「夜の美術館でアートクルーズ BODY/PLAY/POLITICS」開催レポート

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美術館の閉館後に展覧会を丸ごと独占できる特別なイベント、「夜の美術館でアートクルーズ」。「BODY/PLAY/POLITICS」展では2回開催します。その1回目を、去る10月26日(水)に出品作家の石川竜一さんをお迎えして開催いたしました。当日の様子を少しご紹介します。

まずは、本展を企画した木村絵理子(横浜美術館 主任学芸員)によるギャラリートークで、6名の出品作家たちのバックグラウンドなどを紹介。それぞれの作家の生き様を通して作品と向き合うと、目に映るものや聴こえてくるものに対して理解が深まったり、受け止め方が変わったりします。

イベント後のアンケートでは、「作品の背景を知ることで、見方、見え方が変わってくる。知らないままに、ただ感じるのとは違う楽しみがあった。」と、感想を残した方もいました。

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イー・イラン《ポンティアナックを思いながら:曇り空でも私の心は晴れ模様》

女性たちのきわどいお喋りや笑いの中から、彼女達を取り巻く社会や歴史、文化による影響が浮き彫りになってきます。

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ウダム・チャン・グエン《ヘビの尻尾》

そこが美術館の展示室であることを忘れてしまいそうなほどダイナミックな展示。「送風機の音が、まるで大きな生き物の呼吸のようですね。」(参加者の感想より)

この迫力は、彼が現在住んでいるホーチミンの息吹そのものなのかもしれません。

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田村友一郎《裏切りの海》

まさに横浜を起点とした肉体を巡る物語。展示されている白いビリヤード台は、誰でもプレー可。しかし、そこには一筋縄では行かない仕掛けが・・・。

写真でキューを操っているのは、10月28日(金)に横浜美術館でパフォーマンスを行ったアーティスト・コレクティブ「野生派」のメンバー吉濱翔さん。

ギャラリートークの後に自由鑑賞の時間をはさんで、いよいよ石川竜一さんのトークスタート!木村学芸員の問いかけが、はにかむような様子の石川さんから、生の言葉を引き出していきます。

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「カメラに向かって笑っている写真とか、あまり撮りたくないんですよ。構えたり、作ったりして欲しくないと言うか・・・」

「人に話しかけるのって、怖いですよ。文句言われたり、嫌われたりするし。でも、これって人が怖いわけじゃなくて、自分が傷つくのが怖いだけ。それでも、話すことから始まるコミュニケーションみたいなものはやっぱりあって、だからボクは声を掛けるんです。」

理路整然とした説明ではなく、思いがそのまま言葉になるように話す石川さん。話題は出品作品に登場している人々へと続いていきます。

「白いスーツの男の人の写真があるんですけど、その人は店から出てきて、ちょっと目立つじゃないですか、真っ白だから怖そうだし。少し歩き方が変わっていて、よく見たら杖をついていたんです。でも、前から女性が歩いてきた時に、彼は歩道の脇にスッと避けて、女性に道を譲ったんですね。それで、『ああ、そうなのかー!』と思って、彼と話したくなって『写真撮らせてください』って声を掛けました。」

「小さいおじさんにも、街で声を掛けました。はじめはかなり怪しまれて、断られて。そうなるとますます『解って欲しい』という気持ちになって、ボクは悪いヤツだからちょっとストーカーみたいな感じになって・・・(笑)。でも、近くでよく会ううちに、おじさんが自分の行動範囲の中にいることが分かって、訪ねて行って、また怪しまれて・・・。ずっとそんな感じでした。」

そして今回の出品作品の中でも強く印象に残る、グッピーという女性との物語。

「会うと結局、話してばっかり。話すのが楽しくて、もっと話したいと思うから、そうなってしまう。きっかけは『写真撮らせてください』なんだけど、写真だけが会う目的ではなくなるというか・・・。」

「グッピーに、ボクはまた会いに行きたいんです。」

この物語には、まだ続きがあるかもしれません。

(白いスーツの人?ちいさいおじさん?グッピー?・・・展覧会をまだご覧になっていない方には謎だらけ。その全ては、ぜひ展覧会でご覧ください。)

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 バーチャルな人間関係が、ネット上で増殖し続けている今、たとえ自分が傷ついても、人の哀しみを目の当たりにすることになっても、その恐れに怯むことなく常に正直に人と接する石川竜一という写真家。これからも彼の眼を通して、世界の片隅で懸命に生きる人の姿を、もっと見てみたい。そう思わずにいられない温かなトークでした。

 ※「BODY/PLAY/POLITICS」展での「夜の美術館でアートクルーズ」2回目は、11月26日(土)に開催します。ゲストは出展作家の田村友一郎さん。ただ今参加者募集中です!

参加の申込はこちらから!

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