蔡國強展スタッフコラム 第9回 《朝顔》制作プロジェクト第3回

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

第9回

≪朝顔≫制作プロジェクト第3回 爆破前夜

テラコッタと番線の組み立ても終わってあとは明日を待つばかり、やれやれと一息つく間もなく、蔡スタジオのテクニカル・ダイレクターTさんより、まだ爆破のやりかたが決まらないんですよ、と相談がありました。何か七輪のような、ドラム缶を輪切りにしたような窯を作って、その中にテラコッタを入れて蓋をして爆破するのはどうか、という案が出ました。ドラム缶なんてないし、トタン板を丸めて筒にしてみますか、ということで、ホームセンターにトタン板を一緒に見に行きました。「帯に短し、たすきに長し」で、どうもうまくいきそうにありません。とりあえず蓋にはなるでしょうということでトタン板1枚を買い求めましたが、結局これは別の用途に役立つことになります。Tさんはもうちょっと考えますとのこと。
次に出てきたのは、床にレンガで囲いを作って、その中にテラコッタを敷き詰めて爆破するという案です。床には不燃カーボンクロスシートを敷いています。溶接の養生に使うシートですが、直に火薬を撒いて点火するのはさすがに心配です。そうだ、石膏ボードの使っていないのがありますよ、ということで、その夜は現物を確認したところで終わりました。

carry01.jpg
(ハンドフォークで運ぶの図)

爆破準備
蔡スタジオのTさんは早起きです。美術館は9時半始業ですが、筆者が出勤した時にはもうグランドギャラリーのカーボンクロスシートの上には石膏ボードが一列10m位にわたって敷かれ、火薬絵画の重石に用意した半マス赤レンガで花壇のように整然と囲いが作られている最中でした。早朝からTさんと助手のK君、それにK学芸員が加わって作業した模様。横浜美術大学の学生さんが集まったところで、完成した茎付きの葉や花をプラパレットに整然と載せて、ハンドフォークでしずしずとグランドギャラリーに運びます。接着剤もしっかりついて頑丈そうです。次に爆破花壇に沿うようにテーブルを並べます。実はここからまたひと手間かかります。接着剤は熱に弱いのです。せっかくかたまっても、爆破の火薬の熱をまともに受けたら樹脂の接着剤は燃えてしまう恐れがあります。そこで前の晩に考えた対策は、生の粘土で茎と葉や花の付け根部分を覆ってしまうことです。粘土は水分を含むし密度が高いので断熱効果があるはずです。指先でひとつまみとって、これを円錐形に茎の付け根を覆うようにテラコッタにつけて、煉瓦花壇の中に丁寧に置いていきました。Tさんと蔡スタジオのスタッフが火の回りを考えながら丁寧に葉や花を花壇の中にしきつめます。蔡さんが火薬を撒いて、導火線をセット。

next02.jpg
(次は何をするの図)

nendo03.jpg powder04.jpg
(茎の付け根に粘土を巻くの図)      (蔡さん火薬を撒くの図)

その上に今度はグラシン紙という白いすべすべした薄紙をかぶせます。煙がうまく回ってテラコッタへの色づきをよくするためです。かぶせただけでは爆風で飛んでしまいますので、Tさんは煉瓦を二層にして、一層目と二層目の間にグラシン紙の端をはさんで固定していました。これはうまい考えです。ところが330個用意した半マス煉瓦、あと20個足らずのところで在庫切れです。のこりはこぶし大の園芸用ゴロタ石を煉瓦の代わりに載せて準備完了です。
(中村尚明)

paper05.jpg
(グラシン紙を固定するの図)