拡張するガラス 美の表現者たち

展覧会概要

この度の展覧会では、世界から選ばれた9名の作家(内2人1組を含む)によって、それぞれに個性的なガラスの造形美が鮮やかに展開されます。出品作品は総計で173点となり、大作の多いかつてない大規模な展覧会となっています。出品作家はそれぞれスタジオ・グラスの先駆者やその運動の提唱者、あるいは早くからその運動の影響を受けながら前衛的活動と独特の造形を発表してきた人達です。いずれも世界的評価を受け、各国の美術館で所蔵され、国際的なガラス展に出品してきたガラス界の指導者といってよいでしょう。彼らの作品がこれ程多く一堂に会するのは初めてであり、また彼ら自身が一つの美術館に集まるのも今回が初めてです。それらは明かにガラスの「彫刻」でありガラスの「絵画」であり、ガラスの「インスタレーション」なのです。まさにアール・ヌーヴォーのガラスに優るとも劣らない巨匠たちの美と芸術の競演です。

展覧会の副題「美の表現者たち」の中には「伝統と現代」というテーマが含まれています。これはあらゆる芸術の分野において避けることのできない永遠のテーマです。ガラス造形の世界も、その表現の自由の獲得以来、各作家は特にこの課題と闘ってきました。重い歴史と優れた伝統をどのように意識し、志向する造形とどのような関わりを持つべきか、それぞれの作家は個人としての答えを探しながら、現代ガラスという新しい分野の表現を開発し、その芸術上の領域の確立を目指して来たのです。ガラス界があまりに多様な表現と多様な価値観によってやや混沌としてきた今日、あらためて造形の先駆者の作品群を通して、その造形の理念の根底を再見し、一つのテーマ「伝統と現代」という側面から、ガラス芸術とその表現の美の本質を発見するのは意義あるものと思います。その意味で、21世紀におけるガラスの行方を占うきっかけの一つにもなれば幸いと言えるのです。