ゴッホ展 オランダ・クレラー=ミュラー美術館所蔵

展覧会概要

このたび、待望久しいゴッホの展覧会を、オランダのクレラー=ミュラー美術館の全面的な協力を得て開催いたします。

アムステルダムの東方約80キロ、オッテルローにある広大なフェルヴェ国立公園の豊かな自然に囲まれたクレラー=ミュラー美術館は、貿易商の夫人であったヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)の収集品を核として、19・20世紀の絵画、彫刻、素描の優れたコレクションを有しています。1938年に開館したこの美術館の所蔵品のうち、最もよく知られているのが、数多くの傑作を揃えたゴッホ・コレクションです。 フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、自らの精神的希求と苦悩を表出させる手段として画家を志し、印象派から体得した明快な色彩表現をもって、躍動的な筆触で己の内に秘める激しい感情を画面にぶつけ、表現主義的とも言える独自の世界を切り開きました。後期印象派を代表する画家の一人として、ゴッホがその後の現代絵画の展開に与えた影響ははかり知れません。
また、世紀末のジャポニスム華やかなりし時代に画業を開始したゴッホが、浮世絵とそこに描かれた風景に強く惹かれて生涯日本に憧憬の念を抱き続けた一方で、それから20数年後の今世紀初頭、ゴッホが白樺派によってわが国に紹介されて以来、その人と作品が多くの日本人の心を捉えて放さなかったことは多言を要しないでしょう。

ゴッホが歿してからすでに105年、クレラー=ミュラー美術館のゴッホ・コレクションがまとまって本邦で公開されるのは、実に37年振りになります。その270余点におよぶコレクションから選び抜かれた、自己の様式を確立するまでの苦悶の様子がうかがえる初期から中期にかけての水彩・素描42点、パリ時代の《自画像》、アルル時代の《アリスカンの秋》、サン=レミ時代《糸杉と星の道》など、中期から後期にかけての代表作を含む油彩31点の計73点で構成される本展は、ゴッホ芸術を通観する絶好の機会となるでしょう。