蔡國強展スタッフコラム 第6回 火薬絵画制作秘話その3

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第6回

火薬絵画制作秘話その3
グラシン紙の靴

巨大な火薬絵画の制作中は足元にも色々と注意が必要でした。一枚4メートルもの幅がある和紙を繋げてその上に作品を描くため、様々な作業が作品となる紙の上で行われます。蔡さんだけでなくのべ200人近くいたボランティアやスタッフも紙の上を行き来しました。

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(大型和紙作品の型紙を切るボランティアのみなさん。靴下での作業。)

そのため、蔡さんからは事前に「シューズカバーがあるとよい」という情報はいただいていたのですが、実際にはシューズカバーがあればよいだけではありませんでした。
例えば蔡さんが下絵を描き、型紙を切る作業をしている間は靴を脱いで靴下で作業となります(裸足は画面に皮脂が付くので厳禁です)。しかし火薬を撒く段階になると、火薬が靴下に付いてしまうため靴下の上から使い捨てのシューズカバーを履くのです。さらに、火薬の載っていない白い紙の部分だけを歩いて作業しなければならず、かなり繊細な動きが必要とされました。

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(火薬を撒く蔡さん。蔡さんは新潟で見つけたという自前のシューズカバーを持っていました!)

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(型紙を移動するボランティアのみなさん。シューズカバーをつけて、火薬を踏まないように細心の注意を払っています)

そして、爆破の段階になると、火が出た場合はプラスチックのシューズカバーも溶けてしまうため、スタッフ・ボランティア一同は運動靴で待機。爆破直後は作品もダンボールで覆われているため、靴のまま作品の周辺部分の火消しに向かいました。ただし、蔡さんのスタッフの方々は作品上まで火を消しに行かなければなりません。そこで彼らは長年の経験から編み出された「グラシン紙の靴」を自作して履いていました。これは作品制作で出たグラシン紙の切れ端を靴下の上から巻きつけてブーツのようにしたものです。ただの紙とは違うので、火薬絵画への影響も最小限になるのでは・・・ということで考案したそうです。
火が完全に消えた後はスタッフ・ボランティアも再びシューズカバーを着用。火薬の痕跡に触れてしまうと簡単に消えてしまうので、火薬部分には触れないように細心の注意を払いながら型紙などをはがしていきました。
大型の作品ならではの「作品の上に乗る」という行為でしたが、それゆえに足元にも様々な努力がありました。制作風景を撮影した動画でも、その様子が見られますので、ぜひご覧ください。
(田中彩)

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(紙の上で作業するTさんと、左手前に立っているKさんの2名が履いているのがグラシン紙の靴)