2016年度

テーマ作品

ゆっくりと時間をかけて、深くご説明したい作品が揃いました!

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横浜美術館 主席学芸員 柏木智雄

2016年度も、横浜美術館コレクションの中から選りすぐりの7点をテーマに、4回(8日程)のギャラリートークを展開します。
皆さんにはそれぞれお好みの美術があると思いますが、まずは先入観に囚われず、この7点の作品と向き合ってみてください。色彩や素材のこと、技法のこと、時代背景のこと、またひとりの人間としての作家のエピソードなどに触れていただくことで、今まで気付かなかった作品の魅力を見つけられるかもしれません。
コレクション・フレンズのギャラリートークは、作品との新たな出逢いを大切にする時間です。担当の学芸員は、通常の展覧会ギャラリートークよりも、さらに一歩作品の内側に踏み込んだ解説をします。
美術に対する好奇心だけを持って、是非お楽しみください。 皆様とお会いできることを楽しみにしています。
1. ガブリエーレ・ミュンター(1877-1962)《抽象的コンポジション》
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1917年  油彩、板  23.4×59.4cm

軽快な筆致で描かれた色とりどりの線と形態が、横長の画面いっぱいに踊っています。作者のミュンターは、20世紀初頭のドイツ表現主義の女性画家です。本作には、彼女の恋人であったヴァシリィ・カンディンスキーの抽象絵画の影響が顕著にあらわれています。題名に含まれた「コンポジション」という言葉は、カンディンスキーが標榜した、形態と色彩を理知的に構成した、音楽のように純粋な絵画のことです。実はこの作品が完成した1917年、二人はすでに破局し、ミュンターは失意の底にありました。そんななかで本作を描いた彼女の思いを想像しながら鑑賞するのも一興でしょう。
2. 荘司 福(1910-2002)《春律》
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1986年  紙本着色  170.0×345.0㎝  荘司福氏寄贈

荘司福(しょうじふく)は神奈川県立高等女学校(現・県立横浜平沼高校)で美術への道を志します。女子美術専門学校(現・女子美術大学)を卒業後、1946年から院展を主な作品発表の場としました。第71回院展出品の《春律》は円熟期の秀作の一つ。4月半ばでも時に雪が降り、視界が薄れるような山の溪谷。岩間を流れ落ちる滝は、水量はまだ少ないけれど、密やかに流れる水の音に春の訪れをひしと感じさせます。よく見れば木々の枝先は芽吹き、残雪の中に春が来る喜びに心がふくらむ―画家は「そんな清らかな自然の動き行く気にふれて」描いたと述べています。
3. 福田美蘭(1963年生まれ)《風神雷神図》
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2013年(平成25)  アクリル絵具、パネル  181.8×227.2cm、福田美蘭氏寄贈

福田美蘭(ふくだみらん)は、古今東西の名画や、誰もが知るキャラクターなどを素材に、それらの“オリジナル”のイメージを揺さぶり、「見るという行為」そのものについて考えさせるような絵画を作りあげていきます。この作品は、福田が敬愛する江戸初期の画家・俵屋宗達の《風神雷神図屏風》をもとにしています。尾形光琳や酒井抱一による模写をはじめ、時を越えて後世の画家に受け継がれてきたこの題材で、福田は宗達作品の躍動感や生命力を、おおらかな線で感覚的に捉えようとしています。近年は抽象画に通じる表現に取り組んでいる福田の、今後のさらなる展開を予感させる作品です。
4. パブロ・ピカソ(1881-1973)《帽子をかぶった婦人》[第7・最終ステート]
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©2015 - Succession Pablo Picasso - SPDA(JAPAN)1962-63年 
カラーリノカット  53.0×40.0cm

黒、赤、緑、黄色、水色・・・と目に鮮やかな女性像は、実はたった一枚のリノリウム版を、彫ってはある色で刷り、彫ってはまた別の色で刷り、という作業を重ねて描きだされました。版はどんどん削り取られていくので、一段階前に戻って刷り直すといった軌道修正はできません。そんな制約と緊張感に満ちた制作過程にあっても、ピカソの創造はどこまでも自由で大らかです。最後には、別作品で用いた額縁の版を再利用。そんなちょっとした工夫にも、画家のあそび心が感じられます。段階刷りや試刷りなど、横浜美術館所蔵の15種の刷りを一挙公開します。
5. 熊井恭子(1943年生まれ)《叢生(そうせい)’99》
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1999年  ステンレススチール線  30.0×300.0×400.0cm  熊井恭子氏寄贈

テキスタイル・アーティストの熊井恭子(くまいきょうこ)は、1970年代の後半から、「風を孕(はら)む布」を表現するために、繊維にステンレススチールを織り込むことをはじめ、やがて金属線のみを絡み合わせる制作を展開していきました。風ふきわたる草原のように床からスチール線の群が立ち上がる本作は、1999年の横浜美術館の企画展「世界を編む」に出品されました。細い線が規則正しく並び、美しい曲線を描くさまは、生命体の細胞の成り立ちを想わせる、と語る熊井。「叢(むら)がり生(お)うる」という生成のイメージを内包するタイトルも、そんな作家の世界観を伝えてくれます。
6. マン・レイ(1890-1976)《解剖台の上のミシンと蝙蝠傘(こうもりかさ)の偶然の出会いのように美しい》
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1934年頃(後年のプリント) 
ゼラチン・シルバー・プリント 20.2×27.9cm
©MAN RAY TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015 G0199

タイトルは、19世紀の詩人ロートレアモンの『マルドロールの歌』の一節。異質なもの同士の結びつきが新しい輝きをもたらす、というその趣意によって、のちのシュルレアリスム運動において象徴的に用いられたフレーズです。その運動の一員であったマン・レイは本作で、いわゆる静物写真のスタイルを借りてこの言葉を視覚化しています。幾何学的に色分けされたテーブルの上で、2つの異質なオブジェが互いの領域をわずかに侵犯しあう構図の妙。卓越した写真家であり、またシュルレアリストとその活動の「記録者」としても重要な存在であったマン・レイの面目躍如たる一作です。
7. イサム・ノグチ(1904-1988)《真夜中の太陽》
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©2015 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum /ARS, New York / JASPAR, Tokyo G0198 
1989年  赤と黒の花崗岩 220.5×199.0×119.0cm

ぶ厚い花崗岩(かこうがん)でできた正方形の台座。その上面中心では、赤と黒の花崗岩の部材計18個をつないだ円環が一点で支えられています。精密な形態ですが、なめらかな石の表面は温かみを帯びています。正面から見ると台座の縁が奥行を感じさせ、円環の縞は放射する光線のように見えます。この光の環に縁どられた円形の虚空を、作者は「皆そこからやってきて、再び戻っていくところ」と語っています。ノグチは「太陽」を何度か作りましたが、 本作は彼の死後に助手の手で完成されました。

参加者特典


ご支援期間中に以下の特典をご提供します。 

  1. 横浜美術館内および横浜美術館ウェブサイトにお名前を掲出します。(希望者のみ)

  2. お申込み1 名様につき「フレンズカード」を1 枚発行します。
    (ご本人様のみ使用可。裏面に会員番号と参加口数が記載されています。)

  3. 「フレンズカード」のご提示で、横浜美術館コレクション展に何度でもご入場いただけます。
    (参加口数と同等の人数でご利用いただけます。 例:二口参加→毎回2名様入場可)

  4. 横浜美術館の各企画展招待券を進呈します。
    (各展、参加口数と同等の枚数を進呈します。 例:二口参加→各展2枚ずつ進呈)

  5. 横浜美術館コレクション展の会期ごとにコレクション・フレンズ参加者を対象とした特別イベント 「コレクション・フレンズ ギャラリートーク(学芸員の解説付き鑑賞会)」へご招待します。
    (参加口数と同等の人数でご参加いただけますが、各回定員がございます。要事前申込み。)

  6. ご支援期間中に2 回(前期1 回、後期1 回)「コレクション・フレンズ レクチャー&交流会」へご招待します。
    (同伴2 名様までご参加いただけますが、各回定員がございます。要事前申込み。)

  7. 「フレンズカード」のご提示で、ミュージアム・カフェ「Café 小倉山」のメニューを10%割引でご提供。

  【三口以上参加の方には上記と併せて下記の特典もご提供します】

  8.  横浜美術館の各企画展オープニング内覧会へのご招待。(ご本人様のみ)

      9.  横浜美術館の各企画展カタログを1 冊進呈。


参加者芳名一覧

他 匿名75名(敬称略)
173名(193口)
2016年8月20日現在


参加規約


横浜美術館コレクション・フレンズ2016規約 [425KB]