横浜美術館コレクション展 2011年12月17日(土曜)から2012年3月18日(日曜) 横浜美術館 横浜美術館コレクション展

横浜開港から昭和までの洋画
Paintings in Japan after Opening the Port of Yokohama to the Showa Period

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横浜は、1859年(安政6)年の安政五箇国条約に基づき、開港場のひとつとなりました。外国人居留地は、油彩画をはじめとした新たな表現技法を、来日画家から直接学ぶ場となります。  

チャールズ・ワーグマンは、1861年(文久元)に『イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ』紙の特派員兼画家として来日し、外国人の視点から日本の風俗や風景を描きました。五姓田義松(ごせだ・よしまつ)や高橋由一(たかはし・ゆいち)はワーグマンの下で油彩画や水彩画、鉛筆画の技法を学びました。また、義松やその父芳柳(ほうりゅう)が横浜で営んだ工房からは、義松の妹の渡辺幽香(わたなべ・ゆうこう)、そして彼女の夫となる渡辺文三郎(わたなべ・ぶんざぶろう)ら日本の洋画黎明期の代表的な画家が輩出しました。1889年(明治22)に来日したアルフレッド・イーストは、日本の湿潤な風土を水彩のやわらかな筆触で描き出し、明治期の水彩画の展開に大きな影響を及ぼしました。

明治末に顕著となった個人主義と大正デモクラシーの風潮のもとに発刊された文芸雑誌『白樺』は、セザンヌやロダンなどのヨーロッパ美術を紹介し、岸田劉生(きしだ・りゅうせい)や木村荘八(きむら・しょうはち)ら当時の青年画家たちの強い共感を呼びました。一方、明治末に渡欧した有島生馬(ありしま・いくま)をはじめとして、大正期には佐伯祐三(さえき・ゆうぞう)や里見勝蔵(さとみ・かつぞう)など多くの画家が、本格的な油彩画を学ぶために憧れの都パリへと渡りました。

※当館所蔵のアルフレッド・イーストの全水彩画をはじめ、ヘレン・ハイド、チャールズ・ワーグマンの水彩画、ジョルジュ=フェルディナン・ビゴー、渡辺幽香の版画集、有島生馬、岡田謙三、川口軌外、木下孝則、五姓田義松、長谷川潔、福沢一郎、保田龍門ら、フランス留学した画家たちの油彩画を新たに展示しました。

伝ペーター・B・W・ハイネ《ペルリ提督横浜上陸の図》

伝ペーター・B・W・ハイネ《ペルリ提督横浜上陸の図》
1854年 (嘉永7/安政元)以降 油彩、カンヴァス

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