ゴーギャンとル・プルデュの画家たち 新たなる芸術を夢みて

展覧会概要

この展覧会は、フランスの後期印象派の代表的画家ポール・ゴーギャン(1848-1903)が、1889年から翌年にかけて滞在したフランス北西部ブルターニュ地方の小村ル・プルデュに焦点をあて、この小村での逗留がゴーギャン芸術の生成において、どのような歴史的意義を有しているかを、その周辺の画家たちの画業を視野に収めつつ、改めて振り返ろうとするものである。

ゴーギャンは、1889年の秋、フィンセント・ファン・ゴッホの弟テオを通じて知り合ったオランダの画家メイエル・ド・ハーンとともに、ポン=タヴェンからさらに南に下った海沿いの小村ル・プルデュに赴いた。ブルトン語で「黒い池」を意味するル・プルデュで、女主人マリ・アンリの経営する宿屋「ビュヴェット・ド・ラ・プラージュ」に旅装を解いた彼らは、翌年の11月まで、ここを主たる制作場所として過ごしたのである。

「師[ゴーギャン]とその弟子たちの芸術は、ちっぽけな宿屋をアポロンの神殿に変えた」という言葉は、このル・プルデュ滞在が彼らの芸術にいかに実り豊かな果実をもたらしたかを端的に要約しているが、このいわば芸術共同体の濃密さは、マリ・アンリがメイエル・ド・ハーンとの恋愛の果てに、娘イダを産んだという逸話が雄弁に物語っているかもしれない。

今回の展覧会は、このマリ・アンリの宿屋を飾り、かつ彼女の手元に残されたゴーギャンやド・ハーンたちの作品を可能な限り集め、さらに彼らの名作を加えて、ゴーギャンたちの多様な活動を回顧するものである。これは、日本のみならず、世界で初めての試みであり、その開催の意義は誠に深いと言わなければならない。

ル・プルデュという特定の地域と時代に焦点を当てた本展を通じて、ゴーギャンたちが夢みた新たなる芸術を今日に蘇らせることが可能となり、鑑賞者がこれをつぶさに追体験することができれば幸である。