オマハ・ビーチ、ノルマンディー海岸

ロバート・キャパ
《Dデイ、オマハ・ビーチ、ノルマンディー海岸》
1944年6月6日
ゼラチン・シルバー・プリント
横浜美術館蔵
©ICP / Magnum photos

Robert Capa 
D-Day,Omaha Beach, near Colleville-sur-Mer, Normandy Coast
June 6, 1944
Gelatin Silver Print
Collection of Yokohama Museum of Art
©ICP / Magnum Photos

1944年6月6日、通称「Dデイ」。その日の未明、キャパはアメリカ第一歩兵師団に同行し、オマハ・ビーチに向かいます。銃弾飛び交う上陸作戦の渦中、無我夢中で撮影し、持ち帰った100枚あまりのショットは、興奮した助手の現像ミスにより、その大半が失われてしまいました。残されたわずか11枚のうちの1枚であるこの写真。現像ミスによって生じたという画像の「ブレ」も、緊迫した戦場のリアリティを逆に高めているように感じられます。

東京

ロバート・キャパ
《東京駅》
1954年4月18日
ゼラチン・シルバー・プリント
横浜美術館蔵
©ICP / Magnum photos

Robert Capa 
Tokyo Station
April 18, 1954
Gelatin Silver Print
Collection of Yokohama Museum of Art
©ICP / Magnum Photos

 

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