横浜美術館コレクション展 2016年度第2期

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福田美蘭《風神雷神図》2013年 福田美蘭氏寄贈

展覧会概要

描かれた横浜
イメージをかさねる
風を聴くー自然の気配をうつす美術
かたちの変容

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國領經郎《飛行船の浮ぶ港の風景》1993年  國領經郎氏寄贈

横浜美術館コレクション展2016年度第2期は、4つのセクションで構成します。

「描かれた横浜」は当館の教育プロジェクトチームが手がける展示です。横浜の街には、ここ「みなとみらい21地区」の高層ビル群をはじめ、実に様々な表情があります。各時代の作家たちはそれぞれの眼差しと手法で、横浜の風景を描き出してきました。現在では大きく様変わりした場所もあれば、描かれた当時の名残が顕著な場所もあります。ご自身の記憶や思い出を重ねあわせ、懐かしくご覧になる方々もあるでしょう。会期中には描かれた場所をボランティアが案内するプログラムも行います。
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福田美蘭《風神雷神図》 2013年
福田美蘭氏寄贈

「イメージをかさねる」では、作品に織りこまれた様々な「かさなり」をキーワードに、作品の見方や感じ方を深めていきます。古今東西の名画を基に、その「オリジナル」のイメージを揺るがし、新しい絵画の見方を促す福田美蘭の《風神雷神図》《山水図》など、収蔵後初の展示作品も含みます。中原浩大の《ConS:KConWS_6p》は、社会的な意味や文脈に左右されることなく、純粋に「かたち」を見ることは可能かと、私たちに問いかけます。


「風を聴く―自然の気配をうつす美術」では、草むらを吹く風を表した熊井恭子の立体作品《叢生’99》を展示室の中央に据え、同作と響き合うように、自然をモチーフとした絵画を特集します。


写真展示室の「かたちの変容」では、実験的な技法によって日常の事物を非日常的なイメージへと転換させた20世紀初頭のダダやシュルレアリスムの写真や、自らの身体を様々な姿に変容させるルーカス・サマラスや森村泰昌のセルフポートレートなどを展示します。

展覧会のみどころ

■ボランティアと一緒に作品に描かれた場所を巡る「街歩き」のプログラムも!「描かれた横浜」
新しい空気を取り入れながら、いつの時代も多くの作家を魅了してきた開港の地・横浜。教育プロジェクトチームが手がける初めての展示では、様々な作家の捉えた「横浜」に迫ります。
また、歴史や背景を知ることで作品理解のきっかけを見つける試みとして、ボランティアによる街歩きフィールドワークも実施します。

■珠玉のコレクションより、注目の初展示
1万点を越える作品を所蔵する横浜美術館。今期のコレクション展では、福田美蘭、中原浩大、熊井恭子など、近年収蔵され初展示となる作品を約20点出品いたします。
また、熊井恭子氏を迎えてのアーティストトークも実施。市民のアトリエによるワークショップも併せて開催し、熊井氏を講師に、見ること、創ることの両面から、作品の魅力に迫ります。 

■コレクション展2016年度第2期 作品リスト [1870KB]

 

展示構成

1.描かれた横浜

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原田正路《「横浜」シリーズより》
1986-98年

①新しい街の建設―みなとみらい21地区
②港の風景―海岸通り・山下公園
③丘の上の風景―本牧・山手
④暮れなずむ風景―石渡江逸のまなざし 

ケヤキの木陰と噴水のある横浜美術館前のグランモール公園は、オフィス街の憩いのスペースとして、また週末は家族連れで賑わいます。このセクションでは横浜の地を描いた作品を4つのテーマに分け、構成しています。 

「みなとみらい21地区」の中心に立地する横浜美術館(1989年開館)は、この新しい街とともにその歴史を重ねてきました。展示では、ヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテル(1991年)、横浜ランドマークタワー(1993年)などが立ち並ぶこの地を最初に取り上げます。 

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石渡江逸 
《神奈川子安町所見(八百屋の店)》1931年

そして、横浜の歴史の中心といえる海岸通り・山下公園などの港の風景や、本牧・山手・三溪園を描いた丘の風景へと時代をさかのぼります。港や船のある海浜の風景と、小高い丘を上がって見渡す緑ゆたかな本牧・山手の風景は、多くの人々に親しまれてきた横浜といえるでしょう。最後に暮れどきをゆたかな階調で描き出した石渡江逸(いしわた・こういつ)の木版画がこのセクションを締めくくります。
画家や写真家たちのまなざしは、各時代の横浜の風景や人々の姿を捉え、それを作品として結実させました。皆さんの横浜の思い出や記憶と重ねあわせてお楽しみいただければ幸いです。

2.イメージをかさねる

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ルネ・マグリット
《王様の美術館》 1966年  
ⓒADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2016 C1167

①顔
②風景
③伝統的な図像 
④円 

美術作品の在り方・見え方は、私たちの目にぱっと映る、表面的な姿にとどまるものでしょうか。ひとつの作品には、作家が考えたこと、試してみたこと、伝えたいと思ったことが、層をなすように織りこまれています。また、作家が活躍した時代の空気、彼らが属する民族・国家・文化の歴史といったものが、作品の奥底から仄見えてくることもしばしばです。そして、私たち鑑賞者がそれぞれ心に抱く記憶や感覚がそこに加えられたとき、作品が内包する豊饒な「かさなり」は、いま現在に通ずるリアルなものとして、生き生きと輝きだすでしょう。

このセクションでは、「かさねる」「かさなる」をキーワードに、4つのテーマを立てました。最初のテーマ〈顔〉は、何度も版を削り、刷りを重ねて制作された肖像版画のシリーズを、次の〈風景〉は、だまし絵のように人間と風景を重ねた絵画や、地図の上に写真を貼り重ねた現代の作品などを紹介しています。展示はさらに、「かさねる」という語をもっと広く捉えて、美術史における主題や名画の継承をとりあげた〈伝統的な図像〉、文明のなかで種々の理念・象徴を重ねられてきた「かたち」を見つめる最後のテーマ〈円〉へと続きます。 
3.風を聴く―自然の気配をうつす美術

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熊井恭子《叢生’99》1999年
熊井恭子氏寄贈

展示室の中央で光をはらむ立体作品は、熊井恭子(くまい・きょうこ)の《叢生(そうせい)’99》です。熊井は工業用のステンレススチール線を編んだり織ったりし、風や大気といった自然を表現してきました。この作品では、一本一本手で結ぶように編んだ金属線を、美しい曲線を描いて立ち上がらせ、草むらを吹き抜ける風をあらわしています。その様子は、月に照らされた野のひんやりとした空気や、草摺れの音までも想わせ、私たちの五感の記憶を呼び起こします。

仏教に基づく日本人の自然観には「五大(ごだい)」という思想があり、地・水・火・風・空の5つの要素が、あらゆる世界を構成するとされてきました。古来、芸術家たちはこれらの自然に心を研ぎ澄まし、芸術によって自然が発する精気を捉え、その声を聴くことを追い求めてきたといえるでしょう。

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東山魁夷 《樹》1984年 
東山魁夷氏寄贈

東山魁夷(ひがしやま・かいい)の《樹》は、節くれだった樹木と澄んだ空を明快な対比で描き、冬枯れの老木が秘める生命の確かさを伝えています。伊藤彬(いとう・あきら)の《イメージのなかの山水》は、木炭の粉に水を吹きつけて出来た形をもとに、雲や水といった移ろいゆくものをあらわしています。作家たちが捉えた空や大地の息吹、草木が放つ気配、そして風の声に、ひととき心を傾けてみましょう。     
4.かたちの変容

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ラースロー・モホイ=ナギ
《ストローのフォトグラム》1939年

①フォトグラム、フォトモンタージュ
②ディストーション、ソラリゼーション
③変身/変容する身体
④ピンスクリーンによるアニメーション 
 アレクサンドル・アレクセイエフ《禿山の一夜》

写真は、誕生から約180年を経て、今日では欠かすことのできない存在となっています。対象や出来事を記録し伝達するその能力は、印刷物や電子メディアと一体になりながら、私たちの生活に多大な影響を与えています。それと同時に、写真は優れた「表現」媒体でもあります。様々な時代、地域で活躍する写真家や美術家たちは、その創造力と造形力を発揮し、写真の常識を覆す新しい写真のあり方を、その時代ごとに開拓していきました。

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アンドレ・ケルテス
《ディストーションNo.40、パリ》1933年

ここでは、「かたちの変容」に焦点をあて、カメラを使わずに画像を制作する「フォトグラム」や、複数の写真を合成する「フォトモンタージュ」など、ダダに端を発し、それまでの写真の考え方を大きく変えた技法による写真、続いて「ディストーション」や「ソラリゼーション」といった、シュルレアリスム運動のもとで発達した、日常の事物を非日常的なイメージへ転換させる技法の写真、そして、自らの身体を変容させて提示した写真家や美術家による作品を紹介します。

展示室の最後では、アニメーション作家アレクサンドル・アレクセイエフがピンスクリーンを使って制作した《禿山(はげやま)の一夜》を上映します。ムソルグスキーの同名の音楽と結びつきながら展開する幻想的な世界をご覧ください。

基本情報

会期2016年10月1日(土)~12月14日(水)                                                
休館日木曜日(2016年11月3日[祝]を除く)、11月4日(金)
開館時間        10時~18時(入館は17時30分まで) 
※2016年10月28日(金)は20時30分まで開館(入館は20時まで)
主催横浜美術館

観覧料

一般500(400)円                   
大学・高校生300(240)円
中学生100(80)円
小学生以下無料

※( )内は有料20名以上の団体料金(要事前予約)
※2016年11月3日(木・祝)は無料
※毎週土曜日は、高校生以下無料(生徒手帳、学生証をご提示ください)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
※毎月第3月曜日は横浜市在住の65歳以上の方無料(「濱ともカード」をご提示ください)
※企画展ご観覧当日に限り、企画展の観覧券でコレクション展もご覧いただけます。  

関連イベント

ギャラリートーク(コレクション展2016年度第2期)

さまざまな切口で学芸員やエデュケーター(教育担当)が作品の見どころや楽しみ方を紹介します。

日程2016年10月14日、10月28日、 11月11日、11月25日、12月9日 いずれも金曜日 
時間いずれも14時~14時30分
会場コレクション展展示室
申込み不要
参加費無料(当日有効の観覧券が必要)

アーティストトーク(コレクション展2016年度第2期)

講師熊井恭子(テキスタイルアーティスト)                     
日程2016年10月16日(日)
時間14時~15時
会場コレクション展展示室ホワイエ
座席数50席
申込み不要
参加費無料(当日有効の観覧券が必要)

「描かれた横浜」関連レクチャー(コレクション展2016年度第2期)

講師・テーマ(1)西川武臣(横浜開港資料館・横浜都市発展記念館 副館長)
   「《ペルリ提督横浜上陸の図》を読みとく」
(2)青木祐介(横浜都市発展記念館 主任調査研究員)
   「関東大震災と横浜風景」
(3)恵良隆二([公財]横浜市芸術文化振興財団 常務理事/元・三菱地所株式会社)
        「みなとみらい21とランドマークタワー建設に携わって」
日程(1)2016年10月22日(土)
(2)2016年10月29日(土)
(3)2016年11月5日(土) 
時間いずれも14時~15時
会場コレクション展展示室ホワイエ
座背数50席
申込み不要
参加費無料(当日有効の観覧券が必要)

横浜美術館コレクション展 関連企画 金属(ステンレススチール)を縫う(コレクション展2016年度第2期)

■講師:熊井 恭子(テキスタイルアーティスト、横浜美術館収蔵作家)

講師に、2016年度 第2期コレクション展に出品される《叢生’99》の作者、熊井恭子氏をお招きします。第1日目は、コレクション展の関連イベント「アーティストトーク」に参加して、熊井さんご本人から、これまでの制作の変遷や作品のコンセプトなどのお話を聴き、展示中の作品を鑑賞します。第2日目は、金属の一種であるステンレススチールの糸をC型針でうという、熊井さん独自の手法を学び、窓辺に飾れるような小さな作品を制作します(完成した作品は持ち帰れます)。鑑賞と創作体験を通して、コンテンポラリーアートの魅力に迫ります。

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《叢生 '99》 1999年

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《はじまり-C 2003》 2003年

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ワークショップ参考作品

コース番号・日程[54] 2016年10月16日(日)、23日(日)【日曜、全2回】
時間1回目:14時~15時(作家によるトークと作品鑑賞)
2回目:14時~16時30分(作家の指導による作品作り)
定員16名
参加費2,300円 ※鑑賞費・材料費含む
申込方法
(1) 申込みフォーム
(2) 往復はがき
申込締切
2016年9月26日(月)受付終了
講師プロフィール 講師:熊井 恭子(くまい きょうこ)

1966年 東京藝術大学美術学部工芸科ヴィジュアルデザイン専攻卒業。'87年 第13回ローザンヌ国際タペストリービエンナーレ/スイス ローザンヌ。'91年 個展ニューヨーク近代美術館/アメリカ合衆国。'95年「光と風と」新井淳一・熊井恭子二人展 足利市美術館。'97年「素材の挑戦」展 国立科学博物館/ロンドン UK。'99年「世界を編む」展 横浜美術館。2000年 第1回大地の芸術祭 新潟県妻有郷アートトリエンナーレ。'01年 “TEXTURAL SPACE”展 英国3会場を8カ月間巡回。'04年 第2回国際テキスタイルアートトリエンナーレ/ラトヴィア。'11~'15年 日本のテキスタイルアート展 ニューヨーク、サンフランシスコ、パリ他へ巡回。個展、企画展、設置、受賞、所蔵等多数。世界各地にて活躍。

講師より:
「細い金属線を針に通して縫っていくと不思議な形が生まれます。私が初めて丸い立体を作って両手の中に包み込んだ時、何故か「いのち」を感じました。金属で出来ているというのに。
このワークショップでいろんな発見がありますように。」

ボランティアによる「美術で街歩きー描かれた横浜をたずねて」(コレクション展2016年度第2期)

美術で街歩き
描かれた横浜」のセクションでは、横浜の風景を題材にした絵画や版画、写真などを展示します。それらの展示作品に描かれた場所を、横浜美術館ボランティアの案内でめぐる街歩きツアーに参加してみませんか。 作品の図版と実際の風景を見比べながら、ボランティアが作品の背景やみどころ、街の今昔を紹介します。描かれた場所に立ってみると、たくさんの発見があります。美術作品をきっかけに街の魅力に出会い、街歩きをとおして美術作品への興味を深めましょう!
詳細はこちら [1290KB]    

 

案内横浜美術館ボランティア(当館職員同行)
日程2016年11月22日(火)、11月27日(日) ※雨天中止
時間いずれも13時30分~15時
(各日2コース を同時間に実施)
コース■2016年11月22日(火)13時30分~15時
(1)みなとみらいコース(横浜美術館周辺)
横浜美術館や急速に変化するみなとみらい21地区を題材とした作品を紹介。美術館周辺スポットをコンパクトに回ります。
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横浜美術館→みなとみらい21地区(横浜ランドマークタワーなど)→横浜美術館付近

(2)横浜海岸通りコース(山下公園周辺)
横浜開港の地に始まり、街の歴史を振り返りながら歩くコース。横浜の「顔」である海岸通りは昔から多くの画家が描いたスポット。
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横浜開港資料館前→山下臨港線プロムナード・山下公園通り→ホテルニューグランド前 

■2016年11月27日(日)13時30分~15時
(3)横浜懐古 ゆめロードコース(桜木町~馬車道)
作品に描かれた大正から昭和の風景に思いを馳せ、その変化に着目するコース。みなとみらいの街と海の景色もみどころです。
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JR桜木町駅→弁天橋・汽車道・万国橋など→みなとみらい線馬車道駅付近 

(4)港の風景コース(山下公園周辺)
堀川沿いから山下公園通りまで、横浜らしい港の風景をめぐります。作品に描かれた「はしけ船」を実際に見るのがコースの目玉。
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みなとみらい線元町・中華街駅→谷戸坂・堀川河口など→山下公園通り(ホテルモントレ横浜前)
定員各コース8名程度(事前申込・先着順)
参加費無料
申込方法 ご希望のコースをお選びのうえ、下記「申込フォーム」から お申込ください。
※2016年10月4日(火)より申込受付開始。

(1)みなとみらいコース(2016年11月22日) 申込フォーム
(2)横浜海岸通りコース(2016年11月22日) 申込フォーム
(3)横浜懐古 ゆめロードコース(2016年11月27日) 申込フォーム
(4)港の風景コース(2016年11月27日) 申込フォーム