鑑賞アーカイブ

    子アト通信 ―「いとじゅんさんとファッションショー!」

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    5月5日の「こどもの日」、子どものアトリエでは横浜美術館で開催中の「ファッションとアート 麗しき東西交流」展にちなみ、小学生親子を対象としたワークショップ「いとじゅんさんとファッションショー!」を開催しました。服をつくるアーティスト「いとじゅん」さんこと伊東純子さんを講師に迎え、会場の美術館グランドギャラリーで親子20組44人が衣裳づくりに挑戦し、最後にファッションショーでお披露目をしました。

    展覧会を見に行きました

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    最初に参加者全員がグループに分かれ、展覧会を企画した学芸チームに導かれて展示を見に行きました。今回の「ファッションとアート」展は、明治の開国をきっかけに日本と西洋の異なる文化がどのように出会い、影響し合ったかを当時のファッションを通して紹介するというものです。

    fashionshow-WS4.jpg fashionshow-WS5.jpg 展示されているドレスは一番古いもので140年くらい前のものですが、とても保存状態が良く、着物風のドレスがあったり、コートの模様に兜(かぶと)の図柄がアップリケされているなど、日本のものがうまく溶け込んで斬新で素敵なデザインのものばかりです。「これはどんな時に着ていた服なの?」子どもたちの質問に学芸スタッフが「外国の女の人が舞踏会に招待された時に着て行ったドレスですよ。」とか、「皇后さまが、新年のご挨拶を受ける時に着用されていたものですよ。」などとわかりやすく答えました。その説明に興味がわいてあとから好きなところへ戻り、よく見ている親子の姿もありました。

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    いよいよ衣裳づくり

    さて展示室からグランドギャラリーに戻るといよいよ衣裳づくりの始まりです。アーティストの伊東さんが最初に服をつくる時の大事なポイントを教えてくれました。
    「服は、肩に布を"のせる"感じでつくります。一枚の大きな布に切れ目を入れて頭を出してもよいし、胴に巻いた筒状のものを肩ひもで吊ってもいいです。片方だけでも肩にかかっていれば、服になります。」伊東さんの整理された説明に子どもたちもイメージがふくらみさっそく制作に取りかかっていました。

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    材料は布の代わりに薄いカラーの紙を使いました。道具はハサミとステープラー(ホチキス)だけです。制約はいろいろありますが、それぞれの家族、子どもも大人もイメージに近づけるため夢中になって制作をしました。素敵なファッションを求めて工夫を凝らしたのは今も昔も変わりませんね。

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    フィナーレはファッションショー

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    fashionshow-WS12.jpg fashionshow-WS11.jpg最後はいよいよ発表会(ファッションショー)!一人ずつ美術館グランドギャラリーの階段を下りて、ステージでポーズをとるという大仕事。緊張しないよう最初にステップやポーズの練習をして本番に臨みました。さあ、いよいよスタートです。トップバッターは一年生の女の子。じつは衣裳をつくる際、ファッションショーが不安で顔を曇らせていました。でも最初に出る人が決まらない時に「私がやります!」とまっ先に手をあげてくれたそうです。「すそのボンボンがポイントです」と司会のスタッフが紹介する中、伊東さんが選曲したBGMにのって、しっかり階段を降りてバッチリポーズを決めてくれました。

    fashionshow-WS13.jpg fashionshow-WS18.jpg fashionshow-WS15.jpgこの女の子を筆頭に、1年生から6年生までの男の子と女の子20人が順番にドレスの紹介とともに階段を降りていきました。カラフルな照明の中で、工夫をこらした衣裳、輝くような笑顔がとても印象的でした。子どもたちのかわいらしくも堂々とした姿に会場のいろいろな場所でたくさんの人たちが拍手を送ってくれました。

    fashionshow WS16.JPG「ファッションとアート」展での「こどもの日ワークショップ」、アーティストの伊東純子さんとともに、子どものアトリエ、学芸員、運営スタッフなどさまざまな担当が力を合わせて当日に臨みました。参加してくださった親子のみなさん、ショーであたたかい拍手を送って下さったみなさん、本当にありがとうございました。さて、この展覧会は6月25日までの開催です。まだご覧になっていらっしゃらない方はどうぞお急ぎください!

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    「ファッションとアート 麗しき東西交流」展
    http://yokohama.art.museum/special/2017/fashionandart/

    子アト通信:夏休み子どもフェスタ2015

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    ▲大きな絵の前で先生のお話を聞く子どもたち。

    少し前のお話になりますが、横浜美術館夏恒例の鑑賞プログラム「夏休み子どもフェスタ」が8月8日から12日までの5日間、コレクション展示室で開催され、夏休み真っ最中の子どもたちがたくさん参加してくれました。

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    「美術館に初めて来たけど、どうやって見たら良いかわからない...」
    「この作品にはどんな意味が込められているんだろう?」

    そんな子どもたちの想いや疑問をひとつひとつ受け止め、楽しく鑑賞できるようにサポートするのが「夏休み子どもフェスタ」。私たちスタッフだけではなく、横浜市内の中学校の美術の先生が一緒にコレクション展の会場に常駐して子どもたちを迎えます。今年は8名の先生方がアートティーチャーズサポーターとしてお手伝いをしてくださいました。

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    ▲子どもフェスタでは実際に画材に触れられるコーナーもあり、見たことない道具や絵の具にみんな興味津々!

    さすが美術の先生、それぞれの得意分野を生かして子どもたちにわかりやすく作品や画材について解説してくれました。
    「あの作品はこんな材料を使って描かれているんだよ。」
    そんな一言で子どもたちと作品の距離はぐっと近づくようです。

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    作品について一定の情報を知ることだけが美術館の楽しみ方ではありません。作品の前に立って思ったこと、考えたこと、気がついたこと、そしてそこから膨らんだ想像などを自分自身の言葉にしてみることもとても重要な鑑賞の力です。子どもフェスタでは、作品の前で子どもたちが美術館スタッフやサポーターの先生方にそっと語りかける姿がたくさん見られました。
    みんな普段とは一味違った夏休みを過ごしたのではないでしょうか。

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    今回ご協力いただいたアートティーチャーズサポーターの先生は以下の方々です。

    横浜市立寺尾中学校   上原 愛先生
    横浜市立東山田中学校  小林 重之先生
    横浜市立芹が谷中学校  島津 泉先生
    横浜市立万騎が原中学校 田原 夏子先生
    横浜市立美しが丘中学校 津江 明日香先生
    横浜市立横浜吉田中学校 柳田 麻利江先生
    横浜市立本郷中学校   山田 香織 先生
    横浜市立神奈川中学校  渡辺 淳先生


    本当にありがとうございました。


    ■夏休み子どもフェスタ2015

    会期 2015年8月8日~12日(5日間)
    会場 横浜美術館 コレクション展会場
    参加者数 892人

    子アト通信:講座レポート「蔡さんと子どもたち カラーテープで昼間の花火を描(えが)こう」

    7月11日、「蔡國強展:帰去来」の初日。

    子どものアトリエに出品アーティストの蔡國強さんをお迎えし、小学校1年生から6年生の子どもとその保護者の方、38組のみなさんとワークショップを開催しました。

    テーマは、蔡さんのこれまでに制作した花火の作品にちなんで、カラーテープで昼間の花火を描くというもの。

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    「昼間に花火を打ち上げるなんて、一体どういうこと?!」

    と、普通は思いますよね。普通、花火は夜に打ち上げるので光で色を見せるものですが、蔡さんの昼間の花火は、火薬に顔料を混ぜて煙に色をつけて、昼間でも花火が見えるように工夫しているのです。

    ▼蔡さんの過去の花火の作品はこちらのサイトからご覧いただけます(英語)。

    http://www.caiguoqiang.com/videos

     

    さて、ワークショップの話に戻りましょう。

    ワークショップの最初に、蔡さんが自己紹介を兼ねて、ご自分がアートに関わるようになったきっかけや、アートがもたらしてくれる可能性について、子どもたちにお話してくださいました。蔡さんのお父さんも趣味で絵を描く方で、蔡さんが子どもの頃は、お父さんの膝に座って絵を描いている様子を眺めていたのだとか。

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    「アートができることは、二つあります。一つは、自分の目で世の中から美しいものを見出す力を養ってくれます。二つ目はアートを通じて友だちが増えます。私は世界各地に行ったけれど、アートを通じてさまざまな人たちの協力を得て作品をつくり、そして友だちになれました。自分ひとりでは何もできなかったのです」

     そして、昼間の花火を描くにあたってのヒントも蔡さんから出されました。

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    「花火というと、空に大きく打ち上がっている状態をイメージすると思うけど、地上に発射台があってそこで一度爆発が起きます。打ち上がってもう一度爆発して、火薬が地上に落ちてくるのです。花火を見た時の記憶や、いろいろな花火の様子を想像して描いてみましょう」

     さて蔡さんのお話が終わると、それぞれの家族に分かれてどんな花火を描こうか、作戦タイム。一組に画面として割り当てられたのはターポリンという、150×110cmの大きな白い布。そしてそこに描くために使う素材は荷物の梱包等に使う、養生用のカラーテープです。色数もありますし、線であらわしたり、テープをつなげて面であらわすこともできるので、大きな画面にどんどん描くのに便利な素材です。

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    いざ制作が始まると、子どもたちのカラーテープをちぎる手が止まりません。制作の進め方はご家族それぞれ。お母さんとお子さんのそれぞれが花火を描いているご家族や、お子さんが描き、お母さんはテープをちぎるアシスタントに徹しているご家族もありました。

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    大きな花火、小さな花火、色とりどりの花火が描かれ、あっという間にアトリエは花火の作品で埋め尽くされてしまいました。並べてみると、それぞれに工夫があってとても素敵です。

    最後に蔡さんも皆さんが描いた花火を大絶賛。

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    いくつかの作品は、蔡さんが「この花火のアイデア、いつか作品に使わせてもらいたいな」と言うものもあったほどでした。

    いつか、世界のどこかで、このワークショップで描かれた花火が蔡さんの手によって現実のものになったら・・・と思うとワクワクしてしまいます。

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    ※この作品は、横浜美術館前の工事壁に8月12日まで展示されました(天候や工事の状況によって撤収が前後する場合があります)。

    ※「蔡國強展:帰去来」 の情報はこちら

    子アト通信:バーバー美術館(イギリス・バーミンガム)から、ピカソのカードが届いたよ!

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    ▲モリ―ちゃん作

    横浜美術館のおなじみのピカソの作品≪ひじかけ椅子で眠る女≫が、昨年イギリスの美術館で展示されました。同時に関連の親子ワークショップも開催され、そこで制作された子どもたちのカード作品が送られてきました。

    イギリス、バーミンガムという都市にあるバーミンガム大学に「バーバー美術館」という附属美術館があり、昨年横浜美術館の代表的な所蔵品であるピカソの<ひじかけ椅子で眠る女>が貸し出されました。8月末にバーミンガムに到着し、特別コーナーに鎮座することになった当館のピカソは来館者のみなさんにとても愛され、さまざまな対話式トークやイベントで大活躍したそうです。

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    ▲解説のお姉さんの後ろの絵がピカソの作品です     ▲ポストカードの裏には横浜美術館の住所を書いてくれました。

    バーバー美術館は大学付属の美術館で教育活動には特に力を入れており、2月17日に当館のピカソに関連した親子講座「ピカソ・ファミリー・デー」が開催されました。この講座はピカソの作品をみて、自分なりの「ピカソ作品」をポストカードに描いて横浜に送ろうという企画で、バーバー美術館の教育部門のみなさんが親子に呼びかけ、できたカード作品約100枚を横浜美術館へ送ってくださいました。きっと親子でいろんな話をしながら作ってくれたのでしょうね。とてもユニークなものばかりで全部お見せできないのが残念ですが、その一部をご覧ください。

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    中にはこんな日本語のメッセージもありました。

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    さて、子どものアトリエのミニギャラリーでは、これらのカードを期間限定で7月末まで展示しており、親子のフリーゾーンや「学校のためのプログラム」でご来館の際にみていただくことができます。

    ▼展示の様子

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    もし、バーミンガムへ行かれることがあったら「バーバー美術館」へも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

    ※バーバー美術館(THE BERBAR INSTITUTE OF FINE ARTS

    子アト通信:2015年度版ピコラガイドができました!

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    おまたせしました!
    2015年4月から2016年3月までの子どものアトリエの講座予定を掲載した「ピコラガイド」ができました。

    「ピコラガイド」は、子どものアトリエが発行しているパンフレット。

    子どものアトリエで行われる個人向け講座をご案内しています。

    日曜日の午後を中心に、夏休み中や祝日に開催する楽しい講座をたくさん企画しているので、興味のあるお友だちはぜひ応募してくださいね。

    ピコラガイドは子どものアトリエはもちろん、横浜美術館内で配布しているほか、ホームページでも同じ内容がご覧いただけます。
    ご応募、お待ちしています!


    ピコラガイド(ダウンロード・PDF3.2MB)
    講座内容はこちらからもご覧いただけます

    子アト通信:講座レポート「親子でホイッスラー展を見よう」-その1-

    「ホイッスラーさんに変身したよ」

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    ▲ホイッスラーさんのトレードマークのおひげをつけて展示室をめぐりました。

    さる1月12日の成人の日、子どものアトリエでは横浜美術館で現在開催中の「ホイッスラー展」に関連した親子鑑賞講座を行いまた。絵をみるだけではなく実際に画材を見たり触ったり体験をしてから作品に向かい合うというのが子どものアトリエの鑑賞講座です。今回はさらにホイッスラーの絵の特色がよくわかるようにアトリエでのレクチャーも企画しました。最初に一度絵を見に行ってホイッスラーの絵の雰囲気を感じたあと、アトリエに戻ってミニレクチャーを行いました。

    ホイッスラーの色の秘密を探ろう!

    ホイッスラーの絵の特徴はよく「色の調和(ハーモニー)」にあるといわれます。でも言葉だけでは説明しづらいので、「調和」というものを音の和音や旋律に置き換えて感じてもらうところから始めました。澄んだピアノの音の重なりに子どもたちの顔はみるみるうっとりした表情にかわりました。また一転してぶつかり合う不協和音には、びっくりして目をまんまるに見ひらき、笑いだしてしまう子もいました。この音の組み合わせをホイッスラーの絵の中に置き換えてみると、彼の絵には反発し合うような色の組み合わせは見当たりません。むしろ仲間同士の色を使って全体の調和を図り、その中にほんのちょっぴり性格の違う色を入れることによって、ピリッと緊張感のある画面構成を試みていたことがわかります。

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    《ノクターン:青と金色-オールド・バターシー・ブリッジ》 1872-75年 テート美術館 (c)Tate,London 2014


    例えば「ノクターン」という絵を見てみましょう。ここに使われている色には濃い紺色からだんだん水色に近くなる色の変化があります。その中にかすかな黄色の点として花火の輝きがあらわされています。深い夜の闇の中、大きな橋のシルエット越しに遠くに「パーン」と聞こえてきそうな空間が心に広がります。橋の上の人たちの囁く声も聞こえてきそう。色の調和で音や空間まで感じさせるとは、ホイッスラーって色の魔術師みたいですね。

    どんな風に描いていたの?
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    ▲一年生のおひげ君、キャンバス(画布)に向かってポーズ。 ▲気分はホイッスラー!

    さて、展示室にはホイッスラーの使った長い筆が展示してあります。大きな絵を描く時は少しはなれて描かないと全体が見えないのでそんな筆が必要だったのですね。そこで、みんなでホイッスラーに扮して長い筆をもって描くまねをしてみました。トレードマークのおひげをつけて、気分はすっかりダンディ(※)な絵描きさん。みんなすっかりなりきって様になっていました。
    さて、アトリエの中には油絵の具に触れられるコーナーやホイッスラーがたくさん残した版画(エッチング)に関する画材、刷るためのプレス機なども用意し自由に見てもらいました。めずらしいものが多く、参加者の皆さんはそれぞれ手に触れながら、いろんなことを親子で話し合っていました。 (※①おしゃれな男性 ②洗練された)

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    ▲油絵が得意なスタッフが実演します。     ▲興味津々な顔!
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    ▲「エッチング」に使う銅板と描くためのニードル。▲銅板を刷る機械。小型のプレス機を回してみよう。
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    ▲油絵の具に混ぜる油。独特のにおいがします。 ▲「へぇ~油絵ってこんな画材で描くんだ。」

    もう一度、ホイッスラーの絵を見に行こう!
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    ▲展示室の入口で、絵を見るときのマナーやお約束を再確認。そのあと家族やスタッフと一緒に見ました。

    子どものアトリエで色についてのレクチャーのあと、ふたたび展示会場へ足を運びました。今度はアトリエで体験したことをヒントに、いろいろな発見を親子で話し合っていました。休日の午後、展示室はそれぞれの親子の時間が流れていました。

    さてこの講座にはもう一つ、皆さんにお知らせしたいトピックがあります。
    そのお話はまた次回の子アト通信で。お楽しみに!

    ホイッスラー展について詳しくはこちら

    講座レポート「美術ってなんじゃもんじゃ?」

    ―美術とはなんぞや??コレクション展の作品となかよくなろう!―

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    この作品はいったい…?みんなは何の絵に見えるかな。

    子どものアトリエでは、今年度から造形プログラムに加えて新しく鑑賞プログラムがスタートしました。
    その記念すべき第1弾は「美術ってなんじゃもんじゃ?」と題し、横浜美術館コレクション展にある作品を教材に鑑賞の練習をしました。さっそく、その様子をご紹介します。

    1日目~“美術”はかつて“技術”だった!?~

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    小学校4・5・6年生を対象としたこの講座。絵を見たり、作品を作るのが大好きな子どもたちが集まりました。

    みんなは「写実(しゃじつ)」という言葉を知っていますか?対象をよーく観察して、本物に忠実に描くことを「写実」と言います。
    むかしむかし、まだカメラや写真がなかった時代、物や人物、風景をそっくり写実的に描くことによって記録したり伝達する絵画はとても重要な役割を果たしていました。つまり、“美術”とはかつて“技術”だったとも言えるのです!講座に来てくれたお友だちも鑑賞した作品をもとに「写実」に挑戦してみました。「むずかしい~!」という声や、中には「上手く描けたかも!」という声も聞かれました。


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    さて次にみんなが見ているのは、マックス・エルンストの《少女が見た湖の夢》という油彩画です。怪物みたいな生き物がたくさん見つかる不思議な作品です。実はこの絵、キャンバスの上に絵の具を乗せ、ガラス板や紙などでつぶすことによって偶然生まれるかたちを利用した「デカルコマニー」という技法を用いて描かれているのです。

    みんなもやってみました!デカルコマニー!
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    エルンストさんはこのデカルコマニーという技法から想像をふくらませ、作品にしていきした。
    みんなの作品も、じーっと見ていると何かの形や風景に見えてきて…?

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    「おおー、地球に見えてきた!」

    2日目~自分だけの表現をもとめて~

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    こちらは白髪一雄の《梁山泊》。この絵はなんと足を使って描かれているのです!
    1日目に学んだ「写実」とはだいぶ違いますね。
    白髪さんは、ときには板切れで、ときには素手で…といろんな描き方を実験していった画家です。
    人が今までやったことのない、自分だけの描き方を探求していたんだね。とても勇気のいることだと思います。

    さて、ただ鑑賞するだけではなく実際にやってみるのが子どものアトリエです!さっそく裸足になろう!

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    絵って体全体を使って描くことも出来るんだね。おもしろくてやめられな~い!
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    こんな大作が完成しました!

    3日目~心を自由にして作品を見よう~

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    美術館に入ってすぐ目に入るこの彫刻、ヴェナンツォ・クロチェッティの《平和の若い騎手》です。ふつう騎馬像(人が馬にまたがっている像)というのは馬に鞍や手綱をつけたり、人によろいを着せたりしてその強さを表現する“型”があるのですが、この像にはそれらが見当たりません。クロチェッティさんはそういった“型”の表現ではなく、人と馬が共に生きる平和な世界、という自分なりのメッセージをこめて作品を作ったんだね。

    さて、最終日はみんなでこの像の立つ風景を自由に想像し描いてみました。自分の想像力だけを信じて描いたら、ほら!ひとりひとり、こんなにも個性的な風景が見えてきましたよ。

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    今回の鑑賞講座ではコレクション展の作品を通して様々な描き方、作者の想いなどを学びました。美術って無限大!何かにとらわれることなく作品を作ったり鑑賞することが大切なんだね。みんなも心を自由にして自分の表現を探してみてください。
    これからも横浜美術館はみんなが作品を見に来てくれるのを楽しみにしています!

    小学生以下のおともだちは展覧会を無料で見ることができます。
    詳しくは横浜美術館のHPをご覧ください。

    親子で楽しむ作品鑑賞―プログラムのご案内

    ―作品をよく見て、いろいろな発見をしてみよう!ー

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    今回は、これからお申込みいただける、鑑賞を通して作品に親しむプログラムをご紹介します。おうちの方や美術館の教育普及担当のスタッフ(エデュケーター)と一緒に、落ち着いて目の前の作品と向き合ってみると、今まで気がつかなかったことが発見できそうですね。「これ、何だろう?」そんな疑問から始まる、親子の会話を楽しんでください。自分の目で見て、何か「思う」こと、そしてどうしてそう思ったのか考えてみる、そんな「思う」ことの練習に、美術館やそこにある作品を活用してもらえたらうれしいです。

    横浜美術館教育普及グループには、造形(つくる)活動を通じて美術に親しむプログラムをたくさん提供してきた「子どものアトリエ」「市民のアトリエ」のほかに、昨年度から特に作品鑑賞(みること)について子どもから大人、障がいのある方々のためのプログラムを提供する「教育プロジェクトチーム」が発足しました。現在、「子どものアトリエ」「市民のアトリエ」「教育プロジェクトチーム」が協力して、ますます充実したエデュケーションプログラムを展開しています。

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    そこで、最初にご紹介するのは、この教育プロジェクトチームによる「おやこで楽しむコレクション展!」[12月21日(土曜)/小学校高学年の子どもと保護者対象]です。このプログラムは、子どもと大人が会話をしながら鑑賞するので、子どもだけでなく大人の方にもおすすめです。子どもと一緒に鑑賞したいので、楽しく鑑賞するヒントがほしいな、という方のご参加もお待ちしています。開催間近のプログラムですので、参加ご希望の方はお早めにチェックしてみてくださいね!(※小学校低学年向けは10月13日に終了しました。)
    詳細はこちら

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    下村観山 《小倉山》 明治42年、絹本着色、六曲屏風一双、横浜美術館蔵

    また、子どものアトリエでは、12月7日(土曜)から、収蔵作家の下村観山(しもむら・かんざん)を企画展で取り上げます。この展覧会開催期間中には、おやこ向けのプログラム、わくわく1日鑑賞講座「下村観山の《小倉山》をみよう」[1月13日(日曜)/小学校1年から6年生と保護者対象]を開催します。《小倉山》(上の写真参照)は屏風の作品です。併設するカフェ「小倉山」の名前の由来にもなっています。秋の木立のなかに、烏帽子を被った貴族と思われる男の人が座わり、歌の構想を練っているところでしょうか。動植物や人物の細かいところまでよく描き込まれているので、いろいろなものが発見できそうな作品ですね。かわいい動物が描かれているので、探してみてくださいね!
    詳細はこちら

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    ほかにも、おやこ向けプログラムではありませんが、わくわく日曜鑑賞講座(全3回)では、コレクション展をじっくり鑑賞して作品となかよしになれる「横浜美術館鑑賞クラブ 美術ってなんじゃもんじゃ?」[1月12・19・26日(日曜)/小学校4年から6年生]を開催します。どちらも、ふるってご応募くださいね!
    詳細はこちら

    子どものアトリエミニギャラリー

    ―カサカサッと音が聞こえてきそう・・・ 「葉っぱのアート展」開催中―

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    葉っぱでつくったこの動物、何に見えますか?サイかな?イノシシかな?目や鼻の部分は木の実でつくってありますよ。では、これは?
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    立派な鶏冠(とさか)の雄鶏(おんどり)ですね。
    細い葉っぱ、丸い葉っぱ、それぞれの特ちょうをうまく生かしてつくってあります。ちなみに最初この鶏冠は紅葉の真っ赤な色だったそうです。 色の変化も自然なうつろいですね。さて、これらの作品は、子どものアトリエの中にあるミニギャラリーで現在展示中の 「葉っぱのアート」展の一部です。 作者は栗林孝之(くりばやし たかゆき)さん 。栗林さんは、グラフィックデザインを手がけるベテランのデザイナーさんです。
    栗林さんは、毎朝愛犬との散歩中に出合った自然の様子を写真にとったり、拾ってきた公園の落ち葉や小枝、木の実などをつかっていろいろな”生きもの”を制作していらっしゃいます。 今回、 たくさんの子どもたちに自然の素材でできた “生きものたち”を見てほしいと快く作品を貸してくださいました。先日その展示の様子を見学に来館され、お話をうかがいました。栗林さん、 ニックネームは“葉っぱのおじさん” だそうです。
    2013kuribayaisi-3_edited-1.jpg クワガタのポーズの栗林さん。
    アトリエ:栗林さんの作品をケースの中に展示する時、「まわりに葉っぱを敷いたらおもしろい」ということになり、外に枯葉を集めに行ったのですが、枯葉を見たら虫に見えてきたんですよ。
    栗林さん:ハハハ。そうですか。
    アトリエ:栗林さんの葉っぱの虫を見て出かけたからでしょうね。子どもたちもこれらの作品を見たら影響を受けるかもしれませんね。
    栗林さん:そうなったら嬉しいですね。
    アトリエ:何かおもしろい色や形の葉っぱを見つけたときに、「あっ、これをつないだらナントカに見える」なんて。
    栗林さん:それは、いいですねぇ。僕の虫たちがそんなヒントになったらいいですね。
    アトリエ:”まねっこ”ではなくて”ヒント”ですね。
    栗林さん:そうです。いいなと思ったらどんどんヒントにすればいい。アイディアはいろいろな経験がもとになってふくらんでいきますからね。どんどん刺激を受けて自分のアイディアにしてほしいですね。
    と語る栗林さんはまた、子どもたちに自然の美しさや、生命の不思議、神秘的なことへの感心や感動する心を大切に育て伝えていきたいと日本各地の小中学校の空き教室などで、展覧会や子どもたちやお年寄りを対象とした環境ワークショップを開催されています。
    栗林さんの「葉っぱのアート展」、詳しくはこちらをどうぞ⇒http://www.yaf.or.jp/yma/children/100/

    ※グラフィックデザイン=写真、図版などを用いて視覚に訴えるデザイン、またその印刷物のこと。

    ナイクサタムさんのタペストリー

    ―大きな手と握手したよ―

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    水平線上―夏の青 1992年作
    綿、羊毛、ゴブラン織り
    250.0×310.0cm

    この作品は今、横浜美術館のコレクション展に展示されている大きな作品です。
    子どもたちに見せると、「海の上にいるみたい」、「風が吹いている」、「青がきれい」など思い思いの言葉が出てくる親しみやすい作品です。一見絵のように見えますが、絵の具ではなく、たて糸に横糸を織り込んで絵柄を表してあります。「織る」ということがまだわからない子どもたちには「糸を組み合わせてつくってあるんだよ」と説明すると「えー、うっそー!」と大きく目を見開き、織り目を認めるや否や、「ほんとだー!絨毯みたい」。。。大発見です。
    この織物は「つづれ織り」、あるいは「ゴブラン織り」と呼ばれる手法で織られており、室内を飾る壁掛けとして昔から作られていました。フランス語ではタピスリー、英語ではタペストリーと呼ばれています。今ちょうどパリのクリュニー中世美術館が所蔵する有名な「貴婦人と一角獣」というタペストリーが国立新美術館で展示されていますね。みにいかれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。(※この展覧会は、2013年7月15日に終了しています。)
    横浜美術館所蔵の、上のタペストリーの作者は、プラブハカール・ナイクサタムさん。「市民のアトリエ」の講座のために先月4月27日、横浜美術館にいらっしゃいました。その様子はこちら→市アト通信ヨコビブログ


    織物デザイナーであるナイクサタムさんは、心の中のイメージをどうやって絵にしていくかを話してくださいました。
    例えばこの作品は、「海と空と凧」のイメージからつくらてたそうです。「凧」ときいてなるほどと思いました。風を感じた子どもの直観は鋭かった。まずものをよく観察して、そのイメージをもとに線や色を自由に構成し、楽しみながら絵柄を考えていくそうです。
    もう1点、となりに展示されている作品をお見せしましょう。この作品は「高原を空から見たら?」とイメージしたものだそうです。

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    高地の早春 1993年作
    綿、羊毛、ゴブラン織り
    250.0×310.0cm

    下の写真のように最初は小さなデザイン画を考えるそうです。絵柄が決まったらマス目をひいて大きく拡大します。織物は途中で変更ができないので、最初の段階でよくプランを練らなければならないとおっしゃっていました。

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    もとになった原画。完成時の10分の1くらいのサイズだそうです。

    ナイクサタムさんは毛糸の色も、たとえば青でも何種類もの青を用意し、細かく組み合わせて微妙な変化を表します。一緒にいらっしゃった奥さんが「色を表すことにはこだわりがあって本当に気の遠くなるほどたくさんの作業をしています。」と話してくださいました。

    1929年、インドのお生まれで現在84歳のナイクサタムさん。子どもたちのためにメッセージをとお願いしたら、快く引き受けてくださいました。

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    大きな手には年輪を感じさせる風格がありました。

    To the children
    I like children and I like nature very much.
    If every child loves the nature he can be an appreciator of this universe when he/she becomes a very matured person.

    Prabhakar NAIK-SATAM

    子どもたちへ
    わたしはこどもたちが大好きです。そして自然も大好きです。
    もし、子どもたちのだれもが自然を愛するならば、その子は森羅万象(宇宙に存在する数限りないもの)
    を味わうことのできる身も心も豊かな人に成長するでしょう。

    プラブハカール・ナイクサタム


    最後にナイクサタムさんに握手してもらいました。毎日12時間作品をつくっているというその手は大きくてあったかでした。”サタムさん”のタペストリー、 是非みにきてくださいね!(2013年6月16日まで展示しております。木曜日は休館です。)

    リンク先⇒同時開催企画展「Welcome to the jungle!熱々東南アジアの現代美術」