第7回

《朝顔》制作プロジェクト第1回 横浜美術大学での制作

蔡國強展のエスカレーターを上がって2つ目の展示室には、《春夏秋冬》という白磁レリーフの作品で囲まれた中に《朝顔》という作品が展示されています。9mの天井から吊り下がった自然の藤蔓に赤い素焼きのテラコッタでできた数百の朝顔の花と葉とつぼみが絡まっています。
蔡さんは地域の人々と協働で作品を作ることが多いのですが、この作品でも日本の人たちと共に作ることになり、実はテラコッタ部分は蔡さんではなく、横浜美術大学の学生さんたちに作ってもらいました。蔡さんは昨年アルゼンチンでも同じコンセプトの《藤蔓》という作品を発表していますが、その時も現地の学生に手伝ってもらっています。しかし、アルゼンチンの時と同じ作品というわけではなく、日本の粘土で、日本の針金で、日本の朝顔をモデルにして作っています。また蔓の部分もアルゼンチンでは鉄だったものが本物を使うことになりました。

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(サンプルとその日の目標個数を見ながら作ります)

第6回

火薬絵画制作秘話その3
グラシン紙の靴

巨大な火薬絵画の制作中は足元にも色々と注意が必要でした。一枚4メートルもの幅がある和紙を繋げてその上に作品を描くため、様々な作業が作品となる紙の上で行われます。蔡さんだけでなくのべ200人近くいたボランティアやスタッフも紙の上を行き来しました。

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(大型和紙作品の型紙を切るボランティアのみなさん。靴下での作業。)

―45cm×30cmのそれぞれの世界―

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子どものアトリエから久しぶりの講座レポートです。

この写真は8月の夏休み造形講座「ジオラマアート」で6年生の男の子が制作した作品です。風力発電の風車や、太陽光線を利用したソーラーパネルが見えます。川の水を飲みに集まって来た動物たちもいます。爽やかな風が感じられる作品ですね。この講座では、23人の高学年のお友だちが、45cm×30cmの発泡スチロール板を土台にして、自分の想像した風景模型を制作しました。

蔡國強展スタッフコラム 第5回 爆破制作秘話その2

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第5回

爆破制作秘話その2
紙の調達

火薬絵画《夜桜》の支持体となる和紙は3×4メートルの巨大な厚手の和紙です。これを16枚つなげて大きな画面が作られています。難しそうな買い物に思われましたが、蔡さんがいつも頼んでいるという高知県の手すき和紙の工房から入手することができ、ほっと一息。しかし、リストには他の種類の紙も書かれています。
クラフト紙(1800mm×30000mm)、ボール紙(800mm×1100mm  800枚)、板ダンボール(1200mm×900mm)、グラシン紙(1600mm×100000mm )10本。
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(グラシン紙とは、こんな紙です。)

第4回

火薬絵画制作秘話その1 
グランドギャラリーでの爆破制作

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蔡國強の代表的な作品といえば、何と言っても火薬を爆発させてその痕跡を画面に留める「火薬絵画」でしょう。今回の「帰去来」展で、蔡さんは5点の火薬絵画を制作しました。1点は美術館のグランドギャラリー(エントランス・ホール)に掲げられた縦8メートル、横24メートルの巨大な和紙の作品《夜桜》。そして、あとの4点は大画面のキャンバスの連作《人生四季》。いずれも観る者を圧倒するような迫力のある作品で、その爆破制作が美術館のグランドギャラリーで行われたと聞くと、誰もが驚くのです。

第3回

「帰去来」のための事前リサーチ・レポート

出品作品の半数以上が新作によるこの展覧会、文字通りに世界を股にかけて飛び回りながら仕事している蔡國強さんとの準備過程で、まず始まったのは、横浜のための新作に向けたリサーチ活動でした。
蔡さんの活動には、過去、漢方薬や茶を使って観客と一体の空間を作り上げるパフォーマンス的な作品もありました。そこから蔡さんの興味を引いたのは、1906年にニューヨークで英語により出版された『茶の本』を著した岡倉天心の存在でした。

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三渓園内の臨春閣で障壁画を鑑賞する蔡さん

蔡國強展スタッフコラム 第2回

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第2回

蔡さんを捕まえる!

世界を駆け回り、1年で何十件というプロジェクトや展覧会を実現している蔡さんに時間をとってもらい打ち合わせるのは至難の業です。ここ一番というときはやはり携帯コール。ニューヨークとの時差を考えると、私の自宅から深夜にかけるしかありません。海外からニューヨークの空港に到着した蔡さんが自宅へ向かうタクシーに乗る時間帯を聞き出し、優秀なアシスタントから"just now! "と言われて即座に蔡さんの携帯を鳴らしたこともありました。
その多忙な蔡さんは、今回の個展のために約1か月弱、横浜に滞在。横浜美術館のグランドギャラリーで火薬爆発を8日間、8回実施し新作に挑戦しました。爆発はわずか2-3秒。でもそのための準備は多くの人々の協力のもと、時間をかけて周到に行われたのです。詳細は学芸員が熱く語ります。

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羽田、北京、横浜を結んで打ち合わせ中の蔡さん  撮影:逢坂恵理子

蔡國強展スタッフコラム 第1回

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現在開催中の蔡國強さんの個展「帰去来」。会期も折り返して後半に入ってきました。ここで改めて、この展覧会準備にまつわるエピソードを、展覧会の学芸担当がリレー形式でご紹介します。第1回目は、プロローグとして本展企画者の逢坂館長が特別寄稿。蔡さんの思い出を語ります。

第1回

「蔡國強展:帰去来」学芸チームは、横浜美術館のグランドギャラリー内で火薬爆発による作品制作を実現したなかなかのチーム です。 様々なハードルを一気呵成に乗り越えてきた姿はまるで《壁撞き》の狼のよう。世界を駆け回るタフでしなやかなアーティスト、蔡國強さんとともに走り続けた 日々。本展も終盤に入り、今まで語ることのなかったエピソードを中心に、知られざる展覧会の魅力をお伝えします。

蔡國強―水戸芸術館での遭遇

いきなり私ごとで恐縮ですが、私が水戸芸術館現代美術センターで学芸員として働きはじめたのは1994年4月1日でした。3月下旬、水戸への引っ越しを済ませて水戸芸術館に赴いた日、遭遇したのが蔡國強さんの作品展示作業でした。夜、車の通行を遮断し、クレーン 車で吊りあげられた獅子の石像が所定の場所に無事設置されると、安堵の拍手がおきました。
4月2日から始まる展覧会、「水戸アニュアル'94:開放系」の出品作家として蔡さんは、水戸のための風水プロジェクトを提案。水戸市街地図上の龍脈を特定し、街の気運を高めるため獅子像を設置するという計画を作品として実現したのでした。獅子像は会期中、水戸芸術館前に設置され、その後、龍脈の首に当たる場所に移築、今日にいたっています。
一方、現代美術センターでは、屋内にドーナッツ状の金網製鳥小屋が作られ、250羽の紅雀が飼育されました。仏教用語の「放生」と題されたこの作品は、小屋から外へ鳥を放つために、来館者が一羽につき500円払うというものでした。学芸員は毎日、鳥のえさやりと糞の掃除に追われることになりましたが、多くの来館者が 鳥を空に返すために貢献しました。その土地の人と作品を作る、その土地の物語を生み出すという蔡さんの作品制作上の理念は、水戸でも実践され、私の水戸での生活は蔡國強の作品とともにスタートしたのでした。

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水戸芸術館前に設置された蔡國強の獅子像(1994)
写真提供:水戸芸術館現代美術センター

7月11日、「蔡國強展:帰去来」の初日。

子どものアトリエに出品アーティストの蔡國強さんをお迎えし、小学校1年生から6年生の子どもとその保護者の方、38組のみなさんとワークショップを開催しました。

テーマは、蔡さんのこれまでに制作した花火の作品にちなんで、カラーテープで昼間の花火を描くというもの。

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横浜市芸術文化振興財団が発行するアートWEBマガジン「創造都市横浜」で、親子のフリーゾーン、個人の造形プログラムほか、平日に行っている学校のためのプログラムなど、子どものアトリエのさまざまな取り組みが紹介されています。

7月11日(土)、蔡國強展初日に行われた、親子講座『カラーテープで昼間の花火を描こう』の様子もご覧いただけますよ。

蔡國強さん

ぜひご覧ください!

詳細はこちらから(外部リンク)